子どもからお年寄りまで、すべての人にシナリオの力を!
あなたの毎日に役立つシナリオの活用例がここにあります。
普段、悩みがなさそうにぼんやりとしていますが、一応、悩みくらいはあるシナリオ・センターの新井です。では、「何が悩み?」と問われると、イマイチ思いつきません。それが、悩みです。
とはいえ、世の中は人間関係の悩みが多いのだそうです。そりゃ、人間がこれだけいれば、関係性で悩みますよね。
人の気持ちは目に見えませんから、自分の気持ちも、相手の気持ちも分からないのは当たり前。でも、身近な人にほどつい「言わずともわかってくれよ」と甘えてしまうもの。分かろうとする努力はせず、「どうして私のことを分かってくれないの?」とお互いに壁をつくり、人と人との距離はどんどん遠くなってしまいます。
そんな時ぜひおすすめしたいのが、NHK「あさイチ」で“人間関係を損なわずに断り上手になる方法”でもご紹介させて頂いた『シナリオ日記』です。
「あさイチ」では、断った後の「断ってよかったのかしら?」「どうして、私を誘ったのかしら?」とモヤモヤが残ってしまった時の解決法として、『シナリオ日記』を紹介させて頂きました。
『シナリオ日記』は、シナリオ・センター代表の小林が考えた日記で、言葉どおり、日記をシナリオ形式で書いてみよう!というもの。たった、これだけ。でも、これだけで物事を客観的に見れるようになるのです!その、やり方をご紹介させて頂きますね。
「あさイチ」出番の前に、ボケッと待つ新井。 |
ただシナリオを書くだけで、何が変わるのか・・・
まずは実際に『シナリオ日記』を書いてみた方の体験談をご紹介します。
****ここから****
私は、かつて同僚のみつこ(仮名)ちゃんとの人間関係に悩んだことがありました。
優しくて、頑張り屋さんで、いつも明るいみつこちゃんは、経営状態が思わしくないギスギスした職場で心の支えと言ってもいい存在でした。
ある日いよいよ、その会社は倒産してしまいました。サラリーマンでいることの虚しさを痛感した私は独立することを決意。お昼休みにランチを食べながら、そのことをみつこちゃんに話したところ、なぜか彼女は突然涙を流して、席を立って出て行ってしまったのです。
ポカンとその場にとり残された私は、なぜみつこちゃんが泣いてしまったのか、全く分からず、かなり悩みました。ちょうどその頃、私はシナリオに興味を持ち始めていたので、ふとその日の日記をシナリオ形式で書いてみました。
登場人物 ※みちこがみつこちゃん、麻子が私です。
麻子(40)A社の広報担当。A社が倒産し、会社再建チームにも属している。
みつこ(38)A社の企画担当。通称みつこちゃん。
〇神楽坂の和食屋さん(昼)
ランチタイムで混雑している店内。麻子とみつこが向い合わせに座って、焼き魚定食を食べている。
麻子、パクパクとご飯を食べながら
麻子「それにしても、危ないなあと思ってから実際倒産するまで、あっという間だったよね」
みつこ「ほんとだよね。これからどうしたらいいんだろう」
麻子「再建するのは大変だろうね。負債額が大きすぎるし…」
みつこ「……」
麻子「結局雇われの身なんて、虚しいよね。私、もういやになっちゃったよ」
みつこ「でも、なんとか頑張るしかないよね?」
麻子「頑張っても報われないんじゃない?実際、私たち毎晩終電にも乗れずタクシー帰りで頑張ったけど、倒産しちゃった訳だし」
みつこ「……」
みちこ、うつむいて箸で定食の焼き魚をつついている。
麻子「もう会社はあてにならないから、私独立してフリーでやっていこうと思うんだ」
みつこ「え、そうなの?でも麻子ちゃん、再建チームに選ばれたんだよね?」
麻子「私以外にも何人か選ばれてるし、これ以上お給料が遅延したら生活していけないもん。
会社はあてにならないから、自分の力で稼ぎたいんだ」
みちこの目から急に涙がぽろぽろこぼれる。
麻子「ちょっと、みつこちゃんどうしたの?」
みつこ「ごめん、私、ちょっと」
みちこ、急に席を立ち店から出て行ってしまう。呆然としている麻子。
ここまで書いて、私は気づいたのです。これからどうなってしまうのか不安で一杯のみつこちゃんに、イチ抜けた~!と言い放っている自分に。どこにも逃げ場がないみつこちゃんにとって、真っ先に逃げようとしている私はどのように映ったのでしょうか。きっと、寂しく、心細く、もしかしたら妬ましい気持ちもあったかもしれません。書いてみて、自分の言葉に思いのほか毒がこもっているのにも驚きました。私は私で焦っていて、みつこちゃんの気持ちを慮る余裕が全然なかったのでしょう。
****ここまで****
こんなやりとり、どこにでもありそうです。
でも、会話というのは、時間と一緒に流れて言ってしまいます。セリフは飛ぶもの(消えていくもの)と言われる所以です。
なので、心に引っかかった場面を映像として思い出してシナリオで書いてみると、相手とのやりとりだけがそこに描かれます。シナリオを書くことで、一歩、立ち止まってみる…そんな感じです。
でも、それなら普通の日記でもいいんじゃないの?
