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作家になるための読書方法Ⅰ

作家になるための読書方法Ⅰ

「シナリオのテクニック・手法を身につけると小説だって書ける!」というおいしい話を、脚本家・作家であるシナリオ・センター講師柏田道夫の『シナリオ技術(スキル)で小説を書こう!』(「月刊シナリオ教室」)から紹介。
今回は作家になるための読書方法その1。作家になるためには、自分の創作に役立つ読み方をすることが大切です。その具体的な方法をご紹介します。

読書は創作の質を高める読み方で

皆さんが小説家志望者ならば、大前提として「プロ作家の小説を読む」時間と習慣を生活の中に組み入れてください。

「読書」の時間がなく、スマホが手放せない、ネットサーフィンやライン、SNSばかり、ゲームばかり、ドラマや映画はたまに見るけど……、という人は、作家になることは諦めるしかありません。

作家(小説家だけでなく脚本家も)になるためには、(生活の基盤となる仕事は別にして)少なくとも「創作」に関わるもろもろを最優先にしない限り、道は拓けないからです。

その道のプロになるのは、そのくらいに厳しいということを念頭に置いて下さい。アウトプット(放電)としての「書く」ことと同時に、インプット(充電)として「読書」は不可欠です。

一般読者ならば、読書は趣味でいいわけですが、志望者ならば、できるだけ自身の創作に役立つ質を高める読み方をしたい。
趣味としての読む小説(これも充分に充電になります)と、テキスト的に読む小説を、大まかでいいので分けます。

あなたがどういうジャンルを目指すのか?どういう小説を書きたいのか?でテキストとする作家が当然違ってきます。

できるだけ質の高い作家の小説を選びましょう。
ただし、一人の作家とか、知っている作家ばかりとすると、どうしても拡がりが望めませんので、常に新しい作家や、古典であっても今まで触れたことのない作品にも手を拡げてほしい。

そこで新しい発見があると、さらに読書の質が向上できます。

読みながら気になる部分をチェックする

いい本を選ぶ能力は、その人の読書量や経験値と比例します。当たり前ですが、これは書く能力も同じです。

ただし、書く方はより効率のよい訓練法はありますが、読書に関しては、まず経験が大きくものをいいます。

ともかく、テキストとして小説を読む際には、できればエンピツ(マーカーでも、ボールペンでも)と付箋を常備したい。当然、読み終わった小説を古本屋さんに売るといったことはできなくなります。そもそもテキストにしたい本は、小説とかに限らず、創作のための資料だと位置づけます。

まず読む前に、その小説のおおよその枚数を把握しておきます。
短編ならば何枚程度か?
長編ならば、目次をチェックして、章立てを確認しておきます。
それぞれの章にタイトルがつけられているか?

例えば、手元にあった宮部みゆきの時代小説『ぼんくら』は文庫の上下巻。
400字で1000枚強の大長編ですが、上巻は「殺し屋」「博打打ち」「通い番頭」と、短編連作的な各章が5作あり、真ん中の「長い影」から、上巻の半分と下巻のほとんどを占める長編仕立て。
「長い影」は十三の小章で作られ、最後に「幽霊」という短い物語で占めるという変わった構造になっています。この構成がまず画期的なのですが、それはまた別の話。

ともあれ、短編か中編、長編かで物語(題材)の切りとり方や構造なり、エピソードの入れ方、テーマの据え方などが違いますので、認識した上で入ります。

視点がどう据えられているかを確認して、後は簡単です、読みながら気になったところに線を引く。特に大事な箇所、ページは付箋を貼る。登場人物が出てくるたびに〇をしておく。場所や固有名詞、キーとなりそうな小道具や伏線かと思ったら、とりあえずチェックします。

もちろん、情景描写、人物描写、心理描写など、優れていると思う文章、表現だと思ったところは、囲ったり、線を引いておきます。
で、読み終わった後で、もう一度、線を引いてあるところだけをおさらいします。

出典:柏田道夫 著『シナリオ技術(スキル)で小説を書こう!』(月刊シナリオ教室2016年7月号)より

※要ブックマーク!これまでの“おさらい”はこちらのまとめ記事で。
「柏田道夫 シナリオ技法で小説を書こう スキル一覧」

シナリオ・センターの書籍についてはこちらからご覧ください。

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