上質な 脚本 が書きたい!でも……
良い 脚本 が書きたい……そう思えば思うほど行き詰ってしまうものです。
・ストーリーがうまく展開しない…
だから、
・登場人物が動いてくれない…
なので、
・どうしたらいいかわからず手が止まる…
ストーリー展開を考えれば考えるほど負のスパイラルにハマっていきます。
脚本を書く時、ストーリーばかりに気を取られていませんか?
ストーリーをいくら考えても書けない状況の打開策にはなりません。
ではストーリーを考えないで、どのようにすれば止まった手を動かすことができるのか。
それはズバリ、人物を魅力的に描くことです。
なぜなら人物を魅力的に描くことで、人物が物語を動かしてくれる原動力となるからです。
今回は、止まったあなたの手を動かすための「魅力的な人物」の描き方をお伝えします。
なぜ、魅力ある人物を描くことが大切なのか?
まずはストーリーを考えても打開策にならないのはなぜかをご説明いたします。
新井一著「シナリオ作法入門」(映人社)では、ストーリーは23パターンに分類されると紹介されています。
例えば、トム・クルーズ主演の「ミッション・イン・ポッシブル」シリーズ。
これは、仲間を集めて目的を達成する「桃太郎型」に分類されます。
他にも「特攻野郎Aチーム」シリーズや「オーシャンズ11」シリーズ、
日本映画では伊坂幸太郎原作「陽気なギャングが地球を回す」等もこの型に当てはまります。
他にも宮崎駿監督作の映画「千と千尋の神隠し」も、
オードリーヘップバーン主演の映画「ローマの休日」も、
映画「プリティーウーマン」も「プラダを着た悪魔」も、
「今まで触れてこなかった異世界で成長する女性のストーリー」というパターンに分類できます。
ストーリーは、パターンでしかないのです。
実は視聴者・観客は、映画やドラマを見ている時、ストーリーを見ているのではありません。
ドラマに登場する「人物」を追いかけて観ています。
その人物が魅力的な人物であればあるほど、視聴者や観客はその「人物」のドラマに引き込まれていく…。
プロの脚本家はそれをわかっていて、ドラマを動かしてくれる魅力的な人物を熟考して脚本を書いているのです。
魅力ある人物の描き方とは?
人間はいろいろな面をもっています。
でもそれをすべて描こうとしても1時間ドラマ、2時間の映画では描ききることはできません。
その制約でどう魅力的な人物を描いていくかというと、「二面性」です。
人物の「二面性」、<憧れ性>と<共通性>を考えることで、ドラマを動かす人物を生み出すことができます。
<憧れ性>とは、視聴者・観客に「ああなりたい」と思わせる部分、
<共通性>とは、視聴者・観客に「自分と似ている」と思わせる部分です。
堺雅人主演ドラマ「半沢直樹」の主人公・半沢直樹は正義感の強い主人公です。
その性格ゆえに上司にも歯に衣着せぬ言動で悪をくじく<憧れ性>がある一方、妻に頭が上がらないという<共通性>を持っています。
WOWOWドラマ「MOZU」の西島秀俊演じる倉木尚武警部も、寡黙すぎる公安の警察官です。
普段は静かに孤独に事件の真相を突き止めようとするかっこよさ、<憧れ性>がある一方、家族のことになると激昂して我を忘れてしまう<共通性>があります。
<憧れ性>だけでは現実の人物とかけ離れすぎ、描くのが難しくなってしまいます。
そこに<共通性>を置くことで人物に人間味が生まれ、ドラマが動き出すのです。
まずは今書いている、もしくは書こうとしている脚本の主人公をシンプルに二面性、<憧れ性>と<共通性>のみを書き出してみてください。
その人物が脚本の中でどのような困難に立ち向かい、乗り越えていくのか。
色々なシーンが思い浮かぶようになるはずです。