シナリオセンターの冨金原(ふきんばら)です。
昨年大好評だった「シナリオライター超入門講座!in下落合図書館」。
なんと今年も開講いたしました。
その模様を一部リポートいたします。
今回は「仕事や学校帰りの方にも参加できるイベントにしたい」というご希望のもと、19時から開始。
21時45分まで開館している下落合図書館だからこその特性を活かしたイベント「下落合アカデミアンナイト」の一環として開催しました。
さらに「2回目、2枚目、2枚目=イケメン、イケメンにまつわることはいかがでしょう」という中西さん(下落合図書館副館長)のシャレの効いた(オッサンズギャグ?)ご提案のもと、「2枚目の描き方」をお伝えすることに。
前回同様、キャンセル待ち出るほど大好評。満員御礼です。
担当講師は昨年に引き続き新井です。
イベント当日は池田館長からの新井の紹介から始まります。
池田館長「2回目のイベントということで、2枚目、イケメン講師新井一樹さんをお招きしました」
新井「ただいまご紹介にあずかりましたイケメン講師の新井です」
会場「…シーン」
…前回よりも静か〜な雰囲気から始まりましたが、結果はいかに!
※2017年8月開講第1回「下落合図書館 で開催!シナリオライター超入門講座」の模様はコチラ
イケメンって聞くとどんな人をイメージしますか?
さてさて、静かな雰囲気に負けずサクサクいっちゃいましょう。
シナリオのレクチャーした後、早速新井が 「どういう風な人がイケメンと思う?」 聞いていきますと、
「さわやか」、「スマート」、「背が高い」、「姿勢が良い」、「清潔感がある」、「カッコ良い」
として捉えている方が多いようです。確かにイケメンってそんな感じがします。
でも、でも、そういう面をテレビドラマでひたすら見せられても、「確かにカッコよいけどさぁ…」という感じがしませんか?
そこで、新井よりヒント。
新井「例えば、混雑した駅の階段で重たそうな荷物を持ったおばあちゃんにさっと手を差し伸べる。これって、見た目関係ないですけどイケメンだと思いません?」
会場「あー」
イケメンを描くには外見も大事ですが、やっぱり人間中身ですよね。
(改めて言いますと、ちょっと嘘っぽいですが…。)
シナリオは映像にするための台本です。
登場人物の内面は行動、しぐさで伝える必要があります。
「おばあちゃんの荷物をもつ」 という行動では、登場人物を 「やさしい人なんだろう」 と伝えることができます。
実際に動きで見せるとグッとイケメン感がでてませんか?
イケメンを描くためには、見た目も大事。
でも、よほど好きなタレントさんが出ていれば別かもしれませんが、
見た目だけで、見てもらえるほど視聴者は甘くなかったりします。
新井「ちなみに、おばあちゃんの荷物を持ってあげたのは先週の私なんですけどね」
会場「はははは」
緊張感のあった雰囲気も和らぎ、今回参加いただいた方々も楽しそうです。
しかし、自分でイケメンエピソードを言っちゃう新井さん、これは2枚目(イケメン)というより3枚目っぽいような…。
見た目だけじゃない!?イケメンをもっと魅力的にするシナリオの技術「二面性」とは?
イケメンと聞くとまず思い浮かべる、背が高い、姿勢が良い、顔がカッコよいというのは、
シナリオの技術では「憧れ性」と言います。「羨ましいなぁ、私もそうだったらよいのになぁ」というものです。
ここへさらにシナリオ技術の 「共通性」 を加えてみてください。
共通性とは「なーんだ、自分と同じじゃないか」というもの。
いわゆる美男子なのに犬や猫が苦手だったり、友達ができない、いわゆるオタク趣味だったり。
「いいなぁ」という憧れ性だけでなく、「僕と同じじゃん」 という共通性も持たせることで、
より魅力的なイケメンが描けるようになります。
見た目が良い人で、中身がしっかりしていて、行動も素晴らしい。
それだけでも、イケメンとして成立しているかもしれません。
ですが、テレビドラマや映画の視聴者はドラマの登場人物を「この人どうなるんだろう」と感情移入して見ています。
「そっちは危ないよ」とか「頑張れ」って応援までしたりします。
でも、欠点のない登場人物だと、この先の展開がわかっちゃうわけです。
「どうせ解決しちゃうんでしょう」と。
例えば、ドラえもんの出来杉くんでは面白いドラマは成立しづらいんです。
やっぱり、「ドラえもんがいて羨ましいという憧れ性、遅刻寝坊は当たり前という共通性の二面性をもったのび太」の方が魅力を感じ、感情移入しやすくなります。
お伝えしたこの二面性という技術、イケメンを描くのに以外にも使えるんです。
二面性は登場人物を魅力的にする、シナリオの技術。
映像台本のためのこの技術をあえて日常生活に使ってみてはいかがでしょうか。
仕事や勉強、部活動でも「できるやつに思われたい」 「彼氏彼女や夫や奥さんにイイとこ見せたい」 なんて憧れ性ばかりに気を取られると「こんなに頑張っているのに職場や学校のみんながわかってくれない」 なんて思っちゃったり、「真面目で近寄りがたいな」なんて周りの人に思われがち。
そんな時は、共通性としてちょっと弱い自分も出してみたりすると
「あの人も自分と同じで弱いところもあるんだな」なんてコミュニケーションもお互いとりやすくなるかもしれません。
「シナリオの技術」を使うと人のいろんな側面を俯瞰的に見ることができます。
「自分ってこういうところあるよな」 「あの人ってこんなところがいいよね」 なんて発見したりして、
いつもの何気ない日常をもっと魅力的にする手助けになるかもしれませんよ。
これからの図書館は本を読むだけの場所じゃない!
イベントにご参加された方々のご感想
・シナリオ作りに対する興味と本を読む楽しさが増した
・自分の知らない世界観を知れた
・分かりやすく、短時間に要点が詰まっていた。実務的でもあった
・読者側だけでなく、書く側の立場を理解できた
・参加者同士でコメントしあいながら進めていく形式がよかった
・映像で例を示したり、ペアワークを利用しておりアクティブでよかった
今回もご満足いただけてとてもうれしいです。
お伝えした「シナリオの技術」。
これから日々の図書館利用にお役立ていただけたら幸いです。
図書館にはシナリオを書くための書籍は多数所蔵されておりますし、また借りた小説を読む際に二面性を意識して読んでいただくと、登場人物に感情移入が出来て、より深く作品の世界観を楽しむことができます。
最後に池田館長のコメントのご紹介です。
池田館長 「映像をとりいれたり、実際に書いて話してみたり、アクティブな講座だったのではないでしょうか。新井先生のお話もイケメンだったのではないかと思います(笑)」
改めて今回イベントにご参加いただいた皆さま、また池田館長、中西さんありがとうございました。
まだまだ図書館の利用者同士が交流するイベントは少ないとお聞きしました。
せっかく、いろいろな人たちが集まる図書館。これからもシナリオを使ったイベントで交流のお力になれたらと思います。
今回も大好評だったシナリオライター超入門講座。
ご参加できなかった方は、ぜひ次の3枚目(3回目)?でお会いできたらと思います。