menu

脚本家を養成する
シナリオ・センターの
オンラインマガジン

シナリオ・センター

代表 小林幸恵が毎日更新!
表参道シナリオ日記

シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。

境界線というのは誰にでもなんにでもある、だからドラマが生まれるかも。

猫を抱くもの(キノブックス刊)

ドラマは低迷を抜けた?

シナリオ・センター代表の小林です。土曜日の133期シナリオ作家養成講座は、満員御礼となり本当にありがたいことです。
日本中の人にシナリを描いてもらいシナリオ・センターですから。
2月、3月シナリオ8週間講座も例年よりたくさん受講してくださった。
もしかしたら、もしかしたら、ドラマに光があたりはじめたのだろうか・・・。そうだったらとてもうれしい。
ずーーーっとドラマが低迷し、テレビドラマも映画も原作ものばかりで、オリジナルは姿をほとんど消してしまい、寂しい想いをしていました。 同じような顔ばかり出ているバラエティにもちょっと疲れてきました。
最近、オリジナルも増えちょっとドラマ復活の兆し?ありとか、プロデューサーの方々からも伺っていたので、密かに、いやいや大いに期待をしています。
テレビだけだって地上波からBS、CS、ネット系とハードが増えているのに、ドラマが増えない方がおかしいですもの。
日常の方が人間不信に陥るような驚くことばかりが起きていますから、ドラマを超えていると言えるかもしれませんが・・・。(泣き笑い)

シナリオ・センターの講座には、小説家志望の方もたくさんおいでになります。
基礎の講座のシナリオ作家養成講座、シナリオ8週間講座、通信講座では、もちろん小説の書き方などは教えていません。
映像表現、シナリオの技術を教えしています。
でも、シナリオの技術は、伝える技術なので、心で想っていることやその人の背景事情などをどうすれば伝えることができるかをお教えしています。
なので、小説にも活かすことができるので、赤川次郎さん、乃南アサさん、鈴木光司さん、明日ミソ帳倶楽部でお話しして下さる柚木麻子さんなどたくさんの小説家を生み出しているのですね。
技術というのは、例えば構成。どんなものにも欠かせません。構成ひとつで面白くもつまらなくもなるのですから。
そして一番大事なのは、キャラクターづくり。 映像でもアニメでも戯曲でもラジオドラマでもゲームシナリオでも、もちろん小説でもキャラクターが魅力的でないと魅力的なお話しにはなりません。
キャラクターたちのぶつかりあいこそがドラマですから。

あきらめることのきらめき

大山淳子さんの「猫は抱くもの」(キノブックス刊)が、映画化にともない文庫化になりました。
小説は、前にもご紹介しましたが、人間の飼い主を自分の恋人だと誤解している猫良男のお話しで、短編連作集になっています。
人間の画家を愛する猫のキイロ、彼女は自分が猫であることをわかっているので、良男に気づかせようとしたりします。猫たちが夜になると集会しているねこすて橋を中心に猫と人間の切ない人間模様(?)を描いたもので、猫好きに限らず、心がほっこりする物語が展開していきます。
この小説が映画化ときいて、ちょっとびっくりしました。え~、どうやって、猫の気持ちを表すのだろうと。
犬童一心監督がメガホンをとるというので、なにかすごいこと考えていらっしゃるのだろうなと思っていたところ、なんと猫を擬人化されました。
犬童監督は「すごく魅力的で面白い人物がいっぱい出てくる小説」だから原作の流動性を活かして作ってみようとされたようです。
この文庫化にあたって大山淳子さんと犬童監督の特別対談が収録されているのですが、犬童監督は「猫と人間との境界線、あきらめることのきらめきが重要」
大山さんは「人と猫も両者の間に越えられないものがあるからこそ、一緒にいる時間がもてたこと、親しくなれたことがありがたい」とおっしゃっています。
猫と人間ということも含めて、すべてのことは皆一つではありませんから、境界線は必ずあり、だからこそ一緒に過ごす時間が大切、ありがたいということがよくわかります。
私も愛犬ハルだけではなく、連れ合いとの時間も大事にしようと思います。(笑)
きっとこの映画は、猫と人間を超えたすてきな心の機微が描かれていることでしょう。
映画の公開は6月23日です。原作とともに映画も見てください。
どのように犬童監督が、脚本家の高田亮さんが、大山淳子さんの世界をどのように描かれたか、楽しみです。

過去記事一覧

  • 表参道シナリオ日記
  • シナリオTIPS
  • 開講のお知らせ
  • 日本中にシナリオを!
  • 背のびしてしゃれおつ