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代表 小林幸恵が毎日更新!
表参道シナリオ日記

シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。

恐怖によって想像力ははばたく

「怖い絵展」

歴史を読み解く

シナリオ・センター代表の小林です。今日は防災の日。関東大震災から94年、そこここで災害が起きている昨今、いつ何時なにが起こるかわからない時代に突入しているようです。
日本だけの問題ではなく、ここ200年くらい地球がおとなしい時代で、21世紀は変動期に入ってきているという説もあり、なんとなく腑に落ちる気もします。
地震は予知できないので、科学的な解明とともに歴史を紐解いたりしながら少しでも早くわかるようにしようとされているようですが、自然はそう簡単に正体を見せてくれません。。

歴史というのは大切なものなのです。
ですが、歴史として遺す、認めるという作業は人がやることです。
関東大震災の時は、デマから朝鮮人を虐殺してしまうという事実がありました。
ですが、昨今は、都合の悪いことはスルーしてしまう風潮があります。
事実をきちんと受け止めるという歴史的考察が、人としての器量が、敗戦後の日本には育っていない気がします。
歴史というのは、ほとんど勝者が伝えていくものですから、敗者である日本の戦前・戦後史は伝えにくいものなのでしょう。
嫌なこと、哀しいこと、恥ずかしいことでも、どれだけ客観的に伝えるか、遺していくかは、残念なことに人間の度量にかかってしまうわけですが、事実、データを俯瞰して捉え、どちら側にも立たずに、きちんと歴史として後世に伝えていく・・・良い方法はないものでしょうか。
人としてきちんと自分以外の人と真摯に向かい合う、未来の人のためにきちんと遺す。叡智というものはこういうことだと思うのですが。

客観性というのは、特に創作においては大切なことです。
シナリオのすばらしいところは、登場人物ひとりひとりのキャラクター、背景、事情を創りあげることです。この作業を繰り返すことは、たいへん客観性を養います。
なにしろ、ドラマは葛藤・相克・対立です。対立軸がしっかりしていないと面白くなりません。
それには、対立しあう者の意見、考えがどちらも正論でなくてはいけないということです。
対立軸が強ければ強いほど、主役だけでなく視聴者・観客も翻弄され、葛藤します。
創作者は、常に俯瞰で、色々な人のことを想像しなければ広がりません。
ご自分の考えや想いをとは別に、「人は皆違う」ことを理解した上で、キャラクターや対立軸を創りあげることで、ドラマは面白くなるのですから。

想像によって恐怖は生まれ、恐怖によって想像ははばたく

より想像力を養うために、ちょっと面白い展覧会をご紹介します。
10月7日から上野の森美術館で開催される「怖い絵展」

前にミソ帳倶楽部でお話しただいたドイツ文学者であり作家の中野京子さんが上野の森でまたまたすごいものをみせてくれます。
中野さんは「想像によって恐怖は生まれ、恐怖によって想像は羽ばたく」(中野京子著『「怖い絵」で人間を読む』より)とおっしゃっています。
これらの絵画の中から、時代背景、歴史などを読み解き、どう想像するかはあなた次第です。
最大注目作は初来日の「レディ・ジェーン・グレイの処刑」。
わずか9日のみ王位にあった16歳の女王の処刑を描いたものです。
登場人物は5人。
さて、あなたは時代背景を考えながら5人のキャラクター、想いをどうとらえるでしょうか。
シナリオ作りは人間をとらえることから始まります。

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