引っ越し疲れ
シナリオ・センター代表の小林です。10日から表参道シナリオ日記をお休みさせていただいておりました。 長の休みだったせいか、体調を心配してくださった方もおられ、ご心配いただき、本当にありがとうございました。
私的なことで恐縮ですが、我が家をリフォームするために、3月いっぱい仮住まいをしなくてはならず、引っ越しをいたしました。
築50年もの家をリフォームするということは、結構大変なことで、9日にお話しした新井一のシナリオも死後20年経って日の目を見たわけで・・・(笑)
まあ、わけの分からないものがでてくるわでてくるわ、ひたすら捨てまくり、家具類も電化製品も幾つかを残してほぼ廃棄、本は4畳半一杯分くらい捨て、洋服着物など小物類は50箱以上寄付、ごみにしたものは100袋を越えて・・・もう最後は判別もできなくなり、どうでもよくなりました。
で、やっと仮住まいのマンションに、愛犬ハルと共に段ボールの山を崩しながら、落ち着かない日々を送っています。
その上、再び半年後にリフォームした家へと同じことを繰り返すのかと思うとうんざり、考えただけで疲れています。(笑)
新婚以来の久々の引っ越しに、この歳は対応不可ってかんじで、バタバタしてご迷惑をおかけしています。 来週あたりからは、なんとか通常に体も頭も動けるようにしたいと思っております。
よろしくご諒承下さいませ。
人生を考える一冊
そんなバタバタの日々を癒してくれる本に出会いました。
人生を、人と共に生きるということを考えさせられながら、他人に対してやさしい気持ちになれ、このくらいのバタバタでイライラして、文句なんて言っていられないなと思わせられました。
出身ライターの宇山佳佑さんの新刊本です。
「この恋は世界でいちばん美しい雨」(集英社刊)
ベストセラー「桜のような僕の恋人」から映画「今夜、ロマンス劇場」など映画脚本から小説まで幅広く活躍されている宇山佳佑さん。
この本も、もちろん究極のファンタジーラブストーリーなのですが、単なるラブストーリーを越えて、人間の本質に向き合わせてくれる心洗われるお話しでした。
駆け出しの建築家誠とカフェで働く日菜のラブストーリーです。
お話の発端は、鎌倉の古民家で愛に溢れた同棲生活を送っていた2人、ある日タイムカプセルを埋めようと出かけた二人は、雨のためにバイク事故で瀕死の重傷を負ってしまいます。
目を覚ました二人の前には、「案内人」と名乗る喪服姿の男女が。
そして、二人合わせてライフシェアリングという20年の余命を授かり、生き返ることになるのですが・・・。
しかし、奇跡の代償は過酷な人生でした。
2人で10年ずつ分け合った寿命。ライフシェアリングはどちらかが幸せを感じると相手の寿命を1年奪い、不幸を感じたら相手に1年寿命を奪われる、お互いの命を奪い合う毎日となるのです。
愛し合っていた二人はその人生を歩み始めるのです。
このお話しは、相手のことをどれだけ思いやれるのか、他人のことを命賭けで守れるのか、余命は決まった時人はどのように生きることができるのか、二人の切ないラブストーリーでありながら、人として人生への向き合い方が問われる小説です。
ふたりの周りを取り巻く人々の優しさ悲しさ、案内人の切ない過去などを散りばめながら、生きる意味を考えさせられるお話になっています。
私は、宇山さんの最高傑作ではないかと思います。
ファンタジーラブストーリーとしても切なく楽しめるのですが、それ以上にこの本はひとりひとりの心を洗ってくれる本だと思います。
他人に対して寛容でなくなっている今こそ、読んでいただきたい本です。
【リンク】2017年に宇山佳佑さんへのインタビュー記事
▼出身ライター宇山佳佑さんに学ぶ 目的をもつこと
https://www.scenario.co.jp/online/20397/