ラジオドラマ脚本コンクール で賞をとる!
【ラジオドラマには、映像ドラマと同じく「テーマ」や「クライマック」は必要不可欠です】
そう話すのは、シナリオ・センター大阪校で作家集団と第2長篇研究科に所属されている菅浩史さん。今年3月に発表された第2回MBSラジオドラマ脚本コンクールで、『母の日、義父に会いに行く』が優秀作に選ばれました!
ラジオドラマは、音声ドラマ特有の制限や書き方のルールがあるものの、菅さんが仰るようにテーマやクライマックス、それから魅力的なキャラクターやセリフを考えるなど、根本的な作り方は映像ドラマと同じです。
だからこそ、ラジオドラマの脚本コンクール受賞者の中には、ラジオだけでなくテレビドラマや映画でも大活躍中の脚本家が沢山いらっしゃいます。
例えば、シナリオ・センターの出身ライターで言えば、連続テレビドラマ『ゲゲゲの女房』『八重の桜』『コウノドリ』の脚本を手掛けた山本むつみさんは、BKラジオドラマ脚本賞やNHK創作ラジオドラマ大賞での受賞経験あり。
劇場アニメ『聲の形』『夜明け告げるルーのうた』『若おかみは小学生!』の脚本を手掛けた吉田玲子さんは、BKラジオドラマ脚本賞や中四国ラジオドラマ脚本コンクールでの受賞経験あり。
テレビドラマ『You May Dream ~ユーメイ ドリーム』の他、舞台『SHEENA』や書籍『北九州の逆襲』などあらゆるジャンルで精力的にご活躍中の葉月けめこさんも、NHK創作ラジオドラマ大賞やラジオ日本 杉崎智介脚本賞での受賞経験があります。
脚本家志望者の皆さん、映像ドラマの脚本コンクールだけでなく、ラジオドラマの脚本コンクールにもぜひ挑戦してみてください。
菅さんが受賞された「MBSラジオドラマ脚本コンクール」(MBSラジオ主催)は、ラジオ文化の継承と「音で描く世界」の面白さを広く伝えることを目的に、テレビドラマ脚本の専門誌『月刊ドラマ』(映人社)との共同企画として2016年に第1回目の募集を開始したもの。最優秀作はMBSラジオでドラマ化して放送されます。
今回は菅さんに、受賞のコメントをいただきました。
「応募のキッカケ」や「受賞作を執筆する際に特に気を付けたこと」に対するコメントを読むと、「ラジオドラマの脚本コンクール、出してみようかな!」「ラジオドラマも映像ドラマも、作るときに大事なことは全然変わらないんだ!」等々、いろいろと感じる部分があるかと思います。
ぜひ、菅さんのコメントを参考にしてみてください。
第2回MBSラジオドラマ脚本コンクール優秀作受賞:菅浩史さん
「直しを繰り返すと誤字・脱字に気づき、雑なセリフの修正・削除に効果が!」
――第2回MBSラジオドラマ脚本コンクール優秀作を受賞して
〇菅さん:受賞歴がなかったので、まったく自信はなかったです。
ただ、本コンクールの「家族」というテーマに合致したモチーフだったこと、何度も「ひとり直し」をしていたので、丁寧な作品を応募できたとは思っていました。
最終選考に残ってから、『月刊ドラマ』の担当のかたより受賞のご連絡があったのが、数日間でしたので、ワクワク・ドキドキする期間は短かったです。
――受賞前と受賞後で変化したこと
〇菅さん:変化はありませんが、他のコンクール応募要項の受賞歴にようやく「戦果」を書き込めるようになったことはよかったです。
――応募したキッカケ
〇菅さん:作品の原型は、20枚シナリオでした。当初は尺をのばして映像コンクールに応募したのですが・・・。
しばらく、ほっておいていたのですが、男女、異なる年齢、方言等、ラジオドラマに有利とおもわれる設定があったので、ラジオドラマでうまくいくのではと考え、修正を試みました。
ラジオドラマコンクールへの応募は、はるか昔から断続的に挑戦していました。
初めて応募したNHK創作ラジオドラマコンクールで最終選考に残り、ここで自分の才能を過信してしまいました・・・。
ちなみに、その時の大賞は『ゲゲゲの女房』の山本むつみさんでした。
――受賞作『母の日、義父に会いに行く』で特に心掛けたこと
〇菅さん:本コンクールの締め切りが12/31でした。年明け初旬には例年、NHK創作ラジオドラマコンクールがあり、私ごとで恐縮ですが、お歳暮配達の宅配業社で勤務しており、公私ともスケージュールがカツカツでした。
とにかく、後のコンクールに影響がでないように、なるべく早く書き上げる必要がありました。すると、思いがけず第1稿ででき、後はひたすら、印字しては直す工程を4・5回繰り返しました。
改めていうのも変ですが、「直し」を繰り返すと誤字・脱字に気づき、また雑なセリフの修正・削除に効果があります。
また、伏線のセリフをこの位置に書いておけば、後々効果的であるとか、丁寧なシナリオを描き上げることができました。
――ラジオドラマの脚本コンクール受賞を目指すシナリオ・センターの仲間にひとこと
〇菅さん:ラジオドラマには、映像ドラマと同じく「テーマ」や「クライマック」は必要不可欠です。
ただ、その表現技法において音声ドラマ特有の制限・ルールがあると思います。
もし、ラジオドラマは敷居が高いと感じたら、講座や書物などで「予習」されることが肝要と思います。私も故・森治美先生が開講されたラジオドラマ講座のおかげで、ラジオドラマの心得(注意点)を勉強できたと思っています。
僭越ながら、落選続きだった私が言えることは「続けていれば、いつかいいことがありますよ」でしょうか・・・。
※第3回MBSラジオドラマ脚本コンクールの詳細はこちらをご覧ください。
※なお、2018年12月末発行の『月刊シナリオ教室2019年1月号』ではラジオドラマについてを特集。その連動企画として、ブログでもラジオドラマについてをフィーチャー!今年のラジオドラマ脚本コンクールで受賞されたかたのコメントをご紹介しています(全3回)。今回はその第2弾。
『月刊シナリオ教室2019年1月号』とこちらのブログ、併せてご覧ください。
※ブログ「ラジオドラマ脚本コンクールで賞をとる2018①/山本雅嗣さん(第39回BKラジオドラマ大賞最優秀賞受賞)」はこちらからご覧ください。
※ブログ「ラジオドラマ脚本コンクールで賞をとる2018③/山下蛙太郎さん(第12回南のシナリオ大賞優秀賞受賞)」はこちらからご覧ください。
※菅さんに続け!脚本コンクールいろいろあります。
こちらのブログ「主なシナリオ公募コンクール・脚本賞一覧」をご覧ください。