一億～

シナリオ・センター代表の小林です。先週末は大阪へ行ってまいりました。大阪への往復は私にとってはバタバタしないですむ、休息時間です。 本当は寝たいのですが、椅子で寝るというのは案外肩や首が凝ったりするので時々ウトウトを入れながら(笑)ほとんど本を読んで過ごしています。
たまたま雑誌を読んでいたら、夏井いつきさんが取材されていました。
最近テレビで人気の方ですのでご存じの方も多いかと思いますが、俳人です。
テレビバラエティで「プレバト！」という番組があります。プレッシャーバトルの意味で、芸能人が何かに挑戦して才能のあるなしを決められるという番組なのだそうです。
その中で、俳句を受け持っていらっしゃるのが夏井いつきさん。
19時放送の番組ですので、私はリアルではほとんど見たことがないのですが、娘が大好きで時々録画したものを一緒に楽しんだりしています。
娘は、この講師をされている夏井さんにひどく肩入れをしており、「夏井さんの添削はすごい！」となにかとこと細かく添削内容を語るのです。
シナリオ・センターは「添削命」ですから、添削といわれるとむやみに反応してしまいます。
そんな夏井いつきさんの特集だったので、興味津々で読ませていただきました。
愛媛松山を拠点に「俳句の種まく人」を続けていらっしゃっる方で、高校生が5人組でチームを作り俳句で競い合うという俳句甲子園、誰でもが参加できる句会ライブなど、俳壇では驚くべきやり方で俳句を広めています。「プレバト！」も箸にも棒にもかからないような芸能人の俳句をみごとに添削し、高めていく・・・その手腕は並大抵ではありません。
シナリオ・センターは、来年50周年を迎えますが、創設者の新井は、夏井さんと同じように種まく人でした。
そして同じように、揶揄されながら、シナリオ8週間講座を開講したり、全国行脚したりと、多くの人にシナリオを書いてもらいたいと「一億総シナリオライター化」を目指していました。
夏井さんは「一億二千万総俳人化」を目指していらっしゃる、「同じじゃん！」思わず笑ってしまいました。
夏井さんは「俳句は身体の細胞や世界の見え方を変える」とおっしゃっています。シナリオも同じですね。
夏井さんの俳句の添削では、映像が見えるかどうかをよく指摘されます。言葉の美しさもさることながら17文字から豊かに想像できる、目の当たりにその風景や情景が浮かぶ、まさにシナリオでもあります。
夏井さんの深い思いを読みながら、新井を懐かしく思いだし、車窓に映る父によく似た顔に、思わず「頑張れ！」とエールを送ってしまいました。

金次郎カー

24日金曜日に開催される「ミソ帳倶楽部」は、映画「二宮金次郎」の五十嵐匠監督と脚本家の柏田道夫氏です。
どんなお話をしていただけるのか楽しみなのですが、新聞に「専用カーで全国に配達するワケ～シネコン上映をキャンセル映画「二宮金次郎」」という記事が載っていました。
6月1日から、東京写真美術館ホール（恵比寿下車）で上映されますが、すでに多くの中学校・高校、企業から依頼があり、専用の「二宮金次郎カー」に機材を積み込み、全国に作品を届けています。
映画館と同レベルの機材と6メートルのスクリーンを積んで、市民館や公民館などでも大迫力で見えるようにしたのだそうです。
シネコンではなくなんで配達することにしたのかというと、「完成記念試写を小田原の公民館で行った時、80代の老夫婦がシルバーカーを押して会場にやってきた。上映後は感激して私の手を握って離さなかった。その姿が忘れられなくて。この作品は決してポップコーンの匂いが漂うシネコンで上映するより、色々な事情があってシネコンに足を運べない人にこそ見てほしいと強く感じたのです。」と五十嵐監督。
なるほど、普段映画館に足を運べない人々へ、想いを届けるにはこういう方法もあるのです。
新たな上映方法で、多くの人々に映画を届ける、五十嵐監督もまた種まく人ですね。
映画を拝見しましたが、薪を背負いながら勉学に励む二宮金次郎というよりは、農民の人々ともに改革をして村おこしをしていく、彼も種まく人。今こそ一番出てきてほしい人間像かもしれません。
ほとんどの人が持っている二宮金次郎像をどのような形で見せようとしたのか、お二人のお話が楽しみです。
また、これから映画を製作したい方々も、この映画を配達するという画期的な方法も考えられるので、そんなところもお話をおうかがいしてはいかがでしょう。
24日19：00、ミソ帳倶楽部、シナリオ・センター3階ホールです。当日受付あります。