ハロウィン
シナリオ・センター代表の小林です。10月が終わり、ハロウィンも終わりました。渋谷のハロウィンの喧騒は、今年はなぜか表参道へはあまり届きませんでしたが、道玄坂、文化村の道は封鎖され、たくさんの仮装をした人々で賑わっていたようですね。
軽トラックを横転させたり、自動販売機を壊したりと暴徒化した人もいたようでしたが、ほとんどの人は非日常の自分を楽しんでいたようです。
ハロウィンは国によって違うようですが、収穫祭でもあり、死者を迎えるために仮装するという話もあり、アメリカでは怖いものに仮装するというのが主流だとか・・・。
今年は、ユーチューブやニュースで見て楽しそうだからと海外からの観光客が増えたとか。
日本は海外ニュースをあまり放送しませんが、世界的には海外ニュースに重きを置いているそうで、日本のこともよく報じられているそうです。
日本のメディアにはもっと報道してほしいです。海外ニュースに興味を示さないのは、視野を狭ばめているかも知れません。
日本の中だけでなく外へもアンテナを向けていきたいものです。
東京零年
そうです。知らないことが多いと、都合の良いようにされてしまいます。この小説を読むと、本当に怖くなります。
出身ライター赤川次郎さんの「東京零年」(集英社文庫刊)が「吉川英治文学賞」を受賞されました。
おめでとうございます。
赤川次郎さんと言えば三毛猫ホームズに代表されるように、ちょっと軽めのミステリーサスペンスを楽しませていただいていることが多いですよね。
この吉川英治文学賞を受賞された「東京零年」は、今までよりも強いメッセージ性を持っています。
最近の社会への大きな危惧を感じていらっしゃることがよくわかります。
「東京零年」は、常に監視され、危険分子は直ちに葬られ、ニュースは政府に都合のいいものだけが流されている社会が舞台です。
ですが、それは一部の人しか感じられていません。
主人公の亜紀は、反権力運動の父親とともに、公権力に翻弄されていきます。
父親は政府に陥れられ身体を壊し、亜紀は、大学の授業中に受講生の前でレイプされるという過去から始まります。
ある日ニュースの中の背景に、亜紀の父親が殺したとされる死んだはずの男をみつけます。
生きていたことを知った亜紀は、自分たち家族を陥れた検察官の息子健司とともに事件の真相を追うのですが、二人の前には公権力の大きな壁が立ちふさがり、次々と関係した人々が襲われていきます。そして、亜紀の身にも・・・。
赤川次郎さんの骨太の社会はミステリーです。
小説ですが、今と同じではないのかと思えるほど、公権力の横暴さが描かれています。 拘束して精神的に肉低的に痛めつけ、権力へ反逆する気持ちを失くさせる・・・。
どこかで300日も拘束された人がいましたよね、最近も。
決して、起きていないことではない、起きないことではないと赤川さんはこの小説の中でおっしゃっています。
物事の神髄をみつめること、情報を自分で正しいか見極めることの大切さを赤川さんは発信しています。
前にもお話しました「新聞をさかさまに読め」に通じます。
この小説は2012年から2014年まで「すばる」で連載されたもの。 赤川次郎さんは、昨今の社会に、漫然と生きてはいけないと常に警鐘を鳴らしていらっしゃいました。
小説という形で、ドラマという形で、形は何であれ、大事なことを、真実を伝えていくということは創作者の使命なのだと思います。