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シナリオ・センター

代表 小林幸恵が毎日更新!
表参道シナリオ日記

シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。

DNA、遺伝子の力

企業研修 ワーク中

人のDNA

シナリオ・センター代表の小林です。休み明けはしめきりに追われた仕事が多く、日記に手が回らず、手というより頭がついていかず・・・というのが本音のところですが、昨日は書くことができませんでした。失礼いたしました。

秋に始める「舞台脚本(戯曲)実践講座」の準備で、昨夜はコラボしてくださる劇団青年座の「DNA」というお芝居を観させていただきました。
この芝居は、会社で受け継がれてきた社風や風土といったDNAと共働きの夫婦のDNAを重ねあわせたお話です。
少子化、働き方改革、隠蔽体質、女性の働き方など今問題とされていることが巧みに取り込まれています。
中村ノブアキさんの青年座に向けた初の書き下ろし、宮田慶子さん演出ですから面白くなるとは思っていましたが、今の世相を巧みにとらえながら、どう生きるか、どう考えるかという普遍的なかつ正解のないものを探っていく、多分観客の年代、性別によって感じるところは違ったのではないかと思える、本当に面白いお芝居でした。

子どもがいるのは自然なことと考える夫は、歴代受け継がれている会社の決算方法を巡って異論を唱えた新人によって思わぬ事態へと動いていく。働くことに生きがいを見出し、子どもはいなくてもいいと考える妻は、突然親友である仕事のパートナーから出産のため仕事を辞めると言い出される。
そんな夫婦を通して、人から人へ、組織から組織へ受け継がれていくものは何かを考えていきます。
今や女性にとっては、いや社会にとって大問題の仕事と子ども。
輝く女性と持ち上げられても、実際には、その選択に悩まざるを得ないし、育児との両立もままならない社会に変わりはありません。
企業も歴代のやり方を受け継ぐことだけでは発展は見込まれない経済状況です。
私自身、仕事しながら2人の子供を育ててきた人間ですので、仕事に生き甲斐を見出して悩む妻の葛藤はとてもよくわかります。
この夫もそうですが、男は割と簡単に両立できるように力になるというのですが、実際の社会ではそう簡単なものではありません。
些細なことですが、保育園で子供が熱を出したら、保護者は夫婦でありながら、真っ先に母親に迎えに来いという連絡が来るのです。父親にはいきません。
それは、いまだに社会全体が母親が子供を育てるものだというDNAが色濃くあるからなのです。母親自身にもこのDNAがあり、自身も葛藤をしてしまいます。
寿退社という言葉が当たり前な時代とは全く変わってきたというのに、女性の能力を最大限に生かすにはどうすればいいのか、箱もの行政しかできない方々では、勇ましだけでできるはずのないスローガンしか作れないのが現状です。
このお芝居を見ながら、私たちがよりよく生きるためには、一人一人が違う環境の中で常に葛藤しながらも、新たな道を探っていかなくてはならないのだと思いました。
25日までシアタートラム(三軒茶屋)で上演しています。あらゆる年代、性別を問わずご覧いただきたいお芝居です。
シナリオ・センターで割引チケットの受付をしていますので、事務局へお問い合わせください。

シナリオ・センターのDNA

シナリオ・センターは、来年創立50周年を迎えます。
来年は創立記念として様々なイベント企画を考えていますが、シナリオ・センターのDNAをどう繋いでいくのがいいのかを考えています。
シナリオ・センターがシナリオ教育一筋でかくも長く続けてこられたのは、「シナリオの基礎技術」という新井一のDNAのおかげです。
シナリオ・センターのDNAは、創作の「感性」という部分には踏み込まずに創作の「基本の技術」のみをお伝えすることに力を注いできました。
人は必ずDNAを受け継いで、何らかの形で子どもに遺します。会社組織も同じで、何らかの伝統(DNA)を受け継いでいくわけです。
ですが、いい伝統であるのか悪い伝統であるのか、そこが問題になります。
シナリオ・センターも、根本の技術そのものは変わりませんが(変わったら訳がわからなくなります)、伝え方は変わっていきます。
50年もやってくると、取り巻く環境はどんどん変化していっています。
原稿用紙に書く作家の姿は、パソコンを打つ作家の姿に変わっていきました。
原稿用紙を差し上げて「手書きで」というと驚かれます。シナリオ形式を覚えていただくには原稿用紙で書いていただくことが一番なので、そこまではお願いしていますが、今はPCがほとんどになりました。
ちょっとしたことも変化していきます。
より学びやすいようにを第一義に、ただ踏襲すればいいということではないとも考えています。
でも、やり方や伝え方は変わっても、新井一の「シナリオの基礎技術」を踏襲することはかわりません。
すべての講師に新井一の「基礎技術」というDNAは受け継がれています。
「型を知って型を崩せば型破り、型を知らずして型を崩せば形無し」という基本を大事にすること、シナリオ・センターのDNAです。
今は、新井一がプロのシナリオライターを育てるために創り上げた技術は、「シナリオは人間を描く」というところに特化して、シナリオの基礎技術を研修というものに取りこんで、まったく違う分野の企業研修やキャリアアップ、人間関係、子供のシナリオへと広がっていっています。
よいDNAをどれだけ大きく広げて、繋いでいくかが、私たちの務めなのだと思っています。

過去記事一覧

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