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代表 小林幸恵が毎日更新!
表参道シナリオ日記

シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。

消えるもの、遺すもの

沖ノ島の巨岩

去るもの

シナリオ・センター代表の小林です。7月も終わりです。今日で最後のお店があります。青山アンデルセン。シナリオ・センターと同い年なのにとても残念。
今日は、長蛇の列でしたが、ランチ用のパンを頑張って買いました。
ここにしかないデンマークケーキは、もう昨日の時点で売り切れとか。食べたかったなあ。
最期の窯でパンを焼くパン職人の方々は、火を止める時どんなお気持ちでしょう。
アンデルセン自体が無くなるわけではありませんが、デパートに入っているアンデルセンとは、やはり趣も、お客様のあり様も違います。
新しくなることを決して拒むつもりもありませんが、私にとって、シナリオ・センターにとって思い出の地が一つ消えていくことは、一抹の寂しさを感じます。

神宿る海の正倉院~沖ノ島~

遺していくことが大事なものはたくさんあります。
写真家の藤原新也さんがお撮りになった「沖ノ島」展を見てきました。
さすが世界遺産は素晴らしいです。
特に人がいけないところですから、もちろん神の島ですから神秘的には違いないのですが、それ以上に底知れない魅力を秘めている島です。

「沖ノ島」は福岡県、玄界灘の洋上に浮かぶ孤島です。古代4世紀から大和朝廷による国家祭祀が行われ、今も尚宗像大社神職がたった一人で毎日祈りを捧げている神聖な場所です。
島そのものが御神体なので、女人禁制の島であり、いまでも一般の人の入島は厳しく、今回藤原さんが入島し、撮影できたいというのも大変なことなのだそうです。
なにしろ、一木一草一石たりとも島外に持ち出してはならない掟が今も守り続けられているのですから。

島から出土した約8万点のご神宝が国宝に指定されたことから、沖ノ島は「海の正倉院」と言われています。
銅鏡、翡翠の勾玉、純金製の指輪始め、ササン朝ペルシアのカットグラスなどが祭祀に捧げられました。
写真をみると、指輪や勾玉がとてもきれいに現存しており、今誰かがはめていたのではないかと思えるほど。
どうして?と思うのですが、それが神の島だからでしょうか。田心姫がはめていたとか?(笑)

今もそこそこに土器のかけらや銅鐸などが散在しており、まさに島そのものが正倉院という感じがします。苔むす渡り石も誰にも踏まれていないので、びっしりと緑が映えています。
そんな島の情景と国宝の数々を藤原さんが撮影され展示。
写真なのに、その圧倒的な神々しさに思わず声を上げてしまいました。
入島を許可された藤原さんがうらやましい。でも、女人禁制ですからね。
こうした禁忌を大事にすることも文化なのだと思うので、写真と映像でしか見ることができないのは残念ですが、楽しむことにしましょう。

消えていくもの、遺しておくもの様々ですが、文化というのは何を遺すかということをきちんと見つめることから生まれてくるような気がします。
大事なものは記録、記憶していきたいものです。
青山アンデルセンのペストリーをかじりながら思ったことでした。しつこい。(笑)

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