「BRAND NOTE PROGRAM」メディアガイド刷新せよ!
先月に無事に終了したイケてるECサイト「北欧、暮らしの道具店」を運営するクラシコムさんで実施した2日間10時間のめちゃイケ研修(イケてる会社の、イケてる悩みを、シナリオで解決)が、ついに完結!?
果たして、イケてるフィナーレを迎えられたのか…
イケてる会社の発想を紐解きながら、シナリオ・センターの新井がお伝えします。
そもそも何のためのクラシコムさんの研修だったか
今回クラシコムさんで実施した研修は、「北欧、暮らしの道具店」から生まれた広告事業、「BRAND NOTE PROGRAM」のメディアガイド(営業資料)を刷新して「お客様にも自分たちにもフィットすることばを落し込む」、です。
公式サイトはこちら:「BRAND NOTE PROGRAM」
なぜって、ものすごくイケているサービスなのに、メディアガイドからはせっかくの良さが伝わってこないから!って、新井が思ったからです。
「なんか、新井のくせに上から目線じゃない?」って?それは違います。
新井の完全なるファン目線です!
研修をご依頼頂いたクラシコムの高山さん自身にも、同様の課題感がありましたし、実は「BRAND NOTE PROGRAM」のスタッフの方、みんなにあったという…
その課題感を一言で言うと…
「ウチのメディアガイド…なんか『ドヤ感』が半端ない!」
なんせ、
・月間アクセス1,600万PV
・Facebook 43万いいね、Instagram 68万フォロワー
・国内有数規模のライフスタイルメディア!
という、迫力満点の数字から始まっているのですから!
そこで、第1回目の研修では、メディアガイドを作るための地ならしとして、「BRAND NOTE PROGRAM」と「北欧、暮らしの道具店」のキーワードを棚卸しして、各自の頭の中にあったイメージを見える化しました。
詳しくは、第1回目のレポートをご覧ください。
>>シナリオで探す「北欧、暮らしの道具店」「BRAND NOTE PROGRAM」のフィットすることば
そして第2回目のゴールは、それを踏まえて、新メディアガイドの台割・デザインラフが完成している状態まで持っていきます。
今回のポイントは、新井が事業担当のスタッフさんに、新たな知識を伝えていくことではなく、スタッフさんたちの言葉を引き出し、正しい順番で考えられるように、シナリオの技術を使って道しるべとなることです。
なので、いい形でゴールの状態を迎えられるかどうかは、新井にも、スタッフさんにもかかっています。一蓮托生ってやつです。
うまくいかなかったら、研修後のお疲れ様会が気まずくなります!美味しいお酒をみんなで飲みたいのに!!
目指すべき状態を、明確にする
今回は、新メディアガイドの台割・デザインラフが完成している状態を目指します。
こういう時に大切なのは、メディアガイドを作ることを目的にしないことです。作ることを目的にしてしまうと、どうしても作り手都合の内容になってしまうからです。
「あ、ウチの会社、ヤバいかも……」と思った方、先をお読みくださいね。
どうしたら、作り手都合にならずに作れるのか・・・早く知りたい!という方は、拙著「いきなり効果が上がるPR動画の作り方」を、ご購入くださいまし。ヒントが満載です。
▼前回洗い出した現メディアガイドの課題感
まずはみんなで、このメディアガイドを手にしたクライアントさんが、どんな状態になってもらえたらいいのかを、考えます。
そこで新井からご提案したのは、メディアガイドを送付した場合でも、プレゼンしながら使用する場合でも、「クライアントさんが、具体的なサービス内容を知りたくなっている状態」を目指すことです。
「なるほど、良さそうだ。で、どんな広告サービスがあるの?」
「興味は出てきたなぁ~けど、予算はいくらくらいなの?」
ってところまで、持って行けるメディアガイドにしようということになりました。これには皆さん、うんうんと頷いてくれたので、一安心。
メディアガイドは「誰」のため?
