本性が見える方法、お教えします。
求職者は、その会社にふさわしいであろう人物像を作ったうえで採用面接に臨みます。だからこそ、求職者自身の個性や本性は見えにくく、入社後に「え?こんな人だったの?」と驚くことはよくあります。
近年、最も採用担当者を悩ませているのが、SEの採用です。一般的にSEの方はコミュニケーションが苦手というイメージがあります。しかしコミュニケーション能力は、限られた時間内で緊張を強いる面接で計るため、本来の姿(本性)やポテンシャルを見極めにくいのも事実です。
今回は、SE採用のポイントと、プレッシャーをかけることなく求職者の本性を客観視できる質問方法をお伝えします。
SEにこそ求められる、「聞く力」「伝える力」
「こういうウエブサイトを作りたいってお願いしたのに、全然違う案が出てきたんですけど」
「難しい専門用語を並びたてられて、何を言われているのか分からなかった」
クライアントからこのような苦言を呈されることは、よくあるのではないでしょうか。
いくら技術力があっても、その技術を駆使してクライアントの要望に応えられなければ意味がありません。
専門知識に長けていたり、ロジカルなゆえに言葉づかいが杓子定規だったりなどから、コミュニケーション能力に疑問を持たれ、ヒューマンスキルも低いだろうと思われがちなSEだからこそ、本当にそうなのか、実はポテンシャルはあるのかを見分けるのが、採用の一番のポイントです。
相手が10歳の健太くんだったらどう話すか?
では、そこを見分ける具体的な質問方法とはどんなものでしょうか?
たとえば、あなた自身が10歳の甥っ子健太くんに
「おじさんは毎日忙しそうに働いてるけど、社畜ってやつなの?」
「SEってオタクじゃないの?もてなそうだね」
などと聞かれたらどう答えますか?ドラマのワンシーンだと思って想像してみてください。
カチンと来つつも、子供相手なのだからと、自分が何にやりがいや喜びを感じて仕事しているのか、建前ではなく本音を、よそいきではない言葉でなるべく分かりやすく説明しようとするのではないでしょうか。そのセリフにはきっと、あなたならではの人となり、本性が見えるはずです。
面接に健太くん登場
この応用で、面接でも求職者に
「あなたに10歳の甥っ子健太くんがいると想像してみてください。その子に、『どうしてSEになりたいと思ったの?』と聞かれたら、どう答えますか?」
と尋ねてみてください。
その途端、求職者にとっての質問相手は面接官ではなく健太くんになります。彼に、10歳の子供に分かるように自分の気持ちを説明しよう、と相手を慮る気持ちがあれば、専門用語を並べたてたり、「御社」「企業理念」など面接のお決まりワードを使ったりすることなく、飾らない素の自分が出てきます。その変化が見えなければ、彼には想像力が少し足りないかもしれません。
続けざまに
「これからAI時代ってやつになるんでしょ。もう人間は働かなくていいんじゃないの?」
「SEがいる会社ってブラックなんじゃないの?」
など、健太くんからの質問をぶつけてみてください。健太くんとのセリフの応酬になると、用意してきたよい自分を演じることを忘れ、ますます本来の姿を自分の言葉で話し始めます。
たどたどしくも必死に説明しようとするか、感情的になってぶっきらぼうに答えるか……
そんな彼の態度や言葉から、あなたは彼のコミュニケーション能力や本性を客観的に見ることができるのです。
「採用面接を受けにきた人」を演じさせるのを、やめよう
SEの採用面接でコミュニケーション能力を計り、その人の本性を見極めるためには
・採用面接のために武装してきた「見せるための自分像」を壊す。
・そのために、面接官に対してではなく、10歳の健太くん相手にどう話すかを見る。
・見えにくい本音(ストレス耐性や自発性など)を健太くんからの質問攻めで聞き出す。
ことが大切です。是非、面接の機会に試してみてください。
本当にコミュニケーション能力がない人材のか、口下手なだけで、環境さえ整えば、専門の領域でも相手を思いやったコミュニケーションができる人材なのか、判断することができますよ。