ドラマは楽しい
シナリオ・センター代表の小林です。ようやく10月期の連ドラが出そろったようです。
最近は、始まる時期も回数もマチマチで、気をつけていないと見逃してしまうことがあります。
私は、出身ライターの方々の作品は必ず拝見させていただくことにしているのですが、リアルで見られない時間帯も多く、また出身ライターのドラマが重なる時も増えているので、すべてをとりあえず録画します。
全くの機械オンチの上歳なので頭は固くなり、ネット配信はおろか録画もままならず、オタオタしながらみています。
すべては娘頼りなので、編成期ごとに平身低頭でお願いをしております。(笑)
この秋も面白いドラマがたくさんありそうです。深夜ドラマ、BS、CSに、昨今飛びぬけて面白いものがあります。
ゴールデンではできないことも深夜ではということがあるのでしょうか、チャレンジ精神にあふれたドラマが増えて、成功もあり失敗もあり・・・なかなか楽しいです。
シナリオ・センターのHPに出身ライターの方々の活躍状況がでていますので、ご参照の上、是非ご覧ください。
ドラマだからできること
シナリオライターの野木亜希子さんが、「獣になれない私たち」(NTV)と「フェイクニュース」(NHK)と全く違うタイプのドラマをこの期で描かれていらっしゃいます。
「獣になれない私たち」では優しすぎるほど損をする、生きることのしんどさを描かれていて、今の人間関係を如実に描かれているなあと思います。 自分自身を変えたいのに変えられない人がほとんどですものね。
キャラクターの創り方がとても丁寧で、この人だったらとキャラクターがシーンに何気なく表れていて、野木さんのうまさに本当に脱帽してしまいます。
「フェイクニュース」は、明日と2回放映のドラマですが、インタビューでドラマの本質と作家のあるべき姿をお話ししていらしていてなるほどと思ったので一部抜粋させていただきました。
「ドラマは『共感』を生むコンテンツだとよくいわれます。
共感とは、自分と似ているということだけではなく、自分とは遠くの立場にいる人の気持ちもわかるようになることだと私は考えています。
本来は自分とは「違う人」だけれども、もしかしたら自分もそうなるかもしれない。そういう一面があるかもしれない。
見た人がそんな疑似体験をできるのが、小説や映画、ドラマなど創作物の利点だと思います。」
「ドラマだからこそ伝えられること、エンターテイメントして見せながらできることはあるんじゃないか。今回もそういう思いがあります。」とドラマ「フェイクニュース」についても語られています。
野木さんのおっしゃるとおり、ドラマはドキュメンタリーと違ってフィクションですが、だからこそ、現実以上に伝わることがあるのだと思うのです。
SNSの発達拡大は、情報そのものを変えていっています。
「ちょっと間違えた人を徹底的に叩いていたら、誰も生き残らない。誰も幸せにならないと思うんです。」 という野木さんの切り口、どんなドラマを展開して下さるのか楽しみです。
ついでにというのも失礼ですが、シナリオライターを目指す方へ一言。
野木さんは、フジヤングシナリオ大賞に5~6回挑戦された上で受賞され、受賞後はプロットをただ同然で山のように書かされて、今があるのだそうです。
めげない、諦めないことがプロの道に進む、唯一の手立てだと思います。
ドラマは、一人称では絶対に描けない創作です。
登場人物が何かが起きたときにどう動いていくのか、葛藤・対立・相克は俯瞰で見ていかなければ、客観視できなければ創れません。
「引いた目で見ること、描くことができなければならないのがシナリオ」
小説家などとはまた違うシナリオライターとしての特性はここにあると思います。