そう思う方もいるかもしれません。
で・す・が、シナリオだからこそのポイントはここから。
シナリオは、三つの要素からできています。
「柱」⇒ドラマが起きる場所と時間帯を書く
「ト書」⇒登場人物の動作・しぐさ、状況を書く
「セリフ」⇒登場人物のセリフを書く
そして、一番のポイントは、ト書です。
ト書には、映像になることしか書きません。登場人物の気持ちは書かないのです。だって、画面に映らないから。
実際に『シナリオ日記』を書いてもらっている様子 |
だから、『シナリオ日記』を書くときに、自分の気持ちも相手の気持ちも書くことはないのです。普通の日記なら自分の気持ち、たくさん書いてしまうと思いますが(笑)。ここが、単なる日記と『シナリオ日記』の違いです。
シナリオには、単に出来事だけが表れるのです。
だから、客観的に起きたことだけを追うことができます。そして、シナリオを眺めてみると、自然とその時気づかなかった相手の気持ちや、自分の言葉が相手にどう伝わったのかに気づくことができるのです。
「このセリフを言った時の相手は、どんな気持ちでいったのかな?」
「このセリフを言っている時、目を逸らしていたから、もしかしたら、こういう意味だったのかな」
「私のこのしぐさがきっかけで、相手をイラッとさせてしまったのかな」って。
これこそ、映像づくりのためツールである、シナリオだからこそなせる技です!!
そう、自分。確かに、自分次第です。
でも、どう頑張っても相手の気持ち、考えていること100%を理解することなんて、できません。だからこそ、相手のことを考える必要があります。では、どうやるのか?それが、ちょっと立ち止まって考える『シナリオ日記』なのです。
人はなかなか自分のことを客観視できないものです。自分の気持ち(いわゆる主観ですね)しか見ていないと、人間関係はなかなかうまくいきません。
「どうして分かってくれないの??」と嘆く前に、ぜひ『シナリオ日記』を書いて、相手の気持ちを分かろうとしてみてください。きっと明日、人と話をするのが楽しみになるはずです。もちろん、幸せなシーンをシナリオにしてもいいんですよ!
ドラマを描くためのシナリオとは違って、あえて日常をそのままスケッチする『シナリオ日記』。
シナリオ自体は小学生でも書けるので、是非『シナリオ日記』に挑戦してみてくださいね。もちろん、ドラマ書いてみたい!という方は、シナリオ・センターの講座にお越しください。シナリオを書くことができるようになれば、創作のために書くのも、シナリオ日記のために書くのも変わりませんから。お待ちしてます。
シナリオの書き方についてはこちらをご覧ください。
・動画はこちらから / テキストで見たい方はこちらから
シナリオ・センターは、シナリオを書くと、日本中の想像力と創造力がもっと豊かになるのではないかと思って「一億人のシナリオ。」プロジェクトを展開しています。お問合せも、お気軽にどうぞ。シナリオ・センターの新井でした。
シナリオ・センター代表 小林幸恵 著 BookBeyond http://bit.ly/Ue2KM7
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