サイバーエージェントさんで実施『ずれないディレクション研修』
「シナリオを読んだり、描いたりしたときの違和感の正体がわかった」
「キャラクターを作る順番を、整理できた」
「型で考えることで、ディレクションすべき部分がわかった」
「ロジックが整理できると、安心してクリエイティブに集中できることを実感した」
皆さんに満足と「これからこうすればいいんだ!」という実感をつかんでもらった『ずれないディレクション研修』。
10段階で満足度を出して頂いた平均が、9.5!
月刊『シナリオ教室』7月号に掲載の内容をリライトして、ディレクションにお悩みの方向けにご報告します。
研修の対象は、次代を担う人たち
今回のセミナーは、2016年の年末に実施したサイバーエージェントさんの研修の第2弾です。
>>前回の内容はこちら『ゲームシナリオライター が、より面白いゲームを提供するにはシナリオが大切』
今回のセミナーは、企画職など非シナリオライターの方がシナリオの知識をつけることで、シナリオライターとのコミュニケーションをより円滑にすることを目的に開催されたため、参加者の方々は、シナリオライターの方ではなく、ディレクターやプランナーの方が参加したそうです。
間接的にシナリオに関わる中で、より作品のクオリティアップに貢献したいという意欲の高い方々に受講頂けたように思います。
『シナリオ8週間講座』から受講する良さ
今回の『ずれないディレクション研修』では、事前に『シナリオ8週間講座』を受けて頂いたうえで、特講としてディレクションに照準を充てた講義とワークショップを実施しました。
なぜ、『シナリオ8週間講座』から受講頂いたのか。
1)今回の対象が非シナリオライターの方々という点
2)シナリオの基礎がわかっていないと、結局は小手先のディレクションになってしまう点
そのため、よりよい本打ちのためには、『シナリオの基礎技術』を理解してもらう方が効果的なのではないか、と考えました。
さらに言えば、講座を受けることで、実際に「課題」のシナリオを書き、添削を受けることになるので、作家さんの気持ちを実感することもできるのでは、と考えました。
『シナリオ8週間講座』では学べないことを
『シナリオ8週間講座』は、あくまでもシナリオライターになりたい方のための講座です。ディレクション力を上げるための講座ではありません。
テレビ局や制作会社のプロデューサーやディレクターの方に、講座を受けて頂くことはあります。そういう方々は、自分なりに講座内容を咀嚼し、ディレクションに活かして頂いているのだと思います。
実際、「講座を受けて、ホンの読み方が変わりました」とおっしゃってくださる方は大勢います。
『ずれないディレクション研修』の特講部分では、自己流の咀嚼ではなく、より具体的に『シナリオの基礎技術』をディレクションに活かす方法をお伝えします。
特講ポイントその1:キャラクター表は闇雲に考えない!
ドラマでも、ゲームでも登場人物のキャラクターを魅力的にすること、そしてぶれずにキャラクターを表現することは、最も重要なことです。
そのために、キャラクター表を考える必要があります。ですが、キャラクター表は正しい順番で、考えるべきことを考えていかないと、キャラぶれの原因になります。
そのため、『~すぎる性格』という軸を決めて、そのうえで『憧れ性』と『共通性』を明確にしていきます。ここまでは、人物の内面的な要素です。
次に、その要素を踏まえて、特技や趣味、服装、癖など具体的な要素を考えていきます。すると、次第にその人物ならではの過去のエピソードも浮かんできます。
特講ポイントその2)構成の機能から、シナリオのブレを探す
ディレクションをしようとすると、往々にしてやりがちなのが、セリフを直すことです。
しかし、セリフを直すのはディレクションの最終段階です。なぜなら、構成の機能から大きく外れていたら、どんなにセリフを直しても魅力的にはなりません。そのため、起承転結の機能をそらんじて言えるくらいでないと、ディレクションをすることはできません。
「なぜ直すべきなのか」を論理的に言えなければ、単なる自分の感覚や好みをライターに押し付けるだけになってしまいます。それでは、一般の視聴者と同じです。そのため、特講の中でも暗記し、暗唱してもらいました。
シナリオを読むたび、映画を観るたびに構成の機能を意識することで、ディレクション力は圧倒的に上がります。これは、自作のシナリオを直すときにも使えます。
基礎の定着なくして、応用なし!
『基礎』=『簡単』なこと。だと誤解している方が多いように思います。そして、すぐに身につくことだとも思い込んでいます。
しかし、シナリオでもスポーツでも基礎のレベルを上げることでしか、一流になることはできません。『基礎』と名の付くものの、響きに惑わされてはいけません。そこにこそ型を破る道があります。
『基礎』を馬鹿にせず、愚直に実践していくことで、自然と身体が反応するようになります。ライティングでもディレクションでも、根っこになるのは『シナリオの基礎技術』です。