「47行の物語」年間最優秀賞は…
3月東北地区「はれの日の朝」有坂尚子さん!
2017年2月~11月に実施された「ごはん」×「地域」で、47行のシナリオを作る『47行の物語~47都道府県シナリオコンクール~』(応募総数1841編)の月間最優秀賞10編の中から、年間優秀賞を2018年4月13日(金)に選出!
・一般審査員による事前審査票
・月間審査員による脚本家審査票
・4/13(金)イベント当日に行われた最終審査票
以上の審査票から、上位1位、2位、3位を選出し、1位に4点、2位に2点、3位に1点と得点化し、年間最優秀賞を決定しました。
その結果、3月東北地区「はれの日の朝」有坂尚子さんが、年間最優秀賞に選ばれました!!
■月間最優秀賞一覧 >>全作品の一覧ページへ
・2 月月間最優秀作
『あご出汁の味噌汁』小檜山 長代(対象地区:九州・沖縄)
・3 月月間最優秀作
『はれの日の朝』有坂 尚子(対象地区:東北)
・4 月月間最優秀作
『マモル』山下エリカ(対象地区:東京)
・5 月月間最優秀賞
『かかの醤油おこわ』田中理恵(対象地区:北陸・甲信越)
・6 月月間最優秀賞
『ふくの料理』横内 治(対象地区:中国地方)
・7 月月間最優秀賞
『酪農一家のイクラ丼』三浦優子(対象地区:北海道)
・8 月月間最優秀賞
『小正月』北辻 類(対象地区:近畿)
・9 月月間最優秀賞
『正しい帽子パンの食べ方』朱花かの子さん(対象地区:四国)
・10 月月間最優秀賞
『似たもの同士』萩原幸子さん(対象地区:東海)
・11 月月間最優秀賞
『抑えきれない郷土愛』西出拓也(対象地区:関東 東京を除く)
一般審査員による事前審査票の結果
1位『あご出汁の味噌汁』 小檜山 長代さん
2位『正しい帽子パンの食べ方』 朱花かの子さん
3位『ふくの料理』 横内 治さん
月間審査員の方々の審査結果&講評
プロの脚本家の方々が、どういう視点で作品を選んでいるのかは、ご自身のシナリオの伸び代を分析するうえでも役立つと思います。是非、ご覧ください。
また4月13日(金)に実施した「シナリオ熟」での模様は、後日ブログやシナリオ教室でもご報告いたします。プロの方々がどんなことを考えて「シーン」を作っているの、示唆に富んだお話をお聞きできましたので、お楽しみに!
柏田道夫先生
1位「はれの日の朝」 有坂尚子さん
嫁ぐ姉に母の味であるこづゆという汁ものを作る弟。椀は4つで、彼らの両親は実は、というのがうまいし泣かせる。それを汚れた写真で示すのもまさに映像の手法です。
2位「似たもの同士」 萩原幸子さん
嫁姑のせめぎ合いをさりげないセリフと、作る料理のどて煮と重ねて絶妙です。けれどもただ仲が悪いというのではない持っていき方もうまい。
3位「酪農一家のイクラ丼」 三浦優子さん
北海道らしさ、という点と、今回の10作品の中で、一番涎が出そうになりました。
父親と10歳の男の子、妹という家族が微笑ましくて。
あべ美佳先生
1位「はれの日の朝」 有坂尚子さん
出てきた食べ物(こづゆ)と、登場人物たちの生き方が重なり、静かに胸が熱くなりました。お見事です。
2位「似たもの同士」 萩原幸子さん
ひとつの鍋を前にして、調理の過程と共に嫁姑の関係性が変化していくところがとても面白かったです。
3位「酪農一家のイクラ丼」 三浦優子さん
寒い北海道、湯気の立つご飯、溶けていくバターの香り・・・情景だけじゃなく匂いまで届きました。
時計の針を使った父と娘の台詞も大好きです。
寺田敏雄先生
1位「マモル」 山下エリカさん
食べ物を、何気ない会話のモチーフにしている、作者のテーマとの距離感に好感を持ちました。
特別な言葉ではなく普通の会話で成立させているのがいいです。
2位「あご出汁の味噌汁」 小檜山長代さん
あざとさはありますが、連続ドラマのクライマックスシーンのよう。父と娘の、これまでとこれからが見たくなる広がりを感じます。
3位「はれの日の朝こづゆ」 有坂尚子さん
弟の門出だと見せかけて 実は姉の結婚が決まった話だったという意外性を狙った技が光ります。最後の弟のセリフは、なくても充分伝わります。