一口でクライアントさんといっても、イメージが全然湧きません。
相手のイメージがないのに、伝えるべきことなんて見つかるわけはありません。なので、「BRAND NOTE PROGRAM」のメディアガイドを目にしてもらうクライアントさんのイメージを整理します。
ここで、ビジネス用語でよく使う「ペルソナ」って言葉は、使いません!
なぜなら、ペルソナって日本語でいう仮面だと思うと、いまいちしっくりきませんもの。仮面というのは、本来、古典芸能の能や古代ギリシア劇でも用いられますが、神やこの世ならざる者の象徴するためのものです。「ペルソナ」なんて、言葉使っていると、具体的なイメージ湧きにくくなっちゃいます。
クライアントさん、この世ならざる者になっちゃうますから。
なので、ドラマでいう「キャラクター」という言葉で考えてもらいます。クライアントさんのキャラクターは?って感じです。そうすると、「こんな性格の人で」「こんなこと考えてて」「こんなこと言いそう」と具体的なイメージが、自然と出てきます。
イメージしているクライアントさんがどう思うか、を考える
「誰」が明確になったら、こちらの伝えたい「テーマ」が伝わった後、どのような「余韻」に浸ってもらうか考えます。
ドラマの起承転結でいう「結」のテーマの余韻と定着です。
「クライアントさんが、具体的なサービス内容を知りたくなっている状態」とは、どんな余韻を感じているのか、みんなで具体的なセリフを考えます。
今までのクライアントさんが言ったセリフや思ってそうなことを思い出しながら、すんなりでてきたのが、こちらのセリフ。
クライアント「自分たちがやりたくてもできていなかったことをやってくれそう」
「結」のテーマの余韻と定着、サクッとでてきました。ここら辺がまた、イケてるところです。
なんせ、この「結」の余韻をちゃんと考えられない会社さん、多いんです。「結」は結論だと、思っちゃっているのでしょうか。自分たちの言いたいことだけ言って、相手がどう思うかまで、考えられないないんですね。
>>参考:ドラマの「構成」を活かして作る営業資料・会社案内
「余韻」を引き出す「テーマ」を考える
「結」の余韻がイメージできたら、次に「転」の「テーマ」を考えます。
テーマとは、一番伝えたいことです。
「BRAND NOTE PROGRAMで一番伝えたいこと」はなにか、具体的に言語化していきます。
これが難しい。
なんせ、伝えたいことはたくさんあるクラシコムさんです。瞬く間に、アイディアを書いた付箋がたくさん出てきます。
▲みんなで、カオス状態の付箋を眺める
でも、なんだろう…いい言葉たちは集まっているのに、どれもピンとこない。付箋を眺めながら、全員で「う~ん」と固まってしまいます。
ここで高山さんが鶴の一声「クライアントにとって何のメリットがあるかだよね?」
さすがの一言です。が、メリットもたくさんあるゆえに、さらに付箋が増え、カオス状態に…
よりにもよって、いや一番大切だからこそ?問題が勃発するなんて…これじゃあ、おいしいお酒どころではありません。
なぜ、テーマ作成にこんなに悩むのか。
それは、テーマはひとつに絞る、という原則があるからです。なぜならドラマで、テーマが二つも、三つもあっては観客が混乱してしまいます。例えば、「愛と友情よりはお金より尊いが、戦争はとても残酷だ」というテーマだとしたら、何がいいたいのか、よくわかりません。
これは、ビジネスでも同じです。伝えたいことは、一つに絞る。とても大切なことです。
先行きが見えず少々進行が不安になり、「一旦置いておいて、先に進めますか?」と妥協しかける新井。「結」を手掛かりにすることもできるし…と。
「まぁそうですね~」という空気のなか、「いや、もう少し粘りたいです!」と、若手のホープ星野さんから声が上がります。クールな目元で、じっと見つめられる新井。
「ですよね…」ということで、粘ることに。道しるべになれていない、自分。
ここで論理的な中村さんが、カオス状態の付箋を見渡すなかで、「自分事化、ってキーワードだよね?」とつぶやくと、みなさんがうなずきます。
では、『自分事化できる』をテーマに置いてみます。
「なんか、分かるようで分からない言葉だね…」と、再び止まる一同。
抽象的な言葉は、具体化してみる
自分事化とは、どんな状態か、具体的にイメージして見ようということになり、ロープレしてみることに。
▼たとえば、この水を「自分事化」する、とは?
