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しゃれおつなお店や人々が行きかう街、表参道。そこで働くシナリオ・センタースタッフの見たもの触れたものをご紹介します。

『ただいま大須商店街』 京相絵里子さん/脚本家になって 思うこと

京相絵里子さん『ただいま大須商店街』原作・脚本を手掛けて

東海テレビ開局60周年記念エリアドラマ『ただいま大須商店街』。
2019年1月2日にお正月のスペシャルドラマとして東海テレビで放送され、3月31日にもBSフジテレビで放送されました。

舞台は、伝統と新しさが混在する活気あふれる街「大須(愛知県名古屋市中区)」。
物語は、27年ぶりに故郷・大須に戻って来た主人公 松田久美子(松下由樹さん)が、再会した父(平泉成さん)との確執や突如巻き起こる大須商店街の危機に立ち向かいながら、改めて地元の魅力を感じていく、というもの。

原作・脚本は研修科所属の京相絵里子さん。

ゼミで勉強しながら、これまでに、
第6回富士山・河口湖映画祭シナリオコンクール準グランプリ(2013年)
第2回MPA/DHUフィルムワークショップ映画脚本シノプシスコンテスト・プレジデント特別賞(2014年)
第2回ジュブナイル脚本大賞ストーリー賞(2016年)
――を受賞されています。

また、『命売ります』(BSジャパン/2018年)では企画・脚本協力を、
『探偵が早すぎる』(読売テレビ・日本テレビ/2018年)ではチェインストーリーの脚本をご担当。

今回は、現在ご活躍中の京相さんに、『ただいま大須商店街』はどんな風にご執筆されたのか、脚本家になってゼミの課題(20枚シナリオ)がどんな風に役立っているのか、脚本家としてどんなことを心掛けているのか等々、お聞きしました。「脚本家になりたい!」というかたは必読のコメントです。ぜひ参考にしてください。

 

「“画(え)が持つ“ってこういうことなんだ!」

――『ただいま大須商店街』の脚本では特にどんな部分を心掛けましたか?
〇京相さん:人と人との距離感です。

主人公は27年振りに帰郷するのですが、結婚したことも、子供を産んだことも父親に告げなかったくらい、父親を恨んでいるし、憎んでいる。それでも、子供を守るために大嫌いな父親に頭を下げ、家に置いてもらわなければならない。

そんな彼女は父親と対面したときに何と言うのか、父親も何と言うのか……。
娘と父が対面して話すシーンは、初めに書いたものでは台詞が軽すぎて、何度も何度も直しました。

――今回、「これは勉強になった!」ということを教えてください。
〇京相さん:“役者さんを信じる”ということです。
打ち合わせのときに監督が、「ここのシーン、撮ってみた感じでセリフなくてもいいかな? あの2人(松下由樹さんと平泉成さん)だったら画が持つと思うから」と仰っていて、実際、そのシーンはセリフ無しになったんですけれど、そのほうが断然良くなっていて、画が持つってこういうことなんだ、役者さんを信じるってこういうことなんだ、と学ばせてもらいました。

――実際に映像化された作品をご覧になって、脚本をご執筆されたときには気づかなかったことや新たな発見はありましたか?
〇京相さん:実際に映像を観た感触としては、「もっと嬉しくて喜んでるはずだったのに……」です。笑
脚本家を目指したときに、“誰よりも最初に自分の名前がテロップに出ること”が夢ではあったんです。
でも実際、現実になってみると恐れ多すぎて、責任と重圧がずっしりときて、その重みに耐えうるだけの力をもっともっとつけなきゃいけないな、と痛感しました。

※You Tube
tokaitvbroadcasting
東海テレビ開局60周年記念エリアドラマ ただいま 大須商店街 2019年1月2日午後2時放送より

「意味のないシーンは描かないこと」を20枚シナリオで

――脚本家として活動されている今、シナリオ・センターで学んだことで役立っていることはありますか?
〇京相さん:「京相さんは意味のないシーンを描かないのが良い所。ちゃんとシーンの意義がわかる」と言ってもらったことがあって、それはきっと20枚シナリオでシーンを描く練習を積んだおかげなんだと思います。短い20枚の中では無駄なことは書けないし、シーンを洗練しようと精一杯考えるので、とても鍛えられました。

――自分が目指すクオリティの脚本を書くために、トレーニングといいますか、普段何かされていることはありますか?
〇京相さん:私は映画を観たらノートにあらすじと感想を書くことを習慣にしています。

映画を観て、そのときは感動しても忘れちゃうのが嫌で始めたことですが、書くことでストーリーを振り返って分析でき、さらにどういうところで自分は感動したのか、考えを深められる作業になっています。

それから、私は連続ドラマが書きたいと思っているので、ドラマの構成研究もやるようにしています。今までは、このくらいの時間にこういうことが起きて……と出来事を追っていたのですが、最近、同じドラマでも登場人物の感情面を追って観るようにしたら、ここで感情を高ぶらせるためにこういう人物をぶつけているんだ!とわかって鳥肌が立ちました。

脚本は“人を描くこと”と言われますが、その人物の履歴書を作った先の、その人物の感情をどう揺さぶるのかというところはもっともっと突き詰めて考え、表現できるようになりたいと思っています。

――京相さんのように「脚本家になりたい!」「ドラマを書きたい!」という生徒さんがシナリオ・センターには沢山います。そんな“仲間”に向けて一言メッセージをお願いいたします。
〇京相さん:私もまだまだ勉強中で、もがいている最中なのですが、たぶん、チャンスはいきなり来ます。
そのときに立ち向かえるだけの技術力とアイディア力と精神力を日頃からコツコツ鍛え続けていくことが大事なのかなと思います。

※そのほか脚本家・小説家・映画監督の出身生コメントはこちらから。
シナリオ・センター出身の脚本家・小説家・映画監督の方々のコメント記事一覧『脚本家・小説家コメント記事一覧/脚本や小説を書くとは』をぜひご覧ください。 

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