一緒に仕事ができる脚本家の発掘
〇磯山:「TBS連ドラ・シナリオ大賞」は今回が4回目でした。私自身が審査委員長をやって最終審査まで関わったのは第4回だけなので、第4回の話をさせていただきます。
第3回と第4回の間が3年近く空いているんですが、なぜ空いているのか。人員が不足しているからです。普段は皆ドラマを作っているので、時間が取りにくく不定期になっています。でもこれからは毎年継続してやりたいと思ってます。
この賞の目的は、プロとして一緒に仕事ができる脚本家を発掘して育てていくことです。ですから、皆さんには連ドラの第1話と全体のあらすじを書いて応募してもらっています。その作品自体を放送することが最終目的ではないということです。
映像化はまったくないわけではなくて、今までに、第1回目の佳作を『黒の女教師』というタイトルにして、連ドラとして制作したことがあります。でも受賞作が放送されてそれきりというようなのは、このコンクールの本意ではないです。あくまでも、ずっとお付き合いできるような脚本家を見つけたいというのが趣旨です。
さて、選考方法ですが、第4回の場合1183本の応募がありました。いちばん最初の下読み審査は、ドラマ部員の他に、映画部とかメディアコンテンツ部とか、編成部も含めて社内の人間が大勢で読みます。
応募原稿ですが、筆で書いてあったり、巻物状になっているとか(笑)、信じられないくらいスゴイのもきます。ちなみに手書き原稿も250本くらいあります。そこで約半分に、650~660編くらいにします。
その後はドラマ部が中心になり、プロの脚本家も交えて、一人がだいたい15、16本くらい読むんですが、ABCをつけてもらって、B以上は順位も付けてもらい、120~130本くらいにします。今年は139編が残りました。
そこからあとは、TBSのドラマ部員とドリマックスのプロデューサー併せて35人くらいが、ひとつの作品に付き、必ず2人以上が読むようにして、最終審査に残す作品を選びます。だいたい10編前後にするんですが、今回は11編が残りました。
最終審査は、8人のプロデューサーが全員でその11本を読んで、順位を付け、審査会議では点数の高い作品から順に議論しながら、大賞と佳作を決めていきました。
〇今井:この賞の特色ですが、他のコンクールとまず第一に違うのは、連続ドラマの第1話を書いてください、というところですよね。
なぜかというと、入賞後まったく経験のない皆さんに、始めからシナリオを丸々書いてください、と頼むことはなくて、まずは連続ドラマのプロットを一緒に考えていきましょう、というところからなんですね。
作家とのホン打ちに参加してもらって、最初はプロットを書いていただき、その後、じゃあ何話目を書いてみてください、というふうにつなげていくわけです。
連続ドラマの中の1本を書く、ということが当面の目標となりますので、応募してもらうシナリオも、連ドラの第1話、ということにしてあるわけです。