狛犬ではなく神猿
シナリオ・センター代表の小林です。どうやら梅雨に入って、空はどんより気味です。
今日から17日まで赤坂の山王日枝神社のお祭り、江戸三大祭のひとつ山王祭が行われます。
今日は、最大の見せ場の一つ神幸祭、御鳳輦や山車、神輿を引き連れて、王朝装束を着た総勢500名の人々が、皇居に参拝し、練り歩きます。どこまでも続く隊列は、それはそれは見事です。
明日夕方は、各町会の御神輿の宮入り。
日枝神社の男坂という長い坂を上り、最後は日枝神社の本殿へ上がる急勾配の石段を、神輿ごと一気呵成に駆け上がるという荒業を行います。
次から次へと威勢のいい掛け声とともに神輿が駆け上がるさまは感動ものです。
もちろん担ぎ手は、男性だけではありません。山王様は平等です。(笑)
日枝神社は、他の神社と全く違って、狛犬がいません。
神猿像です。猿は神様と人間を結ぶお使いと言われているそうで、厄がさるとか、お守りとしても大きな役目を担っています。
申年が二人もいる我が家では、氏子としても猿神様に守られています。
お祭りって、人間の生活の根っこになっているようで、不思議とワクワクしてしまいます。
明日はどうも天気がよくないみたいですが、雨の中でもお祭り好きは頑張るんでしょうね。
我が家は、神輿担ぎの若者たちのお神酒所と化します。
犬童監督が作った猫の映画
今日は、出身ライターの大山淳子さん原作の「猫は抱くもの」(キノフィルム)の試写に行ってきました。 「猫は抱くもの」は猫ならぬ、猿でもない犬童一心監督が原作に惚れ込んで映画化されました。(笑)
この小説「猫は抱くもの」、猫と飼い主とすてきなふれあいの話です。
大山さんの小説は、脚本家でもあるので、どれも映像が浮かぶ、すぐにでも映像化できる小説が多いのですが、この「猫は抱くもの」は、大山作品の中で一番映画化に難しい小説。
この小説を映画化するとお聞きした時びっくりしました。
だって、橋の下の猫会議、猫が人生や気持ちを語る小説ならでの表現方法だと思っていました。
大山淳子さん自身もまさか映画化されるとは思っていなかったとおっしゃるほどの小説なのです。
何度も言いますが、主人公は猫ですから。
岩合さんの猫歩きみたい?可愛い猫がいっぱい演技する?
私のなけなしの想像力では着地点が見つかりませんでした。吉沢亮さんは猫の良男役だというし・・・。
どのように映画化されたのだろうと、本当に興味津々でした。
「グーグーだって猫である」(WOWOW)で犬童監督とタッグを組まれた高田亮さんの脚本、犬童監督の演出、映像化のやり方は、驚きの連続。
こうきたか!と思わずつぶやいてしまったほど、斬新な方法論に舌を巻きました。
舞台、しかも書割風の舞台と現実風景とドッキングしているのです。
吉沢亮さん初め猫を擬人化しているので、「キャッツ」みたいで、「水曜日のカンパネラ」のコムアイさんがミュージカル風に唄も踊りされるし・・・最初、舞台中継のような感じに思えました。(笑)
リアル(現実)とファンタジー(妄想)をかき分けられたのかと思うと、あえてわけないことで、猫と人間のふれあいが見事に描いています。
ファンタジックに描きながら、元アイドルでスーパーのレジをしている沢尻エリカさん演じる沙織が自分自身らしく生きる術をみつけられるかという猫を通した成長物語でもあり、よくもこれほど挑戦的な映像にされたと感心しました。
この原作をどのように切り取ったのか、犬童監督ならではの切り口、映像化術をお楽しみください。
大山淳子さんの原作を読まれてから観る、観てから読む、どちらでもお好みになさればよいですが、原作と比較してみると面白さは倍増します。
6月23日から公開です。