シナリオって
シナリオ・センター代表の小林です。作家集団のAさんが、今事務局のカウンターのところで、「シナリオに出会わなかったらつまんない人生だった。きっとごろごろしてばかりよ。(笑)
シナリオをはじめてから、考えたり、楽しいことばかり。喜びだけではなくってさ、苦しいこともあるけれど、みんな楽しい。」とスタッフ相手に熱弁をふるって下さっていて、ちょっと離れた席でお聴きしながら、嬉しくって、私は思わずニコニコしちゃっています。
ありがたいことです。
シナリオって、もちろんドラマ作りの土台なのですけれど、創作の基というのは、創る人の心、考え方や想いですから、見方も行動も大きく言えば生き方だって変えられるものだと思うのです。
それは、私たちがお教えさせていただいている技術的なことだけでなく、なによりも シナリオって、自分で創るものですから、他人の考えや想いではなく自分自身のもの、だからこそ楽しいのでしょうね。
ドラマはここにある
引きも切らず、ニュースもワイドショーも全米OPENを制覇した大坂なおみ選手が話題です。
残念なのか、プラスになったのかはわかりませんが、半端ない強さの大坂選手との戦いだけでなく、セリーナ選手のまさかの審判との戦いという(笑)驚くような決勝戦だったこともあり、余計大騒ぎなのかもしれません。
個人的には、大坂選手には、本当にすごい快挙を成し遂げたので、そこだけを評価して欲しいという気持ちが強いですが。
だって、8回の勝ち上がりの試合、ブレイクされたのは1回だけ。後はストレート勝ちです。ホントに強い。
ごたごたの決勝戦だってストレート勝ちですから。
大拍手で笑顔で大声でおめでとう!!って、本当に。
テニス選手としての強さはもちろんですが、この決勝戦で彼女は人間としての魅力全開でした。
だから、話題になっているのでしょう。
弱冠20歳の女の子が、喜びいっぱいの優勝の瞬間も、表彰式の嬉しさも台無しにされた中で、どれだけ心を強く、品格を持って試合にも試合後も、相手に、アウェイの観客に臨んだか、その姿、素晴らしいものでした。
人の魅力って、思わぬことがあると大きく見えてくるのですね。
シナリオでいうと、リトマス法でしょうか。
本当にドラマチックでした。
彼女の魅力が全開になったのは、報道されている彼女の名セリフだけではないと思います。
いや、名セリフにしたのは、そこまできた行動があったからこそなのです。
彼女は、セリーナ選手が審判と戦っている時に、帽子を深くかぶって、壁に向かってじっとしていました。戦うセリーナの姿を見ざる聞かざるで耐えていたのです。
大坂選手は「なにもみていないので、私の憧れのセリーナ選手はなにも変わらない。憧れの選手のままだ」と。
この壁に向かって、大騒ぎの渦中を離れて耐えている姿があったからこそ「みんなセリーナを応援していたことは知っています。こんな終わり方ですみません。ごめんなさい。」が名セリフになるのです。
もちろん、その前にテニスの強さ、うまさがあるのは言うまでもありませんが。
気がついていただけたかと思うのですが、名セリフはセリフ自体が独り歩きしているものではありません。 そこに到達するまでの行動の魅力が、名セリフを産むのです。
大人気の「ドクターX」の米倉涼子さんのセリフ「私、失敗しないので」だってそうですよね。
セリフは、発する人だからこそのセリフなのです。