イラッとしたときの解決法
最近、誰かにイラッとしたことありますか?
「ある」と回答されたかたにお聞きします。
「相手はなぜ、そういうことをしたのか」と分析しましたか?
友人に話して憂さ晴らしをしたり、早く忘れようとはするけれど、分析しようとは思わないのでは?
でも分析してみると、「もしかしたら、この人は○○な考えでそう言ったのかも・したのかも」と気づくことができます!
つまり、相手の視点に立つことができるのです。
そもそも、なぜイラッとするのか。
それは自分の視点だけで、物事を考えているからです。
人の考えは十人十色。それぞれ違います。だからこそ、相手の視点にも立たないといけません。
では、相手の視点に立つにはどうしたらいいか?
その方法として、イラッとしたことをシナリオにしてみてください。
手順としては、
①登場人物(イラッとした自分と、イラッとさせられた相手)と、各キャラクター(性格)を書く。
※初対面の場合:相手のキャラクターはシナリオを書いた後でも可。
②イラッとしたシーンをシナリオにする。
③このシナリオのタイトル代わりに、イラッとしたときの“自分の心の声”を書く。
例:『○○だったのに…』
④書いたものを「第三者=レビュアー」に読んでもらい、シナリオにツッコミを入れてもらう。
⑤レビュアーの最終的な感想として「レビュアータイトル」をつけてもらう。
例:『(あなたはイラッとしたけど)相手は○○だから、○○だったと考えることもできるのでは?』
⑥レビュアータイトルを見て、「では、このとき自分はどうすればよかったのか」を書く。
例:「(そう言われると…)○○だったのかも」
――という流れになります。
では、この手順で具体的にどう進めていくのか。
今回は、弊社の新井が講師を務めた、足立成和信用金庫さま・新人職員(一般事務・営業)向けシナリオ研修の模様をリポートいたします。
この分析ができるようになれば、仕事におけるお客様とのやりとりでも、自分がイラッとすることも、そして、自分がイラッとしたことでお客さまの気分を害するようなことも防ぐことができます。
特に、受付・一般事務や営業などの仕事をされているかたは参考にしてみてください。
まずは、イラッとした出来事をシナリオに
*
この研修では、前述した“手順”で、イラッとした出来事を分析してもらいました。
ある女性職員Aさんは、母親にイラッとしたことをこんなふうに分析。
①登場人物とそのキャラクターは…
・私=自分の中で完結したがるキャラクター
・母=世話をやきたがるキャラクター
②イラッとしたシーンとして、以下のような内容のシナリオを書きました。
【私】は仕事で使う買ったばかりの電卓を失くしてしまった。
【母】に「失くしちゃったので、古い電卓ない?」と聞いたところ怒られてしまう。
【私】は古いものがあるなら見つかるまで使おうと思っていたのだが、【母】に怒られしまったので、そのことを伝えないまま会話が終了。
【母】は数日後、新しい電卓を買ってきてしまう。
実は、すでに電卓は見つかっていたのだが、そのことを報告していなかった【私】。
「買ってきて」とは言っていないのに、「勝手なことをして!」と【私】はイラッ。
③タイトル代わりの、イラッとしたときの“自分の心の声”は…
『買ってきて、とは言ってないのに…。』
ここまで書いたらグループになって、そのメンバーの誰かにレビュアーになってもらいます。
相手のキャラクター(性格)と、背景(今まで)・事情(これから)を確認
*
レビュアーとしてツッコミを入れるにあたり、研修では事前に以下のような講義をしました。
そもそも、シナリオを作るときは、
登場人物のキャラクター(性格)と、背景(今までのこと)・事情(これからのこと)を作ってから、
その登場人物の「言うこと」(セリフ)や「すること」(アクション・リアクション)を考えていきます。
でも、このシナリオの技術を日常生活で使うときは、“逆”になります。
シナリオのように、背景・事情をつくることはできないので、
相手の「言うこと」や「すること」から、
相手のキャラクターと、背景・事情を確認して、
その上で、「だから自分はこう言おう」「こうしよう」(アクション・リアクション)と考えていきます。
この考えを、レビュアーになるときに使います。
レビュアーは、登場人物たちのキャラクターや「言うこと=セリフ」や「すること=アクション・リアクション(ト書に書いてあること)」から、
