想いを描く
シナリオ・センター代表の小林です。天候も世の中も気に入らないことばかりで、この夏はイライラが募っています。
8月は、どうしても過去にさかのぼり、戦争のことを考える月になるので戦後70年過ぎてからの風化のひどさに心がヒリヒリし、戦後が戦前になりそうな気配にムカムカします。
創設者の新井一がシナリオ・センターを創った一番の理由は、シナリオを描くことで、自分の考えを持ち、伝える力を持つ人を育てたいということでした。
それは、体制に抗えず戦争に反対できなかった自分への戒めでもあり、自分でものを考え、だめなことはだめだと言える日本人でありたいと思ったからです。
シナリオ・センターに託した新井の想いを広げるためには、8月をしっかりと受け止めることが大切なことだと思っています。
今年は、戦争に関するドキュメンタリーはなかなか見応えのあるものが結構ありましたが、残念なことに、終戦記念ドラマは「この世界の片隅に」(TBS・岡田惠和さん脚本)「夕凪の街桜の国2018」(NHK・森下直さん脚本)「戦争めし」(NHKプレミアム)の3本しかありませんでした。
少なくとも、戦前のようにもの言えぬ時代にはしたくない。
シナリオは、他の創作とは違い、俯瞰でものを見なければ作れない、いわば神の目で作るものです。
プロとしてドラマを描くことで、すべての日本人がシナリオ発想でものを考えることで・・・少しでも歯止めをかけることができたらと切に願っています。
監督もシナリオ・センターから
嬉しいお知らせです。
「若手映画作家育成プロジェクト2018」製作実地研修作家に、研修科の川上信也さんが選ばれました。
おめでとうございます。
5月ミソ帳倶楽部で、この研修から監督デビューされた齋藤栄美さんとアルタミラ―ピクチャーズの桝井プロデューサーのお話を伺いました。覚えておいででしょうか。
ミソ帳でのお話を伺って、シナリオ・センターでも13名もの方が応募されました。
今年の「若手映画作家育成プロジェクト2018」は、34団体、80名の監督志望の方々が応募されました。
その中から、まず第一段階としてワークショップ参加者15名が選ばれ、研修科の川上信也さんが見事権利を獲得されたことはご報告させていただきました。
このワークショップで、プロの編集技師、監督、脚本家の講師から直接指導を受け、5分尺の作品制作を行います。そして、ワークショップでの作品作りの課程を修了された方々から審査され、5人の方が監督として、脚本・監督の映画を作ることが許されます。
最終段階は「製作実地研修」と呼ばれています。
その5人の中に川上信也さんが選ばれたのです。
川上さんは、プロの製作会社のスタッフ・キャストの協力を得て30分前後の短篇映画を創られます。
シナリオ・センターでは、2016年目黒啓太さん、2017年齋藤栄美さんについで3人目となります。
監督としての登竜門「若手映画作家育成プロジェクト」、一次の書類審査はシナリオを審査します。
監督としてもシナリオ力を発揮できることが大切なのです。
監督もシナリオ・センターですよ。(笑)
川上さんのこれからお作りになる作品を楽しみにしたいと思います。