面白い脚本を書くために考えるのはストーリーではない
脚本コンクールに応募するなら、「面白い脚本を書こう!」って思いますよね。
でも、面白い脚本を書こうと考えれば考えるほど面白くなくなったり、書けなくなってしまうことありませんか?
なぜそうなってしまうのか。
その原因として考えられることがあります。
面白い脚本を書こうと思ったとき、「ああなって、こうなって」とストーリーを考えていませんか?
考えるのは、「ストーリー=内容」ではないのです。
では、ストーリーではなく、何を・どうやって考えればいいのか。
その方法を、浅田直亮講師の公募コンクール講座からご紹介します。
面白い脚本を書くにはキャラクターを考える
そもそも、どういう脚本が「面白い」と思いますか?
浅田講師が提示した「面白い」はこの2点。
・感情移入できるもの
・今まで観たことがないもの
まず「①感情移入ができる」について。
映画やテレビなどのドラマを見て、何に感情移入しますか?
「ああ、私と同じだ!」と共感したり、「これからどうなっちゃうの」と涙したり、主人公のキャラクターに感情移入しませんか。ストーリーに感情移入するわけではないですよね?
だから、面白い脚本を書くにはまず、主人公の「キャラクター」を考えないといけないのです。
ではキャラクターはどう考えればいいのかというと、主人公の「性格」を作ってください。
浅田講師が紹介する、性格を作る方法は、
「○○すぎる性格+共通性(=○○すぎる性格ならでなのダメな部分や弱点)」を考えること。
例えば、ただの「負けず嫌いの性格」ではなく、「負けず嫌いすぎる性格」にします。
そして、負けず嫌いすぎる性格ならではのダメな部分として、「意地っ張り」と設定します。
負けず嫌いすぎる性格で意地っ張り。
こういう人、自分の周りにいますよね。
このように性格を作っていくと、視聴者は「あ、私と同じだ」となり、感情移入の“入口”になるのです。
※キャラクターを作るもっと具体的な方法としてはこちらの「脚本を面白くする登場人物の描き方」をご覧ください。
感情移入してもらうために主人公を困らせる
主人公の性格を作ったら、とことん困らせましょう。
なぜかというと、困っている人を見ると「どうなっちゃうんだろう…」と気になりませんか?
ハッピーな人を見たときより、困っている人を見たときの方が感情移入しますよね。
だから、主人公を困らせるのです。
困らせ方の方法として、浅田講師はこう提案します。
まず、他の人はそれほど困らないけど、○○すぎる性格だとすごく困ってしまうことを考えます。
次に、主人公が困ったとき、〇〇すぎる性格だからこそやってしまうリアクションや言ってしまうセリフを考えます。この2点をとことん考えてください。
〇〇すぎる性格ならではの行動・言動を考えると、
感情移入できて、今まで観たことがないシーンができる
〇〇すぎる性格の主人公が、
〇〇すぎる性格だからこそ困ってしまう状況に直面したとき、
〇〇すぎる性格だからこそやってしまうリアクションや言ってしまうセリフを思いついたら、
それは「1つのシーンが作れた」ということです。
ストーリー(内容)ではなくシーン(場面)ができたということです。
上記の手順で考えたシーンは、主人公をとことん困らせているので視聴者が感情移入できるシーンになっています。
また、このシーンは「ああなって、こうなって」と頭の中で練ったものではなく、〇〇すぎる性格だから困ること、〇〇すぎる性格だからやるリアクション・言うセリフのシーンになっているので、書いている自分も予想がつかないシーンになります。
作者自身も予想外のシーンなのだから、視聴者にとっても今まで観たことがないシーンになっている、ということですよね。
冒頭でお伝えした面白い脚本の要素「②今まで観たことがない」に該当しますよね。
上記のような手順で考えていけば、①感情移入できて、②今まで観たことがないシーンを考えられるということになります。
つまり、面白いシーンができるということです。
脚本はシーンの連続
面白いシーンが1つできたら、この方法でまた別のシーンを作っていってください。
それはなぜか。シナリオ・センター創設者の新井一はこう述べているからです。
「シーンが沢山集まって、一篇のドラマを作る」
(『シナリオの基礎技術』P19「1・原稿用紙の書き方/A・柱」より)
脚本はシーンの連続で成り立っています。
だから、面白い脚本を書くには、ストーリーを考えるのではなく、シーンを考えること。
シーンを考えるためには、キャラクターを考えること。
キャラクターを考えるためには、〇〇すぎる性格をつくること。
講座の最後に浅田講師はこう呼びかけました。
「今回ご紹介したやり方を実践すれば、考えれば考えるほど面白くなり、書いてる自分も楽しくなります。同じ「書く」なら楽しい方がいいですよね。それに、自分自身が面白がって楽しく書いた脚本ならば、それを読むコンクールの審査員も同じように感じてくれます。そうすれば結果はついてくる」
脚本コンクールに出す際、今回ご紹介した浅田講師流・面白い脚本を書く方法をぜひ参考にして下さい。
脚本の原稿用紙への書き方は以下のリンクから、ご確認できます。
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