吉田玲子先生
1位「はれの日の朝」 有坂尚子さん
ラストに感動という『味』がありました。
2位「ふくの料理」 横内 治さん
選評にも書きましたが、会話による展開が上手いなと思いました。
3位「似たもの同士」 萩原幸子さん
「関係」とその小さな「変化」が見えたのがよかったです。
森下 直先生
第1位「正しい帽子パンの食べ方」 朱花かの子さん
方言の使い方が見事です。(この方言が)わかる、わからないのギリギリのラインを狙うことで、地方と都市を表し、かつ短いシーンで、この家族の歴史や今後まで感じさせる手腕はお見事。変にドラマチック過ぎず、「日常」の中のドラマを描いたところが好印象でした。
第2位『かかの醤油おこわ』 田中理恵さん
赤飯という祝い飯に、喜びと寂しさの両方を込めたアイデアが秀逸。母は東京から嫁入りし、娘は東京へ嫁に行くという設定も面白いです。新しい家庭で、新しい味を継承する女の覚悟が、しょっぱい醤油おこわで表現されており、白無垢の鮮やかさが目に浮かびました。欲を言うなら、ラスト、主人公の娘に何か一言、気の利いた言葉を返させて欲しかったです(涙に詰まったり寂しそうにする、などのト書きは不必要では?と思いました)。※一位と二位は私的には僅差でした。
第3位『酪農一家のイクラ丼』 三浦優子さん
始まりが説明的過ぎましたが、それをフォローして余りある父親の味のある台詞が良かったです。イクラ丼を美味しそうに描写したのが高得点でした。
浜田秀哉先生
1位 「酪農一家のイクラ丼」 三浦優子さん
文句なしの完成度。アクションでキャラクターを表現していて、『うまいな』の一言。『描写』とはこういうことなんだと思わせてくれるお手本のような作品。
2位「マモル」 山下エリカさん
もんじゃ焼きを通して、夫婦の関係性を描いているのが面白い。何より短いセリフのやりとりがとても自然で作者のセンスを感じる。この人の描く長編を見てみたいと思いました。
3位「似たもの同士」 荻原幸子さん
『嫁姑』×『家庭の味』というベタな設定をあえて使い、うまくお題を料理している。セリフに表と裏があって、面白い。
いずみ吉紘先生
1位「マモル」 山下エリカさん
夫婦の話とふたりで作るもんじゃがうまく会話に溶け込みとても完成されている作品だと思いました。
2位「似たもの同士」 萩原幸子さん
本作は東海地区を担当させて頂いたときにも推しましたが、誰かが一方的に喋るのではなくぶつかり合う登場人物たちが面白かったです。
3位「酪農一家のイクラ丼」 三浦優子さん
内容はいたってシンプルですが雪原野という舞台が「家出」に味方してくれたと思います。
荒井修子先生
1位:「酪農一家のイクラ丼」 三浦優子さん
短い中でこれだけしっかりキャラクターを描き、小さくまとまらず話を展開させられることは素晴らしいと思いました。この家族を愛おしく感じるとともに、どの作品の「ごはん」も「食べたい!」という気持ちになったけれど、これが一番、美味しそうでした。
2位:「マモル」 山下エリカさん
もんじゃを今の夫婦関係になぞらえた展開が面白く、セリフも工夫されていて「上手い」と感じました。もんじゃを焼く光景も目に浮かび、緊張と緩和というかゆったりした中にも引き込まれるつくりになっているところも良かったです。
3位:「似たもの同士」 萩原幸子さん
嫁姑が静かに小気味よくやり合っている様子が心地よかったですし、「煮ちゃえば一緒だもの」というオチもおおらかで微笑ましかった。嫁姑話というとある意味、パターン化されているので、個性を出すのは難しい部分もあるのではと思いますが、この作品はセリフの良さでぐっと面白くなっていたと思います。
4/13(金)当日の最終投票結果
1位:「正しい帽子パンの食べ方」 朱花かの子さん
2位:「はれの日の朝」 有坂尚子さん
3位:「あご出汁の味噌汁」 小檜山 長代さん
3位:「小正月」 北辻 類さん
「シナリオ熟」のトーク終了後は、懇親会でひと盛り上がり
先生方も皆さん残って頂き、貴重な時間になりました。生徒さんと出身ライターの先生方との距離が近いというのも、シナリオ・センターならではかもしれません。