イケてる会社の、イケてる悩みを、シナリオで解決する、あのめちゃイケ研修シリーズ……すみません。そんなシリーズありません。シナリオ・センターの新井です。
ただ、今回取り上げるのは、知る人ぞ知るクラシコムさんというイケてる会社で実施したシナリオを使ったビジネス研修です。まず、ご覧ください。
▼オフィスの窓から見た風景です。一見、美しい絵のようです。イケてますね。
イケてる会社クラシコムさんが運営するイケてるサイト
クラシコムさんが運営する「北欧、暮らしの道具店」というECサイトは、ご存じですか?
新井のように30代後半の男性には、馴染みがないかもしれません。
ですが、30代、40代の女性から厚い支持と信頼を受けているサイトなんです!
どのくらい支持されているかというと…なんと、ライフスタイルメディアでは、Facebook 42万いいね、もInstagram 65万フォロワー数も国内第1位!
シナリオ・センターなんて、Facebook 1750いいね、Instagram 142フォロワー……
実際にサイトに訪れると、人気に納得。
もうね、つい読みふけってしまうコンテンツに溢れていて、「明日から、丁寧に暮らしてみよう」と、ちょっと口角が上がってしまいます。
「北欧、暮らしの道具店」URL:https://hokuohkurashi.com/
そんな「北欧、暮らしの道具店」を運営するクラシコムさんが、シナリオを使った研修がしたいとおっしゃるのだから、うれしい限り!
テーマは…
新しいメディアガイド(営業資料)に
「お客様にも自分たちにもフィットすることばを落し込む」。
そのお手伝いを、全2回10時間で行います。まずは1回目のご報告。
イケてる会社の、イケてる理由まで、わかっちゃいますよ。
▲エントランスもオシャレ。社員のみなさんも、楽しそう……
イケてる会社が抱えるイケてる悩みって?
研修のご相談をいただいたのは、株式会社クラシコム事業開発グループマネージャー・高山さんです。高山さんは「北欧、暮らしの道具店」から生まれた広告事業、「BRAND NOTE」を立ち上げられた方です。
「BRAND NOTE」URL:https://kurashicom.jp/brandnoteprogram/
どうやら今回は「BRAND NOTE」についてのご相談のようです。
「BRAND NOTE」は、「北欧、暮らしの道具店」の、メディアとしての影響力を活かして、企業さまのマーケティング活動を立体的にお手伝いする事業です。ECサイトやIT業界の方で知らない人はいない、マーケティングの超成功事例として知られています。
なんせ、クライアントさんはナショナルクライアントばかり。
出稿枠も半年先まで埋まっている行列状態。
出稿費用だって、イケイケな額。(弊社のような零細企業には手が出ない!)
ん?めっちゃイケてるじゃないですか!
こんな「BRAND NOTE」に、一体どんな悩みがあるっていうんだ!
「BRAND NOTE」の仲間作りにフィットすることばってなんだ!?
高山さんがおっしゃるには、
「僕らは新しいクライアントを探すときに、いわゆる『営業』って思ってないんです。自分たちの考えに共感してくれる仲間作りだと思っています」
仲間作り…そんなこと言われたら、すごく仲間になりたくなります。
でも、まだ悩みが出てきません。
「仲間作りだから、クライアントさんとのお話もウチのメンバーには楽しむくらいの気持ちがほしいんです。だから、ひとりひとりが自分の言葉で、もっと積極的にクライアントと話せるようになってほしい」
なるほど!何となく高山さんのお悩みの正体が見えてきました。
しかも、タイミング的にも「BRAND NOTE」の担当者が増える時期だということで、「BRAND NOTE」らしい仲間作りをするためのスキルアップができないかと思ったそうです。
ここでシナリオに目をつけるのが、イケてる会社のイケてるところ!
