環境
シナリオ・センター代表の小林です。今日の東京は秋晴れですが、まだ水が引かない地域もあるとのことで、こういうニュースは常に知らしめないと、部外者は、もう大丈夫なのではないかと思いがちです。
阪神淡路大震災は、被災された方の気持ちは別として地域として復興したといえるようになるまで16年以上かかっています。
日本中災害に見舞われている昨今ですが、東日本大震災はじめどこも元に戻っていないようで、本当に運よく災害から逃れらている東京に住む私たちは、ずーっと支え続けていくことが大事だろうと思います。
環境問題こそがこれからの地球規模の命題のような気がします。
先日、国連で演説された「気候のための学校ストライキ」の16歳のグレタさんは、北欧での環境賞の受賞を「大きな名誉だ」と謝意をしめしながらも辞退されました。
「地球温暖化対策を求める運動に、これ以上賞は必要ない。私たちが必要としているのは、政治家や権力者たちが、現代で最善の利用可能な科学に耳を傾け始めることだ」と述べられたグレタさん。
本当に世の中のすべての大人は、揶揄などせずに少女の怒りをまっすぐ受け止めて、地球温暖化を防ぐ手立てを考えるべきだと思います。
こんなに日本中が災害に襲われているのですから、日本がまず率先して動き出してほしいものです。
あの緒方貞子さんに「経済が良くなっても何も変わらない動かない日本に、耐えられない」といわれた恥ずかしい日本から脱却しましょう、緒方さんのはなむけに。
緒方貞子さん、八千草薫さんと日本女性の鑑のような方が相次いで亡くなりました。寂しいですね。
八千草薫さんの追悼番組があります。
山本むつみさんと太田光さんのセンター出身同志の対談もありますので、是非、勉強してください。
【再放送予定日・番組名】
2019年11月4日(月)午前9:00~・5日(火)午前0:45~ (同日深夜リピート)
『阿修羅のごとく』(1)女正月 (初回放送:1979年1月13日 63分)
2019年11月5日(火)午前9:00~・6日(水)午前0:30~ (同日深夜リピート)
『阿修羅のごとく』(2)三度豆 (初回放送:1979年1月20日 67分)
2019年11月6日(水)午前9:00~・7日(木)午前1:30~ (同日深夜リピート)
『阿修羅のごとく』(3)虞美人草 (初回放送:1979年1月27日 69分)
通夜女
「通夜女」(徳間商店刊行) 大山淳子さんの新刊本が出ました。
この作品は、2009年函館港イルミナシオン映画祭シナリオ大賞グランプリを受賞されたシナリオを基に、小説として書き下ろしたものです。
シナリオの「通夜女」を初めて読んだ時の衝撃は今も忘れられません。
こういう発想ってありかと思いました。
10年の歳月が経っても、今も新しい、これを超えるものがでていないということに一抹の寂しさを感じていました。
でも、なんとなんと、さすが大山さん。大山さんご自身が、ご自分のシナリオを超えて、読み応えのあるすごい小説にされました。
今回の小説は、現代に合わせて、主人公の設定も大学生から就職ができなかった引きこもりの24歳の女性小夜子となりました。
シナリオでは、先輩の通夜女と葬儀場へ来るケーキ屋のお話をドラマにしているのですがけですが、小説では、彼女の周りの人との関係や過去も丁寧に描かれており、もちろん新しい登場人物やエピソードも増え、お話しがとっても重厚になっています。
昨日本は届いたのですが、一晩で読んでしまいました。もうやめようと思うのに、止まらないのです。
サスペンスのように次から次へと事件が起こるわけではないのですが、主人公の心を変化させる通夜との出会いが見事なのです。亡くなった人の背景、葬儀の場に関わる人々の事情が結びついて、主人公を翻弄していきます。
主人公は、師匠と思う老女の通夜女を通して今まで見えなかった(見なかった)もの、感じられなかった(興味がなかった)ものを知り、小さいながら変化していくのです。小夜子と小太郎という主人公と弟の名前の由来もめちゃいい。
見事な構成と、セリフ、目に見えるようなシーン。脚本家であり小説家である大山淳子さんの創作の神髄を感じました。
あ、そうそう、「通夜女って?」いう方のために、ケーキ屋の青年からひと言。
「僕の聞いたのは都市伝説です。夜な夜な通夜に現れる女性。その女性が現れると亡くなられた方が成仏できるという、ある意味縁起物というか、やはり・・・伝説です」