「ひよっこ」今月で終わりますが・・・。
シナリオ・センター代表の小林です。今日の東京はまさに秋空でした。
暑いのですが吹く風も秋っぽい。今年もこの辺から加速が増して、どどどーんと一気に年末に向い新年を迎えるのだろうなと恐ろしい気持ちになります。
と言いつつも、明日はお休みをいただいて、昼は吉右衛門丈の歌舞伎、夜は岡田惠和さんのお芝居「ミッドナイト・イン・バリ」を観に行きます。とても楽しみ。
すみません。ちょっと息抜きさせていただきます。
今月号のドラマ誌に、朝ドラ「ひよっこ」のシナリオと「岡田惠和シナリオに学ぶ」と題してセンターの仲村講師が、「ひよっこ」を題材にシナリオ分析が掲載されています。
岡田さんから、「嬉しい分析をしていただいてありがとう」と仲村に伝えてほしいというメールをいただき、私はホッとし、仲村講師は大喜びでした。(笑)
「深い人物造形から生まれる描写、セリフ意表を突く仕掛け」というサブタイトルのごとく、岡田さんのキャラクターの作り方は、単にキャラクターを作るだけではないから、普通のそこらへんにいるであろう主人公が輝くのです。
普通の人を魅力的に描ける力量は並大抵なことではありません。 普通なのに普通でないところが必要だからです。
小説でもドラマでも、テーマに合わせて、キャラクターを作って、ストーリーは、主人公がぶつかることをどう処理していくかを考えることでうまれてきます。
よくあるストーリー、よくあるドラマになるのは、キャラクターを身近な人だったり、自分の周りだけを材料にすることが多いからです。
実は、ここが創作なのです。画一的な人物を作らないことが、作者の創作なのです。
というと、突拍子もない人物を創らなくてはいけないと思われるかも知れませんが、岡田さんの「ひよっこ」のシナリオと合わせて、仲村講師の分析を読んでみてください。
普通な人を描いているのに、魅力的なのは「何か」がわかります。
キャラクターを創るだけではだめ
キャラクターを作られるとき、キャラクター表を作っていらっしゃいますね。
ドラマは人間を描くことですから、キャラクターをしっかりと創り込まなくてはいけません。
ですが・・・「人間をいかに克明に描いても、それだけではドラマになりません。 人間となるためには感情がなければなりません。
その感情が生まれるためには自分以外のものや人物に対して好き嫌いや感動したりするのです。 端的に言うと、人間と人間の間の感情がどうなっているかを描かないと人間を描いたことにならないのです。
親子との間でも、いつもは親しくても殺してやりたい感情に駆られるのも本当ですし、男女の間では、好きとか愛すると思えば憎しみになったり、その千変万化の感情は語るにつきません。
そこにドラマができるのです。ただし、その感情のよってくるところが当たり前のことだとパターンになるのです。
感情を見つめるためには、自分を見つめることです。」
新井一はこういっています。
「自分を見つめること」と言われても案外難しいです。
ですが、ゼミでもそうですが、他人の作品を観ること聴くことは、客観的にわかる一番手っ取り速い方法です。 分析したり批判したりすることは決して難しくはないのですが、それを自分のものにするのは大変なことです。
自分のものにする唯一の方法は、ただ「描く」につきます。
「人のふり見てわがふり直せ」という諺があります。
客観的にみつめながら、主観的になる術を、ひたすら描くことで体得していただきたいと思います。