ゴールデンウイーク
シナリオ・センター代表の小林です。G・Wのお休みを8日間いただきました。皆さんはどちらかへお出かけになりましたか。
私は、4月最後の日に、世田谷美術館で作家集団の高山講師のお父様、日展三山のおひとり高山辰雄展を観に行ったのが唯一のおでかけ。
世田谷美術館は、世田谷の砧公園の中にあり、青々とした緑に囲まれた素敵な美術館です。
昔、用賀から行くときにごちゃごちゃした道でいつも迷いながらいった記憶があるのですが、ずいぶんと久しぶりに出かけたら、美術館までの道案内もきちんとできていて、とても洒落たお散歩道のようになっていて和歌も書かれているし、すてきでした。
今回の「人間・高山辰雄展」は、過去最大の120点、70余年にわたる高山画伯の画業をみることができます。
素直にすてきでした。愛娘高山講師をモデルにしたものも多く、愛情あふれる絵にちょっとうらやましさを感じたりもしました。
70年という歳月には、やはり画風も変わっていったりしていますが、一貫して人間の本質を掴もうとされていた高山画伯の世界は、幻想的でありながら人間に対する暖かいまなざしを感じられ、魅了されます。
なるほど、タイトルに人間とつけているはずだと納得。 「人間・高山辰雄展」は6月17日まで公開されていますので、是非行って見てください。
絵画はドラマです。娘の高山講師がドラマの世界へ向かった気持ちがよくわかりました。
休み前2週間は土日にもなく丸々仕事に勤しんだ私としては、本当に待ちに待ったお休みでひたすら惰眠をむさぼる、食べるが主体の8日間になる予定でした。
しかし、なんと愛犬はるが緊急手術となり、生きた心地もない3日間を過ごしました。
お蔭様で、無事生還し、今は、元気に食欲も旺盛となり、飼い主そっくりになろうとしています。(笑) 犬とはいえど、連れ合いは旅行を取りやめ、娘は仕事を休み、息子は飛んでくると大騒ぎのG・Wでした。
うちの家族は、はるでつながっているのだなあと、はるがいなくなったら崩壊するのだろうか、家族とは、人間とはなんだろうと思わず考えさせられてしまったお休みでもありました。
人間を描く
怖いぐらい家族について、人としてのあり方について考えさせられ、一気読みしてしまいました。
出身ライターの美輪和音さんの新刊本「ウェンディのあやまち」(光文社刊)
G・Wの数日、止りませんでした。美輪さんはホラーが得意ですが、今回はホラーではまったくないミステリーです。でも、心情的ホラーかもしれません。
人間の心の闇の深さをこれほど描いたものはないような気がします。 6歳と3歳の二人のこどもが置き去りにされて餓死した事件が基です。
千里、杏奈、柑奈の3人の女性が核となります。この3人の女性をつなぐ幼児置き去り餓死事件。
伏線と秘密がすごい勢いで絡み合いつつ、一気にクライマックスへと駆け上がっていく、魔法の杖からこぼれ出す魔法の粉が、これほど切なく美しいラストに導くとは思いもしない見事な構成で、その巧みさに舌を巻きます。
美輪和音さんの最高傑作と言える作品だと思います。
遅筆で、いつも会うたびに「早く書け!」と言ってきましたが・・・ごめんなさい。(笑)
「ウェンディのあやまち」を読ませていただいて遅筆のわけが初めてわかりました。
何度も何度も煉り直したに違いない緻密な構成、これこそが美輪和音さんの真髄なのだと思いました。
社会の片隅で、小さな子供たちの悲鳴が今も尚聞こえてきます。
是非とも、たくさんの方に読んでいただきたい本です。