「才能」の言葉に惑わされない
こんにちは。エンゼル浅田です。あなたのシナリオをパラダイスに導きます。
「才能」なんて言葉に惑わされていませんか?
このシナリオ・パラダイスでは、何をどうすれば面白いシナリオを書けるか、できるだけ具体的に伝えてきました。ビビデバビデブーと唱えれば、たちまち面白いシナリオを書けるようになる魔法の呪文なんてありません。
同じように面白いシナリオが書ける「才能」なんてものも実際にはありません。
試しに「才能」って具体的に何なのか考えてみて下さい。ね? よく分からないでしょ? そんな漠然とした得体の知れないものに惑わされないよう気をつけてください。
もちろん好き嫌いはあります。私の中学の同級生で現場監督をしている男がいますが、作業報告書にたった3行の文章を書くのさえ苦痛だそうです。そんな人にシナリオを書くことは向かないでしょう。
イチロー選手は、たぶん誰よりも野球が好きだろうと思います。ヒットを打った時やファインプレーした時の快感を誰よりも感じているでしょう。
時々「自分にはシナリオの才能があるかどうか見抜く力がある」と言われる方がいたりしますが、決して信じないでください。
その人は、ただ何人かにシナリオを書かせて、その時に一番面白いシナリオを書いた人を才能があると言っているだけです。
じゃあ、一番じゃない人は面白いシナリオが書けないのかというと、そうではありません。シナリオ・センターの講師はみんな知っています。
最初は他の人に比べて大して面白くないシナリオしか書けなかったけど、書き続けて書き続けて、どんどん上手くなって面白いシナリオを書けるようになってデビューしたりプロで活躍している人が何人もいるのです。
でも、書いても書いても、ちっとも面白いシナリオにならないんだけど。それって、やっぱり才能がないんじゃないの?
そんなことはありません。面白くならないのは、ちょっと勘違いしているだけなんです。
一番多い勘違いは、ああなって、こうなってとストーリーを考えてストーリーを書こうとしているから。ああなって、こうなってというストーリーでは面白くなりません。
たちが悪いことに、そこそこ面白くなってしまうんです。決してつまらなくはない、そこそこ面白いシナリオが書けてしまうので、そこで満足してしまうか、もっとストーリーを考えたら、もっと面白くなるんじゃないかと勘違いしてしまいます。
で、書いても書いても面白くならない、そこそこにはなるけど、そこそこにしかならないのです。
もう一つたちが悪いのは、ああなって、こうなってとストーリーを考えるのって、ものすごく楽しいことです。だって妄想ですから。みなさん、妄想、大好きですよね?
楽しいと思うことがヤル気を上げる一番の方法なので妄想するなとは言いにくいのですが、でも、人の妄想を聞くことを想像してみてください。ね? 嫌でしょ?
じゃあ、どうすればいいかというと、ああなって、こうなってとストーリーを考えるのではなく、主人公を困らせるように、困らせるようにしてみてください。
どうすれば主人公が困るかな、こんなことが起こったら主人公が困るんじゃないか、こんなこと言われたら主人公が困るんじゃないかと妄想するのです。