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シナリオや小説についてなど、創作に役立つヒントを随時アップ!ゲストを招いた公開講座などのダイジェストも紹介していきます。

脚本家 も小説家 も求められるのは映像性

「シナリオのテクニック・手法を身につけると小説だって書ける!」というおいしい話を、脚本家・作家であるシナリオ・センター講師柏田道夫の『シナリオ技術(スキル)で小説を書こう!』(「月刊シナリオ教室」)からご紹介。
脚本家兼小説家の出身ライターのかたが沢山いらっしゃいます。例えば、内館牧子さん、宇山佳佑さん、大良美波子さん(小説家名:美輪和音さん)、持地佑季子さん。
また、シナリオ・センターで脚本の技術を学び小説家になられたかたも、乃南アサさん、大山淳子さん、原田ひ香さん、柚木麻子さん等々沢山いらっしゃいます。脚本も小説も上手なかたの共通点。それは文章から映像が思い浮かぶこと。今回は、「映像=イメージ」を捉える右脳についても触れながら柏田流の考えを解説いたします。

脚本家 も小説家 も求められるのは映像性

インターネット、パソコンの普及が大きな要因かと思いますが、近年の文筆業界の傾向として、シナリオと小説の垣根が低くなった、むしろ両者の領域が混じり合ってきたという印象を受けます。

もちろん、基本的にシナリオは「映像の設計図」という役割がありますので、書式や決まり事、表現の仕方、ルールなどがあって、そうした面では小説との違いは変わりません。

ただ、(一時の勢いはなくなったにしろ)ネットの拡散と共に現れ、新しい小説のカタチとして認知された「ケータイ小説」などは、活字で成立していた小説の文体とは明らかに違っていました。

短いト書的な文章とセリフで書かれていて、いわばシナリオと小説の中間のような新ジャンルでした。

こうしたスタイルは、インターネット上で読ませる「ネット小説」とかに今も継承されています。

また、若い読者を想定し、イラストや挿絵と共に読むラノベこと「ライトノベル」も、すっかり認知されて大きな市場を獲得しています。

ラノベの定義ははっきりとしていないようですが、文体としてはまさにト書的な簡潔さ、分かりやすい文章とセリフが求められます。

小説にもあれこれと分け方があるのはご存じでしょう。それこそ「純文学」と「中間小説」というような。

ここでそうした定義なりをあれこれ述べていると、前説だけで終わってしまいますのでまたの機会にしますが、近年著しい(求められている)小説の傾向としては、「分かりやすさ」であり、なにより決め手となるポイントこそが「映像性」でしょう。

決め手はイメージ右脳

左脳の主な機能は言語や論理的な事柄を司っていて、右脳は感性、感覚を主に司っている。もちろん、片方だけでなく、両脳が密接に連携し合っていて、人間は生きていけるのですが。

この脳の本来の機能や役割といったことは、専門家のお医者様とか研究者さんにお任せして、私などは聞きかじった上っ面しか理解していませんので追求しないで下さい。

ともあれ私は、簡単に「左・言語」「右・イメージ」と覚えるようにしています。

そうした浅い見識で申し上げるのですが、文章を書くという作業は主に左脳を働かせるわけです。論理的に組み立てとかをしつつ、言語を駆使して表現をしていく。

ですが直感的な発想であったり、イメージをとらえる右脳の働きこそが決め手になります。映像の設計図であるシナリオは「イメージ」が浮かばないようでは話にならない。

で、実は小説も、言語脳の左と連携するイメージ右脳を、できるだけ稼働できる書き手こそが売れる作家になっています。

以前、歴史学者さんが書いた、小説と称する長編を読んだ(読まされた)ことがあります。ほぼ全編が歴史的記述と、書き手の見解、検証などが綴られていて、ひたすら苦痛。映像がさっぱり浮かばない論文調だったわけです。

シナリオ・センターのゼミなどで、自作は発表せず、次第に批評、分析に長けてしまう方がいますが、大いに危険な兆候です。

ともあれ、シナリオ創作で不可欠な「映像感覚」こそが、売れる小説を書くための大きな武器になるのです。

また次回に続きます。

出典:柏田道夫 著『シナリオ技術(スキル)で小説を書こう!』(月刊シナリオ教室2014年5月号)より

次回は9月29日に更新予定です

※シナリオ・センターの書籍についてはこちらからご覧ください。

 

【要ブックマーク】これまでの“おさらい”は「シナリオ技法で小説を書こう」ブログ記事一覧で!

小説家・脚本家 柏田道夫の「シナリオ技法で小説を書こう」ブログ記事一覧はこちらからご覧ください。

 

 

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