プロデビューへのチャンス、広がる
脚本コンクールに応募したことがありますか?
興味はあるけど、脚本コンクールに出すレベルまで達してないし…。
そう思っているかたもいらっしゃるのでは?
思いきって、脚本コンクールに応募してみませんか?
受賞できなくても、ファイナリストになったら、贈賞式に参加でき、審査員の方々に自分の作品についてアドバイスをいただける機会もあります。
そして、受賞した場合は、受賞者のみに声をかける企画募集に参加できるチャンスをいただけることもあります。
実際、先日実施された第42回創作テレビドラマ大賞(日本放送作家協会・NHK共催)の贈賞式で、NHKエンタープライズの越智篤志さんが受賞者にこう呼びかけていました。
【選ぶだけじゃなくて育てるということも最近特に心掛けています】
賞をとればすぐにプロデビューできるとは限りません。
でも、受賞すれば、プロデビューへのチャンスは勿論広がります。
今回は第42回創作テレビドラマ大賞の贈賞式の模様から、
・大賞受賞の石原理恵子さん(研修科)と佳作受賞の潮喜久知さん(作家集団)の受賞コメント
・乾杯の音頭をとった出身ライター・柏原寛司さん(一般社団法人シナリオ作家協会会長)の激励コメント
・審査員を務めた越智篤志さん(NHKエンタープライズ)のコメント
――をご紹介します。
受賞コメントからは、このコンクールにはどんな想いで挑戦したのかが、
激励コメントからは、受賞後の心構えが、
そして審査員コメントからは、受賞後にはどんなチャンスがあるのかが分かります!
大賞受賞『週休4日でお願いします』石原理恵子さんコメント:
働く人が自分にあった働き方を見つけられる世の中になれば
この作品は、働くことについて考える“コケシラブコメディ”です。
社員食堂で働いているけど、残業が多くて「もう会社を辞めたい!」と思っている男の子・タカハシくんのところに、コケシ好きの女の子・ハナちゃんが「週休4日でお願いします」とパートに応募してきます。
介護の話でもなく、貧困に苦しんでるわけでもなく、病気でもない。それにタカハシくんは普通の人。でも、普通なんだけど、凄く苦しんでいて、煮詰まっている人が書きたかった。
私自身、15年会社に勤めていたんですが、その時の残業時間はすさまじくて、「食べるために働いているのに、どうして働いていると食べる時間がないんだろう…」ということをずっと思っていました。そのことをヒロインのハナちゃんに代わりに言ってもらいました。
作中、コケシがふんだん出てきます。
それは私が個人的にコケシが好きなのと、第3次コケシブームと言われコケシが流行っているんですが、ここ2・3年でコケシブームが収まってきてしまったので、コケシをもっと皆さんに知ってほしいということもあって、コケシを5分に1回出てくるように盛り込んでみました(笑)。
週休4日を推奨しているわけじゃないんですけど、働く人が自分にあった働き方を見つけられる世の中になればいいな、と思っています。
※大賞受賞作品『週休4日でお願いします』は来年2018年にNHKで制作・放送予定。
佳作受賞『やらずの雨が上がる時』潮 喜久知さんコメント:
ワクワクな気持ちを大切に
私が書いたのはとても地味な作品で、おじいちゃんとおばあちゃんの居場所のない老人2人のお話です。
独居老人のもとに、ボケ老人のフリをしたおばあちゃんが転がり込んできて、数日を過ごします。例えるなら、おじいちゃんとおばあちゃん版『ローマの休日』でしょうか。
独居老人のおじいちゃんは、物語の最初と最後で置かれている立場は何も変わっていないし、相変わらず1人だし、死んでもだれも看取ってくれないし、という状態ではあるんですが、でも、物語の最後には、おじいちゃんの気持ちが前向きに変わっています。
状況は変わってないけど、気持ちだけは変わっている。そういう何の変哲もない、普通の人の心が変わるサマを書きたくて、地味な作品ではありますが、応募させていただきました。
実は、一昨年の第40回創作テレビドラマ大賞に応募していて、『希望が眠る島』という作品で佳作をいただいているので、今回で2回目の受賞になります。
こう言うと「とてもハングリーな奴だ!」と思われるかもしれないんですけど、私本人はゴリゴリと自分を営業したり売り込んだりすることがとても苦手なので、選んでいただくというコンクールがとても好きで、性懲りもなく、また応募して、この場に立たせていただいているという次第です。
ですので、重責を感じています。
2回目ともなると、「あいつ、そこそこやるんだろうな」という目で見られるんじゃないかとプレッシャーがかかり、気持ちが萎縮してしまうんですが、「私が書いたものが映像化されてテレビで放送されるかもしれない!」と思うと、とてもワクワクします。
この気持ちを大切に、これからも書いていきたいと思います。
出身ライター・柏原寛司さん激励コメント:
やたら褒めてくる人には気をつけろ!
やたら褒めてくる人には気をつけてください。作家の筒井康隆巨匠はある書籍の中で、「ライバルの蹴落とし方」という項目があって、そこには「やたら褒めろ」と書いてあります。
褒めて褒めて褒めまくって、その人のダメなところも褒めると、相手は段々その気になってきて堕落する、と。
だから特に、仲間うちの褒め言葉には気をつけてください。
そして、早く一人前になって、長者番付の上に載るように頑張ってください(笑)。
審査員・越智篤志さん(NHKエンタープライズ)のコメント:
これからは育てるということもやらないと
NHKエンタープライズでは、選ぶだけじゃなくて育てるということを特に最近心掛けています。
ここ5年くらいで受賞された皆さんにお手紙をしまして、「企画があれば送ってください」と。大賞・佳作・奨励賞のベスト3にに入っていただいた受賞者の方々に、年に1回集まっていただいて、短いドラマの企画を持って来ていただく。そして、一緒に合同で審査するというようなイベントを年に1回始めました。
この中から選んだだけでは終わらないので、この取り組みはまだ“発展途上”ではあるんですが、今後、本当に書いていってくださるかたが1人でも2人でも輩出できたらいいなと思っています。
だんだんと“顔馴染み”が増えていって「ちょっと現場が困っているので、手伝ってくれますか?」とお願いできる関係に少しずつなっていけたらいいですね。
今日受賞された皆さんも仲間になっていただいて、これからは「育てる」ということもやっていかないといけないと思っている次第です。
プロの意見を直接聞けるチャンスがある!
第42回創作テレビドラマ大賞の応募総数は841編。この中から今回は大賞1編、佳作1編、奨励賞2編、ファイナリスト4編が選出されました。
贈賞後、あるファイナリストの男性は、ある審査員(脚本家)のもとに行き、「自分には何が足りなかったのか」と質問していました。
その審査員のかたは、彼の作品を細部まで覚えており、「このシーンはこういう部分がとてもよかったけど、肝心のこの部分が描ききれていない」と丁寧にアドバイスされていました。
ファイナリストの男性は「次の作品に役立てます!」と大感激。
贈賞式の場に参加できれば、たとえ受賞できなくても、こうやってプロの意見を直接聞けるチャンスがあります。
制作者側は常に、魅力的な企画を生み出せる新しい人材を探しています。
創作テレビドラマ大賞のこれまでの受賞者にはシナリオ・センター生の方々が沢山いらっしゃいます。
来年の第43回創作テレビドラマ大賞はぜひ、挑戦してみてください!
※第41回創作テレビドラマ大賞贈賞式の模様はこちらのブログをご覧ください。
※第40回創作テレビドラマ大賞贈賞式模様はこちらのブログをご覧ください。
■一般社団法人 日本放送作家協会の公式サイトはこちらからご覧ください。