おめでとうございます
シナリオ・センター代表の小林です。今日の東京は雨で肌寒いです。秋はそっと忍び寄ってきているようですね。
最近は、猛と極と超とかつくと心配になります。命に関わるなんて言われるとドキドキしちゃいます。
猛暑の夏は、冬は極寒になるときいていたのですが、暖冬の予報がでて、ちょっとホッとした気分になりました。
嬉しいニュースがいっぱいです。
映画「リバースダイアリー」が、アメリカテキサスの「Lone Star Film Festival」に次いで「第15回バハマ国際映画祭」の正式出品となりました。
19個目の映画祭出品です。海外の映画祭で賞を獲り続けている園田新監督、まだまだ快進撃は止まりません。
「あいち国際女性映画2018」で、作家集団の三村路子&柳田隆行さんの作品「短編映画「夜間飛行」が観客賞を受賞されました。
木皿泉さんのように、コンビでどんどん素敵な作品を創りあげてください。
土橋章宏さん、超高速でがんばっていらっしゃいます。さすがです!
CBC制作の「父、ノブナガ」が民放連テレビドラマ部門で優秀賞を受賞されました。
おめでとうございます。先輩の皆様のご活躍に負けず頑張っていきたいものです。
猫は笑ってくれない
昨日、ミソ帳倶楽部は脚本家の向井康介さんをお迎えしました。
「リンダリンダリンダ」「マイ・バック・ページ」「ふがいない僕は空を見た」「もらとりあむタマ子」「陽だまりの彼女」「ピース オブ ケイク」「聖の青春」など多くの映画脚本を手掛けていらっしゃいますが、初めて小説を書かれたそうです。
ミソ帳倶楽部では、脚本家であり小説家である柏田道夫との対談形式で進められました。
詳細はHPやシナリオ教室で取り上げるので書きませんが、ふたりのやりとりはとても興味深いお話だったので、掲載されたら読んでくださいね。
ご紹介したいのは、初めて書かれた小説「猫は笑ってくれない」(ポプラ社刊) です。
向井さんの私小説的な内容ではあるのですが、とても興味深く別れた二人の心の機微を猫を通して書かれていました。
ミソ帳倶楽部では、小説はフィクションですから事実ということではないとおっしゃっていらっしゃいましたが、小説はノンフィクションではありませんから、その通りで、本当にうまく心情を描いた作品です。初めての小説とは思えません。
映画監督の漣子から脚本家の主人公早川は、創作に気がいかず酒浸りの生活を送っています。
そんな時、かって同棲をしていた時に飼っていた猫が死にかかり看取ってほしいと元恋人の漣子に頼まれます。 愛猫ソンを看取るのは、ソンを拾って育てた二人の想い出をたどることになります。
もはや結婚している漣子の家には、夫の新聞記者宮田さんがいるにもかかわらず、愛猫ソンの看病を漣子の留守中する約束をし、早川は毎日通うのですが・・・。
二人の、その後の漣子のことも何もかも知っているのは、猫のソンだけ。ソンの最後を3人で看取り、元の生活へと戻っていきます。
このお話の中にはシド・フィールドの技術の話がよく出てきて、宮田は早川に教わってこの本を読みます。 そして、ソンが死んだ後、漣子の夫宮田が電話をかけてきて早川にききます。
「この事件、と言ったら大げさですけれど」
「ソンを看取ったことですか?」
「そうです。今回の出来事を通じて、主人公・早川というキャラクターは、はたしてなにかしら変化したのでしょうか?」(略)
「ええ、もちろん。主人公・宮田はどうですか?」
「はい、変わったんだと思います」 きっと、主人公・三木田漣子も。
この数行に、意味のない人生はない、喪失を感じさせながら、喪失というものはないことを感じさせられ、私は向井さんのうまさを感じました。
大阪芸大時代のコンビ山下監督とタッグを組んだ映画「ハード・コア」が11月23日に公開となります。
このコンビに、山下監督の盟友山田孝之がからんで、伝説的コミックを映画化しました。
こちらも是非、ご覧ください。