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代表 小林幸恵が毎日更新!
表参道シナリオ日記

シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。

創作の基

澤田隆治さんの講演

てなもんや三度笠

 

シナリオ・センター代表の小林です。私の関わっているボランティア団体キワニスクラブで沢田隆治さんの講演がありました。
沢田隆治さんといっても、若い方はご存じないかもしれませんが、テレビ全盛期の1960年代、「てなもんや三度笠」「スチャラカ社員」などの大阪発公開コメディ番組で、視聴率100%男と異名をとられたディレクターでありプロデューサーだった方です。

86歳でいらっしゃいますが、まだまだ現役でいらして、いくつもの制作会社を経営され、かつ制作プロダクション170社が加入している互助組合「日本映像事業協同組合」を設立し理事長をされています。

「てなもんや三度笠」ってご存知でしょうか。
日曜日の夕方、最高視聴率64,8%をとった、日本中のほとんどの人が見ていた怪物番組です。
藤田まことさん、白木実さんが主演で沢田研二さんとか山本リンダさん、里見浩太朗さんなど大スターを毎回ゲストにした公開コメディでした。

公開コメディというと、当然舞台ですから中継風に思うかもしれませんが、沢田さんの演出は、何台ものカメラを駆使して、まったく新しい見せ方をされていて、それでなお、公開なので臨場感もあり、お客様の笑い声に、テレビのブラウン管(60年代はブラウン管でした)を通して、一緒にいるように笑い転げたものでした。
「てなもんや三度笠」で藤田まことさんの決まり台詞「当たり前田のクラッカー」は今でいう流行語大賞ってかんじでした。なんとなくご存じの若い方もいらっしゃるかと思います。

お話しは、40分ほどですので、澤田さんが視聴率100%男に至るまでで終わってしまったのですが、実は「てなもんや三度笠」の映画版は新井一が脚本を描いており、とても懐かしい気持ちになりました。

テレビ全盛期のあの頃とは違って媒体が増えた分、テレビや映画を観る人が減っています。
ですが、澤田さんが最後に「今、過渡期に立ち会っているが、面白いものを作っていけば、テレビも映画も消えるものではない」とおっしゃった言葉が心に刺さりました。
しっかりと受け止めて、魅力あるドラマ作りを目標に、基本がしっかりできた底力を持っているシナリオライターを輩出し、映像界を活性化すべく、頑張りたいと思いました。

野田秀樹の言葉

先日、久々に野田秀樹さんの新作「Q:A Night At The Kabuki」を観てきました。
野田さんの作品はほぼ拝見しているのですが、「THE BEE」あたりから難解さが減ってわかりやすくなった気がします。
今回も「戦い」を描きつつ、「戦後」であるべきことがどんなに大事かということを描いています。
プログラムでも、吉永小百合さんにあてた手紙形式のなかで『今時のヒトたちは「戦後」なんてコトバを聞くと「まだそんな事を言っているの?」と煙たく思うようです。
けれど私はそんな事にお構いなく、しれっと、さらっと、でいながら突き刺すように「戦後」というものを描くことができないものか。これが私の最後のおつとめのひとつではないか(まだほかにも深く考えていることがあるので!)そう「素直」に思った夏なのです。(略)
今、創っている芝居は「ロミオとジュリエット」を下敷きに、すなわち、ふたつの家の争いが、若い恋人たちを不幸にする物語です。派手でけたたましい芝居になりそうですが、その裏で、ひっそりと「戦後」というコトバを考え続けています。
「戦後」というコトバは、確かに若い人には煙ったく、古臭く、面倒臭い響きでしかないのかもしれません。
けれども「戦後」というコトバを使える間だけ人々は幸福なのです。でなければ「戦前」か「戦中」というコトバを使うことになるのですから。』

野田さんは、この思いをクイーンのアルバム「オペラ座の夜」をリスペクトしながら使い、歌詞からストーリーを展開されたそうです。
お芝居は「ロミオとジュリエット」「源平合戦」「第二次世界大戦」と多岐に渡り歩きながら展開していきます。

今回、私は野田さんのお芝居で初めて中休憩を経験しました。最近はあまり見ていないのですが、通常2時間前後で終わっていたので、3時間近く長い芝居にしたのはなぜだろうと思いました。
それだけ言いたいことがあるのだということはよくわかります。ただ、私はそこまでしなくても・・・ちょっとくどいかなとも思ってしまいました。(すみません)
野田さんは私より5歳も下ですから、私が言うのもおかしいのですが、歳を取ると「とことんわからせたい、伝えたい」と思っちゃうんですよね。野田さんもそうだったのかなぁ。(笑)
でも、やはり野田MAPです。クイーンの曲とともに、野田さんのメッセージを楽しみながら受け止めてください。

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