「営業担当が増えるからといっても、いわゆる営業スキルアップみたいな、硬い感じだったり、ありきたりだったりの研修は嫌なんです」
仲間作りですからね。高山さんの想いに、新井、納得。
そんな時にたまたま目にしたのが、ログミーさんで取りあげられた「シナリオ営業研修」の記事だそうです。硬い感じが出せない、自分に感謝。
「営業トーク上達には⼈間の⼼理「アンチテーゼ」を理解せよ 脚本制作の視点から学ぶ、⼼の掴み⽅」
そこで新井、注目しました。
営業の研修依頼だというのに、「BRAND NOTE」が使っているメディアガイド(営業資料)に。
なぜか。
実は、高山さんとお話ししていると、クラシコムという会社の理念について、「北欧、暮らしの道具店」と「BRAND NOTE」について、素敵な想いがあふれ出てくるのです。
ホント、仲間になりたくなりますよ。
なのに、メディアガイドは、なぜか「私も仲間になりた~い!!」と思わせるようなイケてる感じがないのです。もはやファン化している新井としては、くやしい!
ここはいっちょ、新しい営業の方も含めて「BRAND NOTE」チームみんなにフィットすることば、お客様にもフィットすることばにあふれたメディアガイドにしよう!って、ことになったのです。
そしてその過程で、こっそりと営業スキルも身につけちゃおう、と!
一度で、二度おいしい研修です。
そんな第1回目は、シナリオを使って「北欧、暮らしの道具店」と「BRAND NOTE」のキーワードを洗い出して、整理整頓してみましょう、ということになりました。
「BRAND NOTE」にとって大切なことばを探す
最初に、「BRAND NOTE」のキーワードを洗い出します。
ですが、付箋を使って、キーワードをそれぞれブレストするというような手法をやりません。なぜなら…
・結局、そんなに新しいキーワード出てこないから。
・自分の考えと相手の考えの違いを意識しにくいから。
・単純に、つまらないから。(つまらないと思うのは、新井個人の感想です)
そこで、10歳の生意気な甥っ子「健太」くんに、「BRAND NOTE」の営業マンとして働く楽しさや目的を説明する、という設定で、みなさんにシナリオを書いていただきます。この設定でシナリオを書くってのが、ミソなわけです!
ちなみにこの健太君、めっちゃ生意気です。
飼育係になったばかりの健太は、動物の命を預かることに使命感を燃やしています。なので、「BRAND NOTE」チームに問うわけです。
「飼育係くらい、役に立つことしなきゃダメだよ」と。
▲「難しい〜〜〜!!」と書きあぐねるみなさんを尻目に、一気に書き上げ若干ドヤ顔の高山さん(写真左)
高山さんは、クラシコム代表の青木さんと共に「BRAND NOTE」を立ち上げた方。さすがに、他のメンバーとは違います。オカダカズチカなら「レベルが違うんですよ」と言い放つところでしょう。
生意気な健太とのやり取りを経て、それぞれのシナリオを発表します。
「うわぁ~10歳児に暑苦しいわぁ~」というツッコミや、
「『自分の気に入ったものを、友達にも気に入ってほしいじゃない』っていい表現」
という感想など、書き手5人のキャラクターがシナリオからにじみ出てきます。
さらに、繰り返し出てきた言葉、印象に残るフレーズがバンバン出てきます。
これらのキーワードを、ホワイトボードに挙げていきます。
すると、
今までよく使っていたことばに加えて、
・初めて使うけど、なんかいい感じがすることば
・自分にはない発想だけど、「確かに!」と思うことば
・本人は何気なく使ったけど、他のメンバーに刺さったことば
まで、多種多様なことばが出てきます。
「北欧、暮らしの道具店」にとって大切なことばを探す
次に、全く同じプロセスで、「北欧、暮らしの道具店」のキーワードを洗い出します。先ほどと違うのは、「北欧、暮らしの道具店」のスタッフとして、「北欧、暮らしの道具店」で働く楽しさや目的を、健太にわかるようにシナリオを書く、という点だけです。
「こっちの方が書きやすい〜」と、するする筆が進むみなさん。
一方で、先ほどはあっという間に書き終わった高山さんの手が、今度はぱたっと止まってしまいました。
おやおや。おやおやおや。
シナリオを見たり、上を見上げたり、眉間にしわを寄せる高山さん。新井、思わずこちらの内容が悪いのかと、ちょっと心配になるくらいです。
でも、こちらの内容のせいではありませんでした。
高山さんの、せい、でした。
▲「やべぇ……」とつぶやき、急に口数が少なくなった高山さん。
