嬉しい悲鳴
シナリオ・センター代表の小林です。133期シナリオ作家養成講座の直前説明会です。
なぜか、今年になって受講を希望される方が増え、この133期シナリオ作家養成講座も、満員御礼になりそうな勢いで、嬉しい悲鳴をあげています。
シナリオ・センターの理念は、日本中の人にシナリオを書いてもらいたいことです。
なので、受講される方は様々な思いをお持ちでしょうけれど、シナリオというものに向き合ってみようと思っていただけるのは本当に嬉しいのです。
シナリオは、いつも申し上げるように、登場人物の全てのキャラクター、気持ちを創りあげていくことで、他人のことを想像しなければできないことです。
ですから、小学校で、大学で、企業でシナリオをお教えしているのは、自分以外を想像する力をつけていただくことで、ドラマを創ることではなくても、人間関係に役に立つからなのです。
昨今の日本を見ていると、あまりにも自分のこと、自分の周り以外しか見ていない人が多く、その人たちが日本を引っ張っているのだと思うとぞっとする想いにかられます。
他人のことを考える、思いを馳せることは、実は自分を見つめることが出来る唯一の手段だと思うのです。 他人にも自分にも大切なこと、想像力の一語に尽きる気がしています。
女は強し
その想像力の高さは、上質な作品を生み出します。
出身の小説家原田ひ香さんの新刊本「三千円の使い方」(中央公論新社刊)を読ませていただきました。
原田さんは、すばる文学賞を受賞されて小説家としてデビューされたので、純文学系なのですが、シナリオを学ばれていらっしゃるだけあって、とてもエンタテイメントとしても面白い、どなたにも理解しやすい小説を書かれます。
私は、新ジャンルとして「純文エンタ」というジャンルを創られてはいかがかと思うのです。
「三千円の使い方」は4人女性が登場します。
人生は常に順風満帆で過ごせるとは限りません。いやそんな人は一握り、いやいないのではないでしょうか。
結婚、子育て、入院、離婚、老後・・・色々あります。
特に女の人生は、男に頼って生きる人から自立している人まで様々です。
24歳、社会人2年目犬が飼える一軒家が欲しい美帆。貯金に目覚めます。
29歳、美帆の姉真帆。子育て真っ最中の専業主婦。消防士の妻として、プチ稼ぎに夢中。
55歳、美帆・真帆の姉妹の母智子。体調不良、入院することで先の不安を感じます。
73歳、美帆・真帆の祖母琴子、残り少なくなった夫の遺産、少ない年金に不安を覚え、パートを始めます。
この4人がそれぞれ直面する現実をどう乗り越えていくか、女の知恵と度胸が炸裂します。
4人の家族の愛おしくなるほどの頑張りに、ちょうど断捨離中の私は、自分もどう生きていくべきか、真っ向から突きつけられた感がありました。
誰もが悩みながら生きていく、面白く読みながら人生をどう生きるべきか考えさせられる、特に女性には読んでいただきたい本です。
この作品は、BSプレミアムあたりでドラマ化して欲しい!!!