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シナリオや小説についてなど、創作に役立つヒントを随時アップ!ゲストを招いた公開講座などのダイジェストも紹介していきます。

「本は読まないけど小説家になれますか?」/小説家・柏田道夫はこう考える!

「シナリオのテクニック・手法を身につけると小説だって書ける!」というおいしい話を、脚本家・作家であるシナリオ・センター講師柏田道夫の『シナリオ技術(スキル)で小説を書こう!』(「月刊シナリオ教室」)からご紹介。
初心者の習作を読む機会が多い柏田講師は、こう感じることが増えているそうです。「この人は小説を読んでいないな…」。本は読まないけど小説家になりたい。これは無謀なのか?今回は、柏田流の考えをご紹介。

作品を一読すれば、読んでいないことが如実に分かる

小説は文章の「描写」によって書かれます。シナリオは映像のために設計図的な役割があって、柱で場所や空間を指定した上でト書と人物のセリフで物語が展開していきます。小説は基本、地の文とセリフで書かれますが、セリフも「描写」の一部ともいえます。

ここのところ小説における「描写」の方法をあれこれと述べていますが、小説として読みやすく的確な「描写」をするために欠かせない、「読む」ことについて述べておきます。

私は『公募ガイド』誌で「エンターテイメント小説講座」という通信講座を受け持っています。また、シナリオ・センターでも年に一度短期の「小説講座」をやっていますし、作家集団ゼミの受講生の中にも小説を書いてくる人が増えています。

そうしたことから初心者の習作を読む機会が多いのですが、年を経るにつれ増加する感想があって、それこそが「小説を読んでいない」です。

ついでに述べると、脚本家志望者の方も、書くことに情熱を傾ける人はいくらでもいますが、古典として残っている名作脚本や戯曲、活躍しているプロの脚本をきっちりと読んでいる人となると、数えるほどしかいません。

その書き手の読書経験を聞かずとも、書いてきた作品を一読すれば、読んでいないことが如実に分かります。

プロの書き手になりたいなら、勉強するつもりで読書をすべき

断言しますが、読んでいない人は小説家にも脚本家にもなれません。稀にはその人の感性みたいなものとかで、コンクールで受賞したり、一作とか二作が認められることはあるかもしれませんが、プロの物書きとして生き残るには、その人の蓄積の有無で決まります。

こういう言い方をすると、「私は読書が趣味です」とか「(そこそこに)読んでいます」と主張する方もいそうです。でも、インターネット時代になって、昔に比べると圧倒的に読書時間は減っていませんか? 今まで読書に費やしていた時間(労力)が、ゲームやスマホ時間にとって変わられているはず。

2015年末に行われた「新井一賞」の特別講演は、小説家の浅田次郎さんでした。浅田さんは今でも、「年に300冊は本を読んでいる」「1日4時間の読書時間を作っている」と話され、本を読むことの大切さを語っていらっしゃいました。

「読んでいない人はこれからでも挽回できる」とフォローされ、「ただし、勉強で読もうとすると続かないので、楽しみながら読んでほしい」ともおっしゃっていました。

実際創作は、「楽しめるかどうか」が続けていけるか否かの分かれ目でしょう。浅田先生は小説を書くことや、読書そのものがけっして苦痛ではなく、楽しさを見いだせるので、現役のプロ作家として続いていらっしゃるはずです。

あなたが一般読者ならば、趣味として読書を楽しむのはもちろんOK。続けて下さい。ただし、実作者になるための「読書」は、楽しむだけではNGです。

浅田先生とは幾分違う言い方をしますが、プロの書き手になりたいのならば、(続けていくために)楽しみながらも、勉強するつもりで読書をすべきです。

浅田先生はすでにプロの書き手として、独自の創作術を身につけていらっしゃるはずですので、年に300冊も勉強のために本を読んでいるわけではないかと思われます。

ただし、プロの書き手であるということは、すでにプロの読み手でもあって、つまり、楽しみながらも無意識的に勉強として役立てるために、日に4時間も読書時間に充てているのだと私は想像します。別の言い方をすると、その習慣を維持しているから売れっ子作家でいられるのです。

出典:柏田道夫 著『シナリオ技術(スキル)で小説を書こう!』(月刊シナリオ教室2016年2月号)より

次回は6月9日に更新予定です

※シナリオ・センターの書籍についてはこちらからご覧ください。 

6/2(土)開講「シナリオの技術で書く小説講座」

柏田道夫講師が担当する「シナリオの技術で書く小説講座」。
年に1回の開催となりますので、ご都合がよろしければぜひご参加ください。
内容詳細とお申込みはこちらをご覧ください。 

【要ブックマーク】
これまでの“おさらい”は「シナリオ技法で小説を書こう」ブログ記事一覧で!

小説家・脚本家 柏田道夫の「シナリオ技法で小説を書こう」ブログ記事一覧はこちらからご覧ください。

 

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