大塚国際美術館
シナリオ・センター代表の小林です。週初めの2日間をお休みいただき、遠くてなかなか行けなかった大塚国際美術館へ思い切って行ってきました。
大学同期のいつまでも可憐な可愛い女子2人(その1人が私(笑))と呑兵衛で口うるさいおっさん3人のじじばば5人旅。
海と大空の緑の木々、爽やかな風に吹かれてリフレッシュしてきました。
大塚国際美術館、徳島にあります。
あのオロナイン、オロナミンCドリンクで有名な大塚製薬が創りました。
鳴門海峡、鳴門の渦潮のすぐ近く。大塚国際美術館は、世界初の陶板名画美術館です。
古代壁画から世界25ヶ国190余の美術館が所蔵する現代絵画まで、至宝の西洋名画1000余点を大塚オーミ陶業㈱の特殊技術によって、オリジナル作品と同じ大きさに複製しています。
それらは原画の持つ美術的価値を真に味わうことができ、かつ陶板名画は約2000年以上にわたってそのままの色と姿で残る文化財記録保持という意味でも素晴らしい世界でも類をみない美術館です。
汚い言い方で言うとフェイクですが、とんでもない。 美術専門家の方々を唸らせるほどの本物に負けない素晴らしい作品を、世界の名画を、なんと一堂に観ることができるのです。
入口を入った途端、驚かされました。 ミケランジェロが描いたシスティーナ礼拝堂の天井画がそのままの大きさでそこに、バチカンではなく、日本に、徳島鳴門にあるのです。
その圧倒的な大きさ、荘厳さは聞きしに勝るものでした。
大塚国際美術館ができた頃に、友人が素晴らしいと絶賛していて、一度見てみたいと思いつつ、私の頭の中ではフェイクという言葉が浮かんで、所詮ね!という気持ちがあったのですが、大塚さんは(親しげですみません)人間の想像を超えることをやってのけていらっしゃるのです。
人間は、日本人は、徳島の人は、こんなすごいことをやってしまうのですね。
受胎告知の違い
大塚国際美術館で、どうしても観なくてはと思ったのが、ゴッホの「星月夜」。
宮本輝さんの小説「田園発 港行自転車」で、このゴッホの「星月夜」がテーマの鍵になっていたからです。
星月夜に似た場所が福井にあるというのです。
小説の主人公がその風景を探したように友人とその場所に行きたいねと話していたので、よーく見てみたいと思いました。
ゴッホはあまり好きな画風ではなかったのですが、久々に観たらなぜか感動しました。歳を重ねたせいでしょうか。
「受胎告知」は様々な画家が書いた作品が連ねてあり、私たちがよく知っているのはレオナルド・ダ・ヴィンチですが、画家によって描き方が違うことが一目でよくわかりました。
画風の違いは当たり前ですが、聖書の読み取りもそれぞれが違うのでしょう。
マリア様が落ち着いて告知を受け止めているものから、びっくりしているもの、困っているもの、明らかにわかっていたもの等微妙に違うし、告知する天使も上から目線のもの、マリア様を敬っているもの等様々で、こんなにも違うのかと思いました。
描き手だけでなく受け止め方も見る人によってみんな違うわけで、これは当たり前のことなのです。
昨今はSNSなどでは、ちょっと違うことや反対な意見などを言うとワーッとばかり押しつぶそうとする傾向がありますが、すべてはみんな違うのだということを認識してほしいと思います。
誰もが違うことは、あったりまえ!!のことなのです。
自分の意見以外を認めない人は、是非とも大塚国際美術館で「受胎告知」を見比べてください。
絵画にはドラマがあります。
中野京子さんの「怖い絵」もそうですが、あらゆるものにドラマがあります。
ドラマの感じ方は千差万別、どう伝えるか、どうみせるか作者の腕次第です。
好きなものも嫌いなものも、見たいものもみなくてもいいものも、皆違います。
それぞれ分かれて見た5人、待ち合わせの時間に待ちあわせの場所で出会った時、唯一同じだったのは「疲れた~!」だけでした。(笑)
全部回って好きなもの以外は、さらっと見たつもりですが3時間余たっぷりかかりました。1日使っても全部をきちんと観ることはできそうもありません。
4キロの行程に作品が置かれているのですが、その倍から1,5倍くらい7~8キロ近くは歩いた気がした老人5人でした。