アマもプロも
シナリオ・センター代表の小林です。新年早々コンクール入選情報が入りました。
「ラジオシアター~文学の扉~」ラジオドラマ脚色大賞で、御三方の方が優秀賞を受賞されました。おめでとうございます。
優秀賞1席「王ディオニスの孤独」 佐々木美紀さん
優秀賞2席「我が佳きメロス」三井隆さん
優秀賞3席「走れメロス・太宰治」小川友希子さん
惜しくも大賞は逃しましたが、4席のうち3席を独占しました。皆さんの頑張りが新たな年の幕明けとなりました。
プロの方も頑張っています。 日本アカデミー賞優秀賞が発表されました。
「カメラを止めるな!」脚本監督上田慎一郎さん、「北の桜守」の脚本那須真知子さんがいくつもの賞をいただいています。
その他にも、出身ライターの方々の脚本の映画が優秀賞になっています。
優秀作品賞「カメラを止めるな!」「北の桜守」
優秀監督賞「カメラを止めるな!」上田慎一郎さん
優秀脚本賞「カメラを止めるな!」上田慎一郎さん
優秀脚本賞「北の桜守」那須真知子さん
優秀主演男優賞「終わった人」舘ひろしさん(原作内館牧子さん)
優秀主演女優賞「北の桜守」吉永小百合さん(脚本那須真知子さん)
優秀美術賞「北の桜守」
優秀録音賞「北の桜守」「カメラを止めるな!」
優秀編集賞「北の桜守」「カメラを止めるな!」
新人俳優賞「累~かさね~」芳根京子さん(脚本黒岩勉さん)
新人俳優賞「覚悟はいいか、そこの女子」中川大志さん(脚本李正姫さん)
新人俳優賞「ビブリア古書堂の事件帖」成田凌さん(脚本松井香奈さん)
優秀上演男優賞「北の桜守」岸辺一徳さん(脚本那須真知子さん)
優秀助演女優賞「北の桜守」篠原涼子さん(脚本那須真知子さん)
優秀撮影賞「北の桜守」「カメラを止めるな!」
優秀撮影賞「北の桜守」
優秀音楽賞「北の桜守」「カメラを止めるな!」
まあ、すごいですよね。アカデミー賞に輝くのは果たして・・・楽しみです。
3月1日には最優秀賞を発表する授賞式が行なわれ、トップが決まります。
原田ひ香さんの視点
小説家の原田ひ香さん、純文学からエンタメまで幅広いジャンルで小説を書かれていらっしゃいますが、またまた新しい原田ひ香さんの誕生です。
「DRY(ドライ)」(光文社刊)
初のクライムノベルだそうです。ですが、これは社会派小説、純文学、エンタメ、ジャンルを超えた世に問う作品です。いや、世が問われる作品といった方がいいのでしょうか。
帯には「原田ひ香が、満を持して挑む、堕ちていく女の果ての果て」と惹句が。
人はどこまで堕ちていくのか、どこまで堕ちられるのか、本当に目が離せないというのはこのことかと思います。
優しさに包みこまれているはずのに、どこからか不協和音が聞こえてくるような本当に奇妙な感覚に囚われます。その感覚を引きずったまま、藍という主人公に共感して、どんどん読み進んでしまいます。
自分は悪くないのに、自分は努力してきたのに、自分は愛してきたのに、女だから・・・認められない、報われない。どこにもいる女性の1人。
そんな彼女が不倫の末離婚されて、実家に戻り、隣の幼馴染美代子と再会します。
美代子は家族を見送り、祖父を1人で介護をしている評判の孝行娘。
お金にがめつい祖母と男にだらしのない母に翻弄させられた藍は、美代子と親しくなり、介護が終わった後の彼女の生活を心配します。
ですが、美代子には藍には計り知れない大きな秘密が。
その美代子が起こす犯罪は世の中を震撼させます。
この犯罪は、それは本当に犯罪なのか・・・貧困、介護、年金問題と個人ではどうやっても解決できない闇が覆っています。 闇から決して抜け出ることができない、どこまでもどこまでも堕ちていくしかない女性たち・・・。
誰が悪いのでしょう。誰が責任をとるのでしょう。
クライムノベルでありながら、現在の社会のあり方、人の生き方に痛烈に切り込んでいるこの作品は、日本中のすべての人の心を揺さぶることでしょう。
特に、社会の上層部にいる方々には必須で読んでもらい、人間の尊厳とはなにかを知ってほしいと思います。
原田ひ香さんの会心の一冊です。