「スーパーマーケットでペットボトルの水を買おうとして売り場に行くと、様々なメーカーの水がたくさん並んでいるとして…その時に、自分事化できている状態って…」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「『どれでもいいや』と適当に手に取るのではなく、『これがいい!』と意識して選んでもらうことでは?」
「そうそう、そういうこと!」
来ました!来ました!『金の雨』ではなく、フィットすることばが降ってきました~
全員が拍手喝采!
「そうだよ!『これがいい!』だよ~」
みなさん、スッキリした表情。
星野さんのイケてる粘りのたまものです。
一番伝えたいのは、「BRAND NOTE PROGRAMを使えば、お客様に自分の意思で『これがいい!』と選んでもらえます!」だよね、と全員納得のテーマが言語化できました。
実はすでに、具体化できていたという事実も…
みんなでカオスになり、迷走したテーマ作り。
でも、実は、前回のPR動画作りの中に、『これがいい!』を表現している構成を作っている方がいたのです。高山さんと、高松さん!
というか、そもそも、テーマでカオスにならないための第1回目でもあったのに…
新井の痛恨のミス。道しるべならぬ、単なるやじろべぇ…
皆さんを、勝手にカオスの中に巻き込んでしまいました。青い鳥は家の中にいたのに…もうちょっと早く気づいていれば、チョーイケていたのに…残念!
でも、ポジティブに考えれば、第1回目で棚卸をしていたからこそ、カオスから抜けられたのかもしれない。星野さんが粘りたいと思えたのも、何かしら答えが出そうな予感があったからかもしれない!すべては第1回目のおかげ!みんなで探し当てたことの方が、大切だ!!
イ、イケてるぜ、シナリオ。
いや、ありがとう、クラシコムの皆さん。一蓮托生です!
▼みんなで、一生懸命考えました
どんなにいいテーマでも、相手はそれほど聞く気はない!
なんだかんだを経て、目指すゴールはどこなのかようやく見えたところで、そのテーマに向けて、ひとつひとつのアンチテーゼを崩していきます。
アンチテーゼとは、簡単に言うとテーマに対して、同意する前の状態です。メディアガイドを作る上でも、PR動画などを作る上でも、このアンチテーゼを想定できるかどうかは、重要なポイントになります。
なぜなら、誰も、人の話に興味ないから!
なんか、元も子もないですが、人生そんなもんです。だって、「ねぇねぇ、ちょっと聞いてよ~」と話しかけられて、「何の話だろう?」って、なるじゃないですか?
最初から「え、何なに、チョー聞きた~い」って、基本的になりません。特に、ビジネスの場合。だから、相手のアンチテーゼを想定しておくことが大切。
「BRAND NOTE PROGRAM」であれば、対象となるクライアントさんは、どんな気持ちで読み始めるか、どんな疑問を持っているかを考えていきます。
「掲載すると、どんな効果があるのか?」
「どんな風に、ウチのサービスを紹介してくれるのか?」
「そもそも『北欧、暮らしの道具店』って?」
「他の広告サービスと何が違うのか?」
などなど、口には出さないけれど、相手の頭の中にはアンチテーゼでいっぱいです。
さぁここから、どう構成していけば、アンチテーゼ状態のクライアントに、こちらのテーマ「『BRAND NOTE PROGRAM』を使えば、お客様に自分の意思で『これがいい!』と選んでもらえます!」が伝わり、「結」で、「自分たちがやりたくてもできなかったことをやってくれそう」と思ってもらえるのか…
とっても、おいしいところなのですが、思った以上に長くなったので、次回にまとめたいと思います。
ここまで読んだなら、一蓮托生!お付き合いくださいませ。
シナリオ・センターの新井でした。
さっさと教えろ!という方は、ログミーさんでの記事をどうぞ。
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