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良いセリフを書くためにおさえるべきセリフの機能、種類とその方法

いいセリフを書くための技術とは?

いいセリフは作家の腕のみせどころ

柱、ト書、セリフ。脚本は3つの要素で成り立っています。その中でも一番作家性が現れると言っても過言ではないのが「セリフ」。良いセリフを書くことができれば、あなたの作品は魅力的になり、みている人を感動させることができます。
ただしその分一番、書く上で難しいとされるのも、セリフです。

「どうもセリフが説明くさくなってしまう」
「ありきたりなセリフばっかりになってしまう」
「だいたい良いセリフって何?」

そんなスパイラルにはまってしまうとどうやって書けばいいのかわからなくなってしまい…。そうならないためにもまずは、セリフについて整理しましょう。今回は、セリフとは元々どういうものなのか。セリフの『機能』と、いくつかの『種類』をご紹介して、良いセリフを描くにはどうすればいいかをお伝えします。なおセリフの技術は脚本だけでなく、小説にも、戯曲にも、マンガ原作にも活用できます。

セリフの機能

良いセリフを書くためにはまず、セリフの機能を押さえておさえましょう。
セリフの機能は、

①事件・事実を知らせる

②人物の心理・感情を表す

③ストーリーを進展させる

の3つです。例えばこんなセリフがあったとします。

花子「あのお墓は幽霊が出るらしいよ。怖いけどなんかワクワクする……じゃあ今日の
 夜、行ってみようよ」

この場合、「あのお墓は幽霊が出るらしいよ」で事件・事実を説明しています。「怖いけどなんかワクワクする……」で人物の心理・感情の説明を、「じゃあ今日の夜、行ってみようよ」はストーリーを進展させるための説明となります。機能を踏まえたセリフを確認してみると、重大なことに気づくはずです。
それは、セリフが①~③の機能を満たす「説明」であるということです。実はセリフは元来、「説明」という宿命を持っているのです。

無意識にセリフを書いてしまうと、説明っぽくなってしまうのです。説明っぽくなっている場合は下記の「セリフの種類」に該当している可能性があります。

初心者がやってしまいがちなセリフの種類

独白セリフ

一人語りです。
「あーお腹へったなぁ。中華も良いけど、和食も好きだ。よし、どこかに良いお店探そう!」
舞台や作品の世界観によっては独白セリフが活かされるものもありますが、通常上記のような独白セリフでは、観客へ伝えるためだけの不自然な「説明」になってしまいます。

英会話セリフ

英会話セリフとは、英語の教科書等でよく目にする問い、答え、問い、答えのやりとりで紡がれるセリフです。
「泳ぎは好きですか?」「ええ、とても好きです」
「泳ぎはうまいですか?」「うまいと思います」
「ふつうどこへ行きますか?」「江の島です」
こちらも無意識に使ってしまうと、あらかじめ決められた答えを引き出すためだけの「説明」になってしまいます。観ている方は面白くありません。

上記のように無意識に書いてしまうとセリフは「説明」セリフになる……。「説明」という宿命を持っているセリフを、いかに説明らしくしないかが良いセリフを書くための技術。その鍵を握っているのが、キャラクターです。

良いセリフを書く方法

良いセリフを書くポイントは、登場人物のキャラクターを押さえることです。キャラクターを押さえるためには、登場人物のキャラクターを「~(性格)すぎる」と設定してください。この場合、性格を表現する上での言葉尻は、こだわる必要はありません。
「真面目すぎる」、「能天気すぎる」、「頑固すぎる」等、そのキャラクターの性格をシンプルに書き出します。そうすることで、あなたの描きたいキャラクターの共通性が浮かび上がっていくはずです。
共通性が浮かび上がったら、憧れ性を整理してください。これが、キャラクターを魅力的にする二面性です。
(二面性については、『脚本を面白くする登場人物の描き方』の記事をご覧ください。)

そのキャラクターがどんなことを言うのかを前提にセリフを考えると、良いセリフが生まれます。
「殺してやる!」というセリフ一言でも、黒沢明監督作の映画「用心棒」の主人公・桑畑三十郎が剛直すぎるからこそ、包丁片手に「刺身にしてやる!」というセリフになりますし、小津安二郎監督作の映画「東京物語」の原節子演じる紀子は、誠実すぎる性格だからこそ戦死した夫のことを忘れられない。そのことを義理の父母に「戦死した夫のことを忘れることができないんです」というセリフではなく、「私、ずるいんです」というセリフが生まれるのです。

良いセリフを描くためには、キャラクターを踏まえて書いてみましょう。

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