他のメンバーの方は、
「僕らは、そもそも「北欧、暮らしの道具店」が好きで、ユーザーとして使ってきたから、ファンという立場での思い入れもあるから、こっちの方が書きやすかったです」と。
その発言を聞いて高山さん
「そうかぁ~ぶっちゃけ、『北欧、暮らしの道具店』のこと、わかってなかったのかも。みんなみたいに、『北欧、暮らしの道具店』のファンとかではなく、『BRAND NOTE』を立ち上げるってことで入ってきてるから…」
もちろん高山さん、「北欧、暮らしの道具店」について、健太に熱く語ってくれているんですよ。でも、「BRAND NOTE」についてスラスラとシナリオを書けた感覚と比べると、だいぶ隔たりがありました。
そこで出てきたのが上のセリフ。でも、この素直さ。ステキ。気づいて、認める。なかなかできることではありません。そういうとこ、イケてるんだよなぁ~。
人気No1サイトの秘密とは…
そんなステキなやりとりをしながら、出てきた「北欧、暮らしの道具店」にまつわる色々なことば。
「友達に『ウソはイヤじゃない?それと同じ』って健太に言っているのは、まさに『北欧、暮らしの道具店』らしい表現だよね」
「ウチの社員にも、ユーザーさんにも共通してるのって『類は友を呼ぶ』って、ことばに出てそう。実際、自分自身も、いちユーザーだったし」
「『お店』とか『場所』って表現もいいよね。モノを売る場って改めて気づいた」
WEBサイトとかWEBメディアって、なんとなく人間味がないような感じがします。でも、こういうキーワードが出てくる方々が作っているからこそ、『北欧、暮らしの道具店』は多くのユーザーに支持される人気サイトなんだろうなぁ~と思いました。
やっぱり、人と想いが大事です!
キーワードを基に、頭の中をさらに整理
ここまでしつこく健太のシナリオを書いて、キーワードを出していくと、「BRAND NOTE」だからこそのことばと、「北欧、暮らしの道具店」だからこそのことばが整理されます。
すると、どうしたことでしょうか。この二つのサービスの共通点と相違点に、メンバーみんなが気づいていきます。いままで「なんとなく」考えていたものが、そりゃもうくっきりと!
イケてるメンバーのみなさん。
そして、そんな気づきを与えちゃう健太、いわんやシナリオ。イケてるぜ!
■後日頂いた「健太」とのワークのご感想
「表面的な言葉・言い回しではなく、『北欧、暮らしの道具店』『BRAND NOTE』がお客様に対して提供している価値は何なのかを深く考えるワークだったので、僕たちが言葉にすべきことに向き合うことができてよかった」
「他のメンバーの伝え方や言語化の仕方が参考になり、自分の引き出しが増えた」
「仕事とは違うフィールドで物事を捉え直すことで余計な知識を削ぎ落として、疑問や問題に対する答えが見つけやすかった」
ここまでがキーワードの棚卸しです。そして棚卸しされたキーワードを基に、「BRAND NOTE」のPR動画を作るプロセスへ移ります。
PR動画を作るといっても、ここでは、あくまで構成を作ります。目的は動画を作成することではありません。
PR動画を作るプロセスを経ることで、自分たちが出したことばを、具体的なイメージへと落とし込むことで、見える化しようというわけです。メンバーそれぞれの考えを、より具体的に理解し合うことができちゃうのです。
ふふふっシナリオ、イケてるぜ!
ここら辺の詳しいことは、2回目の研修報告でも触れると思うので、次回お楽しみに。
早く知りたい!という方は、拙著「いきなり効果が上がるPR動画の作り方」を、ご購入くださいまし。
さて、次の一手は?
今日の第1回研修では、「BRAND NOTE」と「北欧、暮らしの道具店」のキーワードを棚卸しして、各自の頭の中にあったイメージを見える化しました。
第2回研修まで約1ヶ月半あります。その期間中に、今回の棚卸ででてきた自分なりにフィットすることばを、実際クライアントさんに使ってもらいます。その中で、クライアントさんに響くキーワードをろ過していって、集約するステップへ進みます。
▼新井の頭の中は、こんな感じ。
1回目の感想の中で、残った疑問
「子供向けの説明だったこともあり、ビジネス的にわかりやすく説明することもやってみたいと思った(今後できるのでしょうか?)」
も、ガンガン解消していきます!!
さてさて、どんなキーワードが「ろ過」されてくるのか、本当に楽しみです。
第2回研修レポートも作成しますので、お楽しみに!