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採用試験で、学生の飾らない考えを引き出す方法

採用試験で欲しいのは、決め手となる情報

㈱コプラスの新卒採用試験で、シナリオを用いた試験を実施しました。
㈱コプラスは、コーポラティブハウスやシェアハウス、シェアオフィスなどコミュニティを基盤とした住まいや空間を企画・運営している不動産コンサルティング会社です。今回は、最終試験の社長面接と合わせて、シナリオによる試験を行い、最終判断の材料としてもらいました。

どういった会社で、どんな仕事をするのかはとても大切なことです。本来の新卒採用とは、企業は自社にとって“人財”となり得る人物に出会うことであり、学生は自分がその会社で力を発揮できるのかを判断してもらうことです。それなのに、現在の新卒採用は、高校や大学の入試さながら、傾向と対策で対応できてしまいます。

結果、企業は学生の本来の姿を見ることができませんし、学生は自分が本当にその会社に合っているのかもわからず、採用不採用を告げられてしまうのです。適性試験、集団討論、面接試験、ありとあらゆることを経て、最終決定をする方は、こうつぶやきます。

「採用の決め手になるものがほしい…」

対象者の本質を見抜くシナリオ採用試験

企業が知りたいのは、学生の本来の姿です。リクルートスーツの肩口に、就職指南書や大学のキャリアセンターの担当者が透けて見える、よそ行きの学生の姿ではないのです。

そこでシナリオの登場です。

「学校の勉強なんて意味がないじゃない」「大学は友達と遊ぶとこなんでしょ?」「働くって社会の歯車になるの?」等々、10歳の健太くんは本質的な質問を、無邪気に聞いてきます。学生には、親戚のお兄ちゃん、お姉ちゃんになったつもりで、そんな健太くんとやりとりするシナリオを書いてもらいます。書く時間は、たった25分。じっくり考えている暇はありません。学生は、短い時間で10歳の男の子に、仕事ってこういうものだよっとわかりやすく説明しなくてはなりません。わかりやすく説明するためには、自分の中で相当整理されてなければ書けません。

さらに25分という短い時間で、シナリオを書かなくてはなりません。質問の量からすると、すべて書きあげるにはギリギリの時間です。あまり深く考える時間はありません。そのため、どんなに自分をよく見せようとしても、シナリオには普段からどんな考え方で、その学生がものごとに対してきたのかという本来の考えが表れます。

また、学生はシナリオの上では、健太くんの親戚のお兄ちゃん、お姉ちゃんというフィクションの世界に身を置きます。面接試験のように受験者は構える必要がありません。採用試験からフッと離れ『素』の自分になります。面接試験では「御社は~」と言いますが、シナリオの中では「私は~」と健太君に語ります。そのため「私」の考え、「私」しかできない答えがシナリオに書かれます。

学生の考え方の根っこが見えてくる

学生が書いたシナリオを読むと面白いことが分かります。同じ設定、同じ質問に対しても、学生の個性がきちんと見えるということです。具体的には、それぞれの学生の仕事への考え方、強いては人生への考え方といった学生が大切にしている根っこの部分が見えてくるのです。

例えば、人との関係の中でどんな役割を担うのかを大切にしている学生、自分が行動することで人が喜んでくれることを大切にしている学生、自分の一生懸命を大切にしている学生などなど……シナリオは、3人の人間で分析しました。3人ともそれぞれの学生が何を大切にしているのかという見解は同じでした。

面接では受け答えや表情など、印象的な判断が主になります。話が上手かったり、表情が豊かだったりする人物への評価がどうしても高くなりがちです。ですが、そういう学生ばかりを企業は求めているわけではありません。シナリオと面接の違いは、シナリオは分析的な判断ができることです。企業は、「こういう人がほしい」というイメージと学生が一致しているのかを、学生本来の考え方から読みとることができるのです。

株式会社コプラス 代表取締役 青木さんからのコメント

「シナリオから、履歴書やテストからは分からない応募者の志向性を読み取れるのが大変新鮮で、貴重な判断材料になりました。今回採用の決め手になったのは、「人が喜んでくれることを大切にする」人材だ、ということばが心に響いたからでした。面接だけでは判断が主観に偏りがちですが、第三者の目で見た分析を判断材料に加えられたので、当社が求めるバランスのとれたゼネラリストに最も求められる要素は何か、が整理できたからだったと思います」

企業と学生のミスマッチを防ぐ

企業がいい人材を採用しようと一生懸命に試験をしても、3年以内に大卒で3割、高卒で5割の方が辞めてしまうそうです。原因の一端は、学生にもあるでしょうが、実は、企業が適切に学生を採用できていないことも原因ではないかと思います。それは企業に見る目がないのではなく、見るところが間違っているからなのです。

採用シナリオのポイントは、健太君の質問にあります。実は面接官が聞きたいこと、知りたいことは、健太君の言葉に言い換えて突っ込んでいくことができるのです。企業側のほしい人材像は、理念やカラー、規模や部署などによっても異なります。企業の人材像さえ明確になってしまえば、その人材像を絞り込める採用シナリオを作るだけです。シナリオのアレンジはいくらでもすることができます。

さらには、シナリオで表れた学生の本来の姿に合わせて、どのように育てていけばいいのかという、就職後の企業側の受け入れ態勢も整えることができるのです。採用にシナリオを取り入れることで、企業と学生のミスマッチを防ぎ、就職後の離職率も大幅に下げることができます。働きがいを感じられる職場が、そこに生まれるのです。

シナリオは人間を描くことです。“人”に伝えるための技術と“人”に伝えるための発想は、私たちの生活すべてに活かすことができます。

藤原和博さんが絶賛したシナリオ採用試験にご興味があれば…

シナリオ・センターは、ジェームス三木さん、内館牧子さん、赤川次郎さん、鈴木光司さんなど600名以上の脚本家、小説家を業界一輩出する学校です。

毎クールの連続ドラマの7割近くの脚本を、出身ライターが執筆しています。シナリオの専門教育機関として、採用試験のお手伝いをさせて頂いています。

藤原和博さんがラジオでシナリオ採用試験を取り上げた際の採録です。
>>藤原和博「人間の素の姿がでてきちゃうユニークな採用試験」

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