昨年、注目された急上昇ワードをご存知ですか?
それは、「ムズキュン」。
見ている人がムズムズっとくすぐったく、
心がキュンと切なくなる感覚のことです。
キッカケは昨年大ヒットしたドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』と言われています。
原作はマンガです。
“逃げ恥”以外にも、人気マンガでは多いですよね、ムズキュンもの。
もし、「マンガ原作となるシナリオを書きたい!」と思っているなら、「ムズキュンを書いてみたいなぁ」と考えているかたも多いのではないでしょうか?
でも、読者にムズキュンとなってもらうマンガの脚本を書くにはどうしたらいいのでしょう?
マンガ原作講座の仲村みなみ講師は、こう言います。
重要なのは…
物語を簡単に進めない! こと。
ということは、
ずーっと教室のシーンとか
ずーっとオフィスのシーンとか
同じ場所で構成すればいいの?
――って思ってしまいませんか?
いえいえ、そういうことではないんです。
ずーっと同じ場所のシーンでは緩急がありませんよね。
じゃぁ、どうしたらいいのでしょう?
では、ムズキュンもののマンガ脚本の書き方を知るために、
マンガ原作講座で紹介された仲村講師流に、マンガの構成を分析してみましょう!
マンガ『君に届け』の構成を分析
テキストとして、マンガ『君に届け』の第1巻をご用意ください。
皆さん、以下の手順で進めてください。
① まず、第1巻を読んでください。
② 読み終わったら、主人公の黒沼爽子(愛称:貞子)のキャラクターを紙に書いてください。
<爽子のキャラクターを考えるヒント>
爽子の状況設定(=爽子はどんな「状況=世界」にいるのか)はどんな感じか。
爽子の座右の銘は何か。
上記のような点に着目すると爽子のキャラクターが浮き彫りになりますよ。
③ 次に、風早翔太のキャラクターも爽子と同じように紙に書いてください。
④ では、もう一度、第1巻を読んでください。
その際、爽子のキャラクターを考えながら、
「爽子ならではエピソードだな」と思ったら、そのシーンを簡単に書き出してみてください。
そのシーンには爽子ならではのセリフや行動があるはずです。
⑤ 次に、その爽子に対して風早君はどうリアクションしていますか。これもまた紙に書き出してみてください。
⑥ 読み進めてください。
そして、さきほどと同様、爽子ならではのエピソードとそれに対する風早君のリアクションを見つけたら紙に書き出して下さい。
⑦ この作業を第1巻最後まで続けてください。
お疲れさまでした。
次の作業にうつりましょう。
“簡単に進めない”脚本を書くとムズキュン
書き出したエピソードを順に読んでみてください。
気づきましたか?
話があんまり進んでないですよね?
つまり、2人の関係性は一進一退。
2人の関係が近づいたかと思ったら、また遠のいて、でもまた少し近づいて。
これの繰り返しになっていることに、爽子ならではのエピソードを追って、書き出してみると分かりますよね。
仲村講師はこう言います。
【マンガは微々たる変化でOK。小さなサクセスで大きなサクセスを期待させてください。
ゆっくりと起承転結の“山”を登る感じです。
そうすると、読者はムズムズして、キュンとなります。
また、大切なのはキャラクターはブレないようにすること。
「この子ならこんなこと言うだろうな、こんなことするだろうな」という、キャラクターならではのセリフとリアクションで、主人公と相手をぶつけて、亀のようにゆっくり関係を進める。だから、読者は余計に「あぁもう!」とムズキュンになるんです】
「簡単に進めない」とは、ずーっと同じ場所でのシーンというわけではなく、そのキャラクターならではのセリフやリアクションで、ちょっとずつちょっとずつ、主人公が成長したり、主人公と相手との関係性が進んでいくということ。
爽子ならではのエピソードを抜き出してみたことで、このことが体感できましたよね。
考えてみれば、マンガは基本、読み切りではなく連載。
だからこそ、終わらないように、そして読者に「終わらないでぇ!」と思ってもらえるような構成をすることで、ムズキュンは生まれるんですよね。
今やってみたように、自分が夢中になったマンガをただ読むのではなく、構成を分析してみてください。
そうすると、なぜ自分が夢中になったのか、理由がわかりますよ。
また、前々回・前回にこちらのブログでご紹介した、
マンガならではのテンポ
マンガならではのキャラクター
についても掴むことができますよ。
マンガ脚本を書くときの参考にしてくださいね。
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