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【小説の書き方が分からないとき】シナリオの内容を小説にしてみる

「シナリオのテクニック・手法を身につけると小説だって書ける!」というおいしい話を、脚本家・作家であるシナリオ・センター講師柏田道夫の『シナリオ技術(スキル)で小説を書こう!』(「月刊シナリオ教室」)から紹介。
今回は「小説の書き方がよく分からない!」というときに使える話です。ポイントは「人称」と「視点」。「え?難しそう……」という方も大丈夫です。シナリオの内容を小説に書き換えてみると、人称と視点が実感できます。

シナリオは「三人称多視点」で描く

シナリオは三人称が基本です。
柱で場面を指定して、ト書で最低限のその場面の情景を示し(まったく省略することも)、登場人物を紹介して、人物の行動(アクション)を書き、人物指定をしてセリフとなります。

主人公を中心に物語を運ぶのが基本ですが、カメラが人物たちを映しますので、いわゆる「三人称多視点」となります。

例としてこちらのトップシーンを。
設定としては地方から東京にやってきた主人公が、最初に東京の象徴のような渋谷のスクランブル交差点を歩く。

〇渋谷・スクランブル交差点(夕)
   信号が変わり、人々が行き交う。
   大きなバッグを背負った日野真美(18)が慣れない様子で渡る。
   めざとく見つけた茶髪の佐倉徹(24)、真美に近づくと、
佐倉「ねえ、ねえ、彼女、どこ行くの?」
真美「……(呟く)ナンパだ。わるもんだ」
   真美、佐倉を無視してずんずん歩く。

最初のト書の“信号が変わり、人々が行き交う。”は、○渋谷・スクランブル交差点の最低限の情景描写となります。
渋谷の交差点の情景、混雑ぶりは認知されていますので、特に詳しくト書で書かなくても通用します。
これを省いて、“大きなバッグを背負った日野真美(18)が、人混みにもまれながら渡る。”といったト書から入っても間違いではありません。

人物紹介の初出は日野真美(18)というようにフルネームで年齢も分からせます。
以後、女性は真美、男性は佐倉というように表記しますが、これも単に認識しやすくするためです。

このように書かれたシナリオを、スタッフ・キャストで絵にしていくわけですが、カメラがどういう映像にするかは監督が決めて行きます。

例えば、俯瞰(ロングショット)でスクランブル交差点の歩行者たちをとらえ、カットが変わって、人の波の中をとまどいながら歩く真美を正面から映す。
さらにカメラが真美目線になって、すれ違う人々をとらえていき、渡りきった時に佐倉の顔が現れて、というように。

小説を「一人称一視点」で描く場合は、“私”の目線と見た目で描写する

さて、これと同じ情景を小説として書こうとする場合は、まず柱がありませんので、地の文で場所や時間を分からせなくていけません。

その前に一人称か三人称で描くかという選択があります。

例えば、一人称でその人物目線から書いてみます。皆さんもやってみて下さい。

——ああ、ここが渋谷だ! ようやく私は来たんだ。
テレビや映画で何度も見たけれど、夕方のスクランブル交差点はすごい人だった。
都会の彼らはいかにもそれが当たり前のようにすれ違っていく。
私はほんの十数メートルの向こう側に辿りつこうとするだけで息を切らしてしまった。
背中の大きなバッグが、ながらスマホの女子高生とぶつかって、ガン見された。怖い。
「ねえ、ねえ、彼女、どこ行くの?」
えっ、私に話しているの?
声の方を見ると、いかにもちゃらそうな茶髪男が笑っていた。

一人称の場合、私ならば私の目線、見た目で描写することになります。

問題はさまざまな情報(私や茶髪男の名前や年齢、性別など)も、何らかの方法で表現しなくてはいけません。

出典:柏田道夫 著『シナリオ技術(スキル)で小説を書こう!』(月刊シナリオ教室2014年7月号)より

シナリオ・センターの書籍についてはこちらから

※シナリオ・センター出身で小説家になられた原田ひ香さん。
詳しくはこちらのブログ「原田ひ香さんに聞く シナリオライターから小説家になるには」をご覧ください。 

※要ブックマーク!これまでの“おさらい”はこちらのまとめ記事で。
「柏田道夫 シナリオ技法で小説を書こう スキル一覧」

「創作のスイッチをつねに、オンにしてください」

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