千客万来
シナリオ・センター代表の小林です。長野の地震、また九州も心配ですね。
梅雨の重い空を見上げるとちょっと憂鬱な気分になります。
そんな中、今日は千客万来。センターをリタイアされた事務局、講師の方々が相次いでいらして、出身ライターの中山なおさんが、某ラジオ局の副局長としてお見えになりと・・・まあ、久々の嬉しい出会いが続きました。
色々な方が訪ねてくださるのは、ほんとうに有難い、嬉しいことです。
仕事の話より四方山話に花が咲きました。(笑)
散歩で頭も心も
「シナリオを書いていて、発想が詰まった時、どうしたら浮かびますか?」
一番の受講生の方たちのお悩み質問です。
出身ライターの方のお話から統計をとったら(そんな大袈裟でおないですが(笑))、ほとんどの方が、外に出て、ぶらぶらしたり、飲みに出かけたり、カフェでお茶したりされていらっしゃるようです。
机の前から、PCの前から離れた方が、頭も心も回転しやすくなるのかもしれません。 「散歩」で気分が変わって発想が生まれるというのは、ちょっと日常から切り離されるのがいいのでしょうね。
驚きの調査力
「散歩本を散歩する」(交通新聞社刊)、ドイツ文学者でエッセイストの池内紀さんが書かれた本が、この6月に出版されました。
散歩好きの池内さんは、いつもは一人散歩だけれど、月に一度お伴がいたとあとがきに書いています。
お伴とは、誰か?幸田露伴、永井荷風、井伏鱒二、内田百閒・・・三遊亭圓生、小沢昭一、安藤鶴夫、滝田ゆう、江国滋・・・etcetc。
え~、どうやって?実は、錚々たるメンバーが描かれた散歩本とともに歩かれるのですね。
池波正太郎の「江戸切絵図散歩」とか、幸田文「ふるさと隅田川」等など、 散歩本45編を紹介しているのが「散歩本を散歩する」という本になったというわけです。
そんな錚々たる作者の本の紹介に、なんとなんと(失礼!)我がシナリオ・センター作家集団の新井巖講師の本が紹介されているのです。(笑)
20冊目「山の手のお屋敷町の記憶」という紹介で「番町麹町『幻の文人町』を歩く」(新井巌著・言視舎刊)を取り上げています。
「番町の町名は、徳川家康直属の大番組が住んでいたのに由来しており、一番組から六番組まであって、今の一番町、二番町によすがをのこしている。
武家屋敷がズラリと並んでいたわけで、その生活上の需要をまかなうためには、近くに町家が必要だ。
麹屋ほかが移ってきて町人エリアを作ったのが麹町のはじまり。
実にわかりやすい。くわしく、丁寧に調べてある。
その上で泉鏡花の旧居、与謝野晶子・鉄幹が雑誌「明星」を創刊した家、放蕩息子永井荷風の家族のいたところ、貧乏暮らしで有名な内田百閒が、どうしてお屋敷町の住人になったのか。
文人にとどまらず、歌舞伎、映画、邦楽、美術、それぞれのスターたち、ジャーナリズムや経済界で活躍した名士たち。
どうしてこんなことまでつきとめたのか、あきれるほどである。」
嬉しい紹介です。
新井講師は、音楽、オペラや文学、演劇、映画などに精通されているので、驚くような散歩本ができたのでしょう。
発想をやわらかくするために、こんな本を片手に、近くだけれど行ったことがない、今まで考えたこともない、想ったことがないところへ歩いてみませんか。