menu

脚本家を養成する
シナリオ・センターの
オンラインマガジン

シナリオ・センター

代表 小林幸恵が毎日更新!
表参道シナリオ日記

シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。

モノ申すということ

黄緑のネームプレート(光文社文庫)

衣替え

シナリオ・センター代表の小林です。今日は都民の日です。
私の子供の頃は、学校は休みで、確か清水崑さんの河童のバッジ(黄桜のコマーシャルに使かわれていました)をもらった気がします。今はどうなのでしょうか。
10月1日は衣替えです。
秋風がちょっと身に沁みて、早く冬物を出さなくっちゃと思ったものですが、昨年も今年も夏のような気温。30度前後だそうです、今日の東京は。
まさか、学校の制服を、この暑さで冬物に衣替えなんかしていないでしょうね。(学校って変に頭が固いところがるので心配です)
温暖化ってこういうことでしょうか?
CO2が問題化されているなか、原発と言い、石炭火力といい、日本は一体何を考えているのでしょうか。
日本は恥ずかしいことに「環境汚染大国」と世界で言われているそうで、世界各国で環境汚染に対するデモが大きくなっている今も、日本は5000人規模だそうで。
お上だけの問題ではなく、私たち日本人ひとりひとりがきちんと向き合わないと、子どもたちの未来をなくすことになりそうです。
夏物の洋服は、いつになったらしまえるのでしょうか。
秋が短くなって、すとんと冬が来そうな、四季もなくなりそうな日本、真剣に考えなければいけませんね。

赤川次郎さん

久々に出身ライター赤川次郎さんの「黄緑のネームプレート」(光文社文庫刊)をご紹介したいと思います。
今まで赤川次郎さんの新刊紹介って、ほとんどしていません。
何故なら、赤川さんほど多作な作家さんはいらっしゃらないくらいお書きになっていらして、かつベストセラーになってしまう、かつシリーズ化されてしまうとなると、ご紹介する余地もありませんでした。
有名な三毛猫ホームズシリーズはじめ、幽霊シリーズ、三姉妹探偵団シリーズ等などシリーズだけでも10シリーズ以上あるのではないでしょうか。
それがことごとくベストセラー、すごいですよね。

今日ご紹介したいと思ったのは、なぜこんなに売れるのかというより、こんなにも一人の作家が書けるものなのかと疑問に思ってしまったからです。
「黄緑色のネームプレート」は、杉原爽香シリーズの最新刊本。
このシリーズの凄いところは、1冊出るごとに主人公の爽香が歳をとっていくのです。
最初出た時は、爽香15歳。そして今作は、46歳なのです。
シリーズとして35作くらいになると思うのですけれど、恋愛して、結婚して、子どもも生んで、今や娘は10歳の小学生。
びっくりしませんか。
主人公が年齢を重ねていく、人間としては当たり前だけれど、爽香は小説の中の主人公ですから、すごい設定だと思います。しかも30年も歳を重ねた。(笑)

このようにできるのは、おわかりのようにキャラクターの構築が素晴らしいからです。
しかもキャラクターの大本は変わらないのだけれど、着実に大人になっていくわけで、その分人との関わり方も変わっていく・・・。
赤川さんのシリーズはどれも、どのシリーズもキャラクターがあまりによくできていることに圧倒されます。
だから、そのキャラクターに石を投げれば、いくらでも描けるのです
いかにキャラクターが大事かということをまざまざと教えてくださるのが赤川次郎さんです。

「黄緑のネームプレート」は、シリーズの中では、赤川さんの批判的精神がよくでている面白いお話で、「官邸御用達」作家とよばれる大物作家との対決です。
人気キャスターの降板、自殺、でっちあげられた不倫疑惑、現総理に反発する人々への圧力・・・。「降ろせとは言わなかった公平な報道を願っただけだ」といいながら、現総理を批判する人気キャスターを降ろし、思うようにならないからと融資をストップすると脅す等などのそんな政治と権力に立ち向かう主人公爽香が頼もしく描かれています。
情けないテレビ局の姿は、まるで現実のマスコミの姿を見ているようです。
この本に描かれているすべてが「あるある」に見えます。これからも歳を重ねながら爽香に頑張って戦って欲しい、日本を変えていく力もつけてほしいです。

赤川次郎さんの作品を拝読すると、創作は、いつか現実を変える力になるに違いないと思います。
創作するものは創作への矜持を、表現の自由を大事にしていかなければと思います。

過去記事一覧

  • 表参道シナリオ日記
  • シナリオTIPS
  • 開講のお知らせ
  • 日本中にシナリオを!
  • 背のびしてしゃれおつ