文化芸術
シナリオ・センター代表の小林です。北海道は-30度とか、連休の始まりはすごいことになっていました。大変な地区の方々お見舞い申し上げます。
9日は東京も大雪情報でしたが、寒さは厳しかったものの、雪は降っただけで積もることもなく過ぎ、ほっとしました。
おかげさまで2月シナリオ8週間講座も無事開講することができ、多くの受講生を迎えることができました。ありがたいことです。
1月31日から始まった135期シナリオ作家養成講座の受講人数は、なんとぴったり135名。(笑)
「こんな奇跡もあるんだね、なんだか幸先いいね」と事務局スタッフ一同ポジティブシンキング。
世の中的には悲しいこと、腹立つこと、いやなことが多いだけに、「いいことみつけ」はとても大事なことに思います。
幸いなことに、シナリオライターは何でもネタになります。
出身ライターの森下佳子さんも「死なない限りはかすり傷」だし「飯のタネ」と考えればいいとおっしゃっていましたけれど、なんでも客観的にみるとどんな経験も生かすことができますし、嫌なこともやり過ごすこともできます。
客観的に見るというのは口で言うほどやさしくはないですが、これがドラマだったらどう展開する?と考えると、自然にできる気がします。
文人たちのまち番町麹町
作家集団の新井巌講師が「文人たちのまち番町麹町」(言視舎刊)を上梓されました。
この本は、2008年書かれた「番町麹町幻の文人町を歩く」を再編集したもので、初本が上梓された後、千代田区には文学散歩ルートができ、番町麹町を散策される方がドーンと増え、文化芸術に関してはなかなか重い腰を上げない行政も、「街の記憶」という旧居跡を示すプレートも置き始めました。
本当に記憶というのは消えてしまうものですから、残さねばならないものは声をきちんとあげないと消滅してしまいます。
日本は文化芸術に対して、決して暖かい国ではありません。経済効果がないものには興味がない国ですから。
でも、人はお金だけで生きているものではありません。
心の豊かさはそれぞれ違いますが、文化芸術のない生活なんて考えられますか。映画もドラマもないんですよ。(笑)
この本は、主要なところを抜粋し、最新情報などもいれながらより読みやすくしたものです。
皇居のおひざ元番町麹町に、まあこんなにたくさんの文人が住んでいたのかとびっくりします。登場してくる方だけでも60名強もいらっしゃいます。
それにしても、どうやってこれほどのことを新井巌さんが調べられたのか本当に感心します。
例えば、武者小路実篤は、皇居のすぐ近く一番町が生誕の地なのですが、ほとんどの方は調布にある晩年過ごした「武者小路実篤記念館」あたりを思うほどまったく知られていません。そんなあまり知られていないことを調べ上げて、実篤の過去を紐解いています。
探していくという作業は大変で想像力を必要とします。一つの事実からいろいろに追っていくには想像力なくしてできることではありません。ほとんど力業のような想像力を発揮されてできたのかもしれません。
私も、有島武郎、里見弴、千家元麿も近くに住んでいたのを知っていたので、ちょっと想像力を膨らませて、白樺派つながりで近くに?たまたま住んでた?志賀直哉は?とかちょっと考えてみました。どんな風につながっていったのか、どこで出会ったのか、なんだか楽しい。(笑)
真実かどうかは別として、これだけの文人がどこかですれ違っていたりしたら、お隣さん同士だったりしたら、(事実、島崎藤村と藤田嗣治は隣同士だったようで)その時代時代で、面白いドラマができそうな気がします。
そんなことを想像しながら「文人の町番町麹町」を片手に、文学散歩はいかがでしょう。知りえなかった文人たちの素顔に触れることも、ドラマのネタもみつかるかもしれません。
文学散歩をされるには、この番町麹町って、さほど広くないのでゆったりと楽しんでいただけるかと思います。