平坦な脚本になっているのは「見せ場」がないから
自分で書いた脚本を読んだとき、何かしら出来事は起こっているのに、「どこまで読んでも平坦だな…」とガッカリしたことありませんか?
それはドラマティックな展開になっていないから、ではないでしょうか。
ドラマティックという言葉には「劇的。感動的・印象的なさま」(広辞苑)という意味があります。
そんなドラマティックな展開を作るには何が必要か。
それは、「見せ場」です。
では、ドラマティックな展開を作るには「見せ場」をどう書けばいいのか。
その方法を出身ライター・清水有生さんの特別講義・清水ゼミから紹介します。
見せ場=主人公の感情が高まり本音がむき出しになるシーン
まず、見せ場とはどんなシーンのことをいうのでしょうか。
清水さんは、具体的に見せ場とはどんなシーンのことなのかがよく分かる、こんなエピソードを披露して下さいました。
<プロの脚本家になって間もない頃、現場でこんなことを言われました。
「この脚本には“芝居場”がありません。“芝居場”を書いて下さい」。
セリフはちゃんと書いてあるのに、と最初は意味がよく分かりませんでしたが、「芝居場」とは「見せ場=視聴者に絶対に観てほしいシーン」のことでした。つまり、「見せ場がない=“ドラマ”がない」ということ。
僕が思うに「見せ場」とは、主人公の感情が高まって、今まで言わなかった本音がむき出しになって、どう思っていたのかがあからさまに分かる場面なのではないかと。だから、主人公がなぜそういう心境に至ったのかを回想シーンで済ませたり、主人公の本音をあまり重要でない登場人物にセリフで説明してしまうのは、なかなか見せ場にはなりくいのではと思います>
これで具体的に、見せ場とはどんなシーンかが分かりましたよね。
主人公の感情が高まって、本音がむき出しになるシーンが見せ場。
ドラマティックな展開を作るためには、こういった見せ場を作ることが必要なのです。
見せ場を作るには、主人公とは対極的なキャラクターの登場人物が必要
見せ場とはどんなシーンなのか、は解決しましたがこんな疑問も湧きませんか?
主人公の感情が高まり、本音がむき出しになるには、どうすればいいのか。
主人公ひとりでは、なかなかこういったシーンにはできないですよね。
清水さん流だと、こうです。
<感情が高まって本音が出るのは、人と意見や気持ちが“ぶつかったとき”ではないですか。
この様子がハッキリと分かるように、対極的な性格の2人をぶつけてください。
だから、主人公と対極にあるキャラクターの登場人物が必要になるのです。この登場人物が起爆剤となって、主人公の感情を高め、今まで言えなかったこと・言わなかったことがワッと表に出る。そういったシーンが見せ場になるのでは、と思っています>
現に、清水さんが脚本を手掛けたテレビドラマ『明日の光をつかめ』(東海テレビ)でも『プラチナエイジ』(フジテレビ)でも、こういった“ぶつかり合い”が描かれています。
皆さんも、夢中になって観たドラマには、ぶつかり合いのシーンが必ずといっていいほどあったのではないでしょうか。
見せ場を作るには、主人公と、主人公とは対極的なキャラクターの登場人物をぶつける。
これが大切なんですよね。
清水さん流の見せ場のシーンでドラマティックな展開に
「平坦だな…」とガッカリした自分の脚本を今一度確認してみて下さい。
その脚本には、主人公の本音がむき出しになっている「見せ場」はありますか?
“清水さん流”を参考に修正すると、「劇的・感動的・印象的」な脚本に生まれ変わるのではないでしょうか。
今回ご紹介したドラマティックな展開を作る方法、ぜひ活用してみてくださいね。