脚本家として勉強 を重ねて
出身ライターの佐野誠さんが脚色された映画『文福茶釜』。
(10/13(土)に京都府先行公開、10/20(土)から全国ロードショー)
直木賞受賞作家・黒川博行さんの同名小説がこの映画の原作です。
黒川博行さんは美大出身で、高校の美術教師を10年務めた経験をもち、古美術や骨董にも大変造詣が深いことで有名です。
専門知識の裏付けがしっかりとされている小説を、佐野さんはどんな風に脚色されたのでしょうか?
『月刊シナリオ教室』(12月号/11月28日発行予定)にも佐野さんのインタビューを掲載いたしますが、それに先駆けてコメントをご紹介!
プロの脚本家はどう脚色するのかが分かるだけでなく、脚本を担当される度、“現場”で脚本家として勉強を重ねている佐野さんならではのメッセージもいただきました。脚本家志望者は必読です。
映画『文福茶釜』について脚本家・佐野誠さんにご質問!
――映画『文福茶釜』の見どころを教えてください。
〇佐野さん:黒川博行さんの原作が面白くて、短編集だったのですが「全エピソード使いたい」と思わせてくれました。
かなり贅沢に「イイとこ取り」しましたので(笑)、随所に見どころが溢れています。
短編集ではいち登場人物に過ぎなかった佐保のキャラクターと、オリジナルで作り上げた川島涼香、この2人の掛け合いを楽しんでもらえたら嬉しいです。
――「ココは外せなかった!」というシーンはありますか?
聞くところによりますと、佐野さんは長年、茶道を習っていらっしゃったんだとか。そのときの経験や知識もシーンに反映されているのでは、と思うのですが。
〇佐野さん:金継ぎの筒茶碗ですね。これは外せなかった。
佐保の過去と直結するエピソードで、我ながら残酷なシーンになったなと思いました。
筒茶碗は薄茶の手前の時、扱いが難しくて点ちにくいんです。稽古の時に結構苦労したので、ここで解消したなと思いました。
――思い出に残るご執筆中のエピソードはありますか?
〇佐野さん:何と言っても決定稿までの短さですね。実質1ヵ月で書き上げたのは、我ながら頑張ったと思います。
決定稿を書いて送ったのが、法事で帰省していた福岡のネットカフェからで、改めて「どこに居てもシナリオは書けるものだなあ」と思いました。
あと、ロケハンも同時進行でしたので、執筆中に「ロケ地が京都の美山に決まりましたので、ここを入れてください」と言われたのも初めてでした。素敵な場所だったので、イメージしやすかったのは幸いでした。
※You Tube
シネマトゥデイ 映画『文福茶釜』予告編より
――「今回、これは勉強になったな」と感じたことなどございましたらぜひ教えてください。
〇佐野さん:当て書きです。今回はイメージしていた役者さんがそのままキャスティングされていたりと、ビックリすることが多かったのですが、具体的に役者の顔が見えてくると、台詞がそのまま溢れ出してくる。そんな体験が出来たのは良かったです。
――脚本家を目指しているシナリオ・センターの後輩に向けて、ひとことお願いいたします!
〇佐野さん:くじけそうになること、実際くじけてしまうこと、いっぱいあります。
泣きたくなること、実際泣いてしまうこと、いっぱいあります。
それを乗り越えて、いや、乗り越えられなくても書き続けてください。
あきらめずに書き続けた人、その人たちだけが辿り着く世界があります。
一緒にその世界へ行きましょう!
※そのほか脚本家・小説家・映画監督の出身生コメントはこちらから。
シナリオ・センター出身の脚本家・小説家・映画監督の方々のコメント記事一覧『脚本家 ・小説家コメント記事一覧/脚本や小説を書くとは』をぜひご覧ください。