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代表 小林幸恵が毎日更新!
表参道シナリオ日記

シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。

キャラクターとディテール、シナリオも小説も大切なのは同じ

次回作のご期待ください2(角川文庫刊)

講師会

シナリオ・センター代表の小林です。今日は5週目なので、授業は企画書講座しかないので、ちょっと余裕にしていました。ところが外部での研修の打ち合わせにでかけていたら全体講師会にギリギリとなり大慌て。 なんでいつもバタバタしちゃうんでしょう。情けない。
全体講師会では、講座・通信・添削・ゼミナールの講師が一堂に会し、シナリオ・センターの教育の根源を話し合いました。
創作には正解がないだけに、教えることにも正解がなく、ある意味毎回毎回同じような議論を重ねているので不毛な議論の繰り返しのようにみえます。
私は、その中でお互いが確認し合うこと、それぞれの考え方を知ることは、決して不毛ではないと思っているので、こんな繰り返しをしています。
全員の意見をお聞きすることが精いっぱいで、とことん話し合う時間が足りないのがいつも残念に思うのですが、それでも他人の意見を聞くことはとても大事なことだと思うのです。
聴く耳を持たないと、自分の想いに落ちいってしまうので、できる限り耳を傾けるようにしたいと思うのです。
それは誰もにいえることで、講師もスタッフも一緒に、シナリオ・センターは発信するばかりでなく受信も感度がめちゃいいぞといえる場所でありたいと思っています。

次回作にご期待ください

過日ご紹介した問乃みさきさんの2作目がなんと早くも出ました。
「次回作にご期待ください 2」
角川文庫キャラクター小説大賞を受賞された「次回作にご期待ください」の第2弾です。
キャラクター小説大賞の名の通りキャラクターがとてもいいので、第2弾がシリーズとして出せるのです。
登場人物のキャラクターが魅力的であればあるほど、ストーリーは一つの石を投げれば転がっていきます。

第2弾は、売れていなかった漫画家の初期の作品をオリジナルとして映画化しようとするプロデューサーと作品を守ろうとする編集者たちの戦いです。
平凡な料理漫画を描いて打ち切られた梵月子さんに、編集者蒔田は「おばあ様が言ってた。うちのぼた餅のあんこは、砂糖だけじゃなくて塩ひとつまみ入っているって。そのひとつまみ塩が甘さを引き立てて味がしまるんだって」と、彼女の大好きな伊達正宗を主人公に料理漫画を描くことを勧めます。
彼のお蔭で売れっ子の仲間入りに。漫画のタイトルは「ほめて食べし」伊達正宗の言葉です。
その月子さんの売れなかった初期作品をオリジナルとして映画化してしまおうとするプロデューサーがでてきて、月子さんの作品を守ろうとする眞坂たちが動き出します。

ストーリーとしてはある意味単純なお話ですが、ドラマはキャラクターだということが本当に実感できる小説です。
また、シリオも小説もディテールが大事だということもよくわかります。
今回は主人公の眞坂が朝起きると右目が腫れて目が開けられないところから始まります。
目医者に行くと「麦粒腫」だと言われる。すごい病気かと驚く眞坂におじいさん眼医者は、出身を訊ねます。 東京と答えると「じゃあ、ものもらい」と。
地図を見せて、最大勢力は「ものもらい」近畿・岡山付近では「めばちこ」、京都、滋賀「めいぼ」、岐阜と愛知「めんぼ」、三重中国四国地方の「めぼ」、北陸、九州の「めもらい」、鳥取の「めぼいた」、北海道の「めっぱ」、熊本の「お姫様」、宮城は「バカ」(小説ではもっと詳しいです) 呼び名が地方によって違うことを教えてくれます。
物語の中に、登場する人々が眞坂の右目を見て「あ、めっぱになったの」とかいうと、その人の出身がわかり、それがキャラと結びつきます。うまい、本当にうまいです。
また、漫画編集者のW主人公の魅力はもちろんなのですが、問乃さんは、小説の中でみせる漫画の内容、それ1つ取出してもお話になるほどの凄い企画力をお持ちです。

キャラクターが描けていない、ディテールが描かけていない、シーンが立っていないというお悩みの方は、「次回作にご期待下さい」「次回作にご期待下さい2」を読んで見てください。
何が足りないのか、何が大事なのかがとっても明確にわかります。
あ、もちろん、面白くてどんどん読めてしまうエンタテイメント小説です。

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