登場人物たちの背景(今まで)と事情(これから)を考えて、
「だから、この人はこう言ったんじゃないの?こうしたんじゃないの?」とツッコミを入れたり、最終的な感想を考えていきます。
女性職員Aさんの『買ってきて、とは言ってないのに…。』に対して、レビュアーのBさんはこのようなツッコミを書いていました。
④レビュアーのBさんは…
・【母】に怒られ、会話を終えてしまった【私】のリアクションに対して、
<【私】は、「見つかるまでちゃんと探す」ということを伝えれば良かったのでは?>とツッコミ。
・【母】が新しい電卓を買ってきたことにイラッとした【私】のリアクションに対して、
<なくしたことは報告したのに、肝心の見つかったことは報告していない。【私】よりも【母】のほうがイラッとするかも>というツッコミ。
⑤レビュアーのBさんは、最終的な感想として「レビュアータイトル」に…
『【母】の世話をやきたがるというキャラクターを考えれば、「なくしちゃった」と言ったときに「買って」と言われたと感じてしまった、と考えることもできるのでは』
――という分析を。
⑥そして、この『レビュアータイトル』を見て、Aさんは、
『【そう言われると…】「ちゃんと探すから買わなくていい」という自分の気持ちを早めに言えばよかったのかも』
――と、【母】とのやりとりを振り返っていました。
相手の視点に立つと同時に、自分がイラッとするポイントも発見
こう分析してみると、イラッとしたときには気づかなかった相手の気持ちを考えることができますよね。
また、「自分はこういうときにイラッとするんだな」という、自分がイラッとするポイントも分かります。
例えば、Aさんで言えば、「自分の中で完結したいキャラクター」だから、勝手なことをされるとイラッとしやすいのではないでしょうか。だとするなら、今回Aさん自身も振り返っていたように、自分の気持ちを早めに伝えることを常に意識していれば、「勝手なことをして!」というイラッを防げますよね。
今回ご紹介した方法は、自分が自分のレビュアーとなって、1人ですることも勿論できます。
家族・友達・同僚・仕事のお客様などなど、人と関わったときにイラッとしたら、この方法で分析してみてください。
★足立成和信用金庫 担当者 根岸宏一さまのご感想★
当金庫では新入職員に対して営業店配属まで高卒は5月GW明け、大卒は8月末まで長期の研修期間を設けて社会人としてのマナーや業務知識を習得させております。
配属後もフォロー研修として初年度末まで月1回の研修を行っており、人事部として苦手分野のメンタル面の研修では今回大変役に立ち、受講者にとっては有意義な学習となりました。
有難うございました。
日記代わりに日常をシナリオ化して問題を整理/代表・小林幸恵 著
書籍『今日からシナリオを書くという生き方』
電子書籍『シナリオ力をつける本 毎日を楽しくするイメージのチカラ』
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複雑そうに思える出来事も、シナリオ化していくと、スッキリと整理できます。
このシナリオの特性を活かして「シナリオ日記」をつけるのはどうですか?
シナリオは映像に映せるものしか書きませんので、シナリオ日記は普通の日記とは少し違います。
「私のことをこう思ってんじゃないかしら…」といった感情的なことは映像には映せないので、シナリオ日記には一切書きません。
だから、シナリオ日記を書くと、「あ! 相手はこういう風に思っていたんだ!」と相手の視点で物事を考えられるようになります。
シナリオの発想と技術を使えば、こんなふうに、自分で、自分の心や考え方も豊かにできます。
あなたがイラッとしたことは自分だけの最高のネタかもしれません。
今回のブログと併せて、書籍『今日からシナリオを書くという生き方』(彩流社)や電子書籍『シナリオ力をつける本』(ビヨンドブックス/Kindle版)もぜひ参考にしてください。
■書籍『今日からシナリオを書くという生き方』はこちらからご覧ください。
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※シナリオ日記のことをご紹介しているこちらのブログ「人間関係にお悩みの方必見!あさイチで紹介『シナリオ日記』のすすめ」もご覧ください。