小説を書いてみたいならショートショートから
小説を書いてコンクールに出してみたい。でも、長いものを書く自信がない…。
そういう方、いらっしゃると思います。
だったら、ショートショートを書くことから始めてみませんか。
どうせ書くなら、“面白い”ショートショートを書きたいですよね。
面白いショートショートを書くときに気を付けるポイントは2つ。
①幽霊オチと夢オチは避ける
②過去の話は書かない
では、この2つのポイントをどう気をつければいいのか。
脚本家・作家として活躍中の柏田道夫講師による小説講座から、面白いショートショートの書き方をご紹介します。
幽霊オチと夢オチは避ける
〇柏田講師:ショートショートの作品は「オチ勝負!」のようなものが沢山ありますよね。
特に多いのが、「実は幽霊でした!」という幽霊オチと、「実は夢でした!」という夢オチ。
多いからこそ、できるだけ避けた方がいいのではないでしょうか。
例えば、モノオチはどうですか?書くときの“視点”としては、小説特有の「一人称(例:私は)」を使う。
「私は~」という書き方をすることで、主人公が女性か男性かを曖昧にして進めていけます。
そして最後に、「実はカバンでした!」と落とすことができる。
うまくいけば、主人公がモノとはなかなか気づかれませんよ。
こんなふうにオチで勝負するなら、今までにないオチを考えてみてください。
→補足:幽霊オチと夢オチは映画でも多いですよね。
例えば、幽霊オチなら『シックス・センス』(1999)、『パッセンジャーズ』(2008年)。
夢オチなら『不思議の国のアリス』(映画は1951年)、『ファム・ファタール』(2002年)。
「〇〇みたいなオチだったよ」と読者に言われないように、他のオチを探してみましょう!
※小説の視点や人称についてはこちらのブログをご覧ください。
■ブログ【シナリオと小説の違いは「人称」】
■ブログ【シナリオの「三人称多視点」と、小説の「一人称一視点」】
過去の話は書かない
〇柏田講師:小説講座ではいつも、ショートショートの課題を出してもらいますが、特に夫婦もの・恋愛ものは、2人の過去の話を書いている人が多い。
でも、「過去にどういうことがあって~」という長い話はどうでもよくて、大切なのは2人の今!
この2人は今、どんな状況で、どんな障害があるのか。
そこを書くことで、読者を夢中にさせる「切なさ」が描けます。
ショートショートはただでさえ枚数が少ないですからね。
過去の話ではなく、障害にぶつかって葛藤している今の2人を書いてください。
作家と編集者は “共犯者”
面白いショートショートを書くときに気を付けなければいけないことは分かりましたよね?
では次に、作家としてどんなことを気を付ければいいのか。
作家・柏田道夫の担当編集者である湯口真希さん(株式会社 双葉社文庫編集部)のコメントをご紹介します
〇湯口さん:連載や刊行予定が重なっているような売れっ子はともかく、まだこれからの作家さんが締め切りを守らないのは論外。締切の2・3日前には書き終えて、1日おけば、無駄なところが見えてきます。
そこを削除する時間も確保するのがプロなんじゃないかと。
こう考えるのは、小説を書いて販売することは、合法的な詐欺だと捉えているからです。
作家は美しい嘘を提供して、読者にはその美しい嘘のために気持ちよくお財布を開いて頂く。
だから、作家と編集者は“共犯者”だと思っています。
では、どんな人が“共犯者”になれるのかというと、「この人を応援したい!売り出したい」と思わせる人。
これは大切ですね。心からこう思えてこそ、作家と編集者は“共犯者”になれると考えています。
湯口さん、ありがとうございました!
なるほど、作家と編集者は“共犯者”。
たしかにそうですよね。
文章だけでなく、やはり人柄でも、いかに人を魅了できるか、なんですね。
皆さん、今回ご紹介した面白いショートショートを書く方法、ぜひ参考にしてください。
そして、作家として気を付けることも念頭に置いていただければと思います!