記者会見
シナリオ・センター代表の小林です。昨日はイチロー選手の引退記者会見をしっかりと最後までみてしまいました。
イチロー選手って、日本で9年やっていたうち首位打者を7回もとって、メジャーへいらしたのだそうですね。メジャーを19年も続けられ、そこでの成績のすばらしさもちろんなのですが、私自身は、遺された偉大な成績・記録以上にイチロー選手の生き方、彼の言葉がいつも素晴らしいので、偉業だけでなく人間性のファンなのです。
ご本人は「人望が全くないので監督とかは無理だ」と、「そのくらいのことは自分がよくわかっている」とおっしゃっていましたが、そんなことないと思うのですけれどね。
樹木希林さんにも通じるのですが、ものごとを、俯瞰で見ることができて、それだからこそしっかりとご自分に様々なことを課し、実行されてきたのではないでしょうか。
ひとまず、選手生活お疲れさまでした。いつも、色々なことを教えてくださってありがとうございました。
記者会見を見ていて思ったのですが、記者の方の質問が案外つまらなく、ちゃんとイチロー選手のことを熟視し、しっかりと調べて質問しているのだろうかと思ってしまいました。
インタビューとか取材とかは脚本家を目指す方にも必要なことです。
シナリオハンティングをするにしても、取材をするにしても、極意はいかに事前調べ、資料を作ることです。
的を得た質問をする、いい取材をするのは難しいことで、どれだけの準備ができているかで決まります。
記者会見をみながら、もっといい質問をしてくれたら、イチロー選手ならもっと素敵な受け答えをしてくれ、もっと素敵なイチロー選手の一面をみれたのにと、ちょっと残念な思いでした。
見せてはいけないアルバム
イチロー選手も新たな出発です。新しいことをちょっと始めてみたい気がします。
創作の面白さは、自分で好きなことを書けることもそうですが、それを他人に読んでもらう、見てもらう楽しさでもあります。
それには、どれだけの人に伝えられるかです。 客観視、俯瞰で見る目を持つことが大事です。
新井は、いつも「自分のアルバムを他人に見せるな!」と言います。
「自分のアルバムは自分が体験しているものですから、その時のことや状況が思い出されて懐かしいものです。『これハワイからきたおじさんなの、とても面白い人よ』と説明されても、共通の体験をしていないから面白くはありません。
ですから、共通の体験にするのが、相手にわかってもらうコツなのです。
もちろんすべてが同じ体験はできませんから、これは『終戦の時だよ』とか当時の背景を示すことによって「あの頃か」ということから全体が共通でなくてもよくわかるのです」
自分がわかっていることは他人もわかっていると思いがちですが、それはひとりよがりというものです。
「カセ」「伏線」などあらゆる映像表現の技術は、ひとりよがりを共通の体験に置き換える技術といえます。
上手に映像表現の技術を使って、人に伝えられるようにしたいです。
客観性、俯瞰で見る目が作家の目なのだと思います。