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シナリオや小説についてなど、創作に役立つヒントを随時アップ!ゲストを招いた公開講座などのダイジェストも紹介していきます。

小説のショートショート を沢山書いて文章力をつける

「シナリオのテクニック・手法を身につけると小説だって書ける!」というおいしい話を、脚本家・作家であるシナリオ・センター講師柏田道夫の『シナリオ技術(スキル)で小説を書こう!』(「月刊シナリオ教室」)からご紹介。
小説を書きたい→本格的な長編を書いてみよう→途中で書けなくなる→でもやっぱり小説を書きたい→……。こういった堂々巡りでお悩みのかたもいらっしゃるのでは? まずは小説のショートショートを書くことから始めてみませんか。ショートショートを沢山書いていると文章力がだんだんとついてきます。柏田講師がいう文章力とは「読者がスラスラと違和感がなく読み進められる文章」を書くチカラのことです。今回のコラムを読んで「ショートショートを書いてみよう!」という気分を高めて、このコラムを読んだ後にはどうぞすぐに書き始めてみてください。

読者がスラスラと違和感がなく読み進められる文章を

たくさんある小説コンクールには、すぐに出版化への道が拓ける長編のメジャー系を狙うのが作家への近道だと述べました。

しかし、当然メジャー系コンクールに向けて長編小説を書き上げるのも大変ですし、賞を得るには作品の完成度の高さが不可欠です。

題材の新しさ、切り口、長編をだれずに読ませる構成力、人物造形力、しっかりした取材に基づくディテールの確かさ、リアリティ、もちろん通用するだけの文章力などなど。こうした長編を書くための、テクニックやポイントはいずれ述べていきます。

で、長編だろうが短編だろうが、まずは磨いておきたいのは文章力、表現力です。

何も名文、例えば川端康成や三島由紀夫といった文豪並の文章表現力をつけろ、と言っているのではありません。そんなレベルを目標にしていたら、それだけで人生が終わってしまいます。

読者がスラスラと違和感がなく読み進められる文章でいい。欲をいうと、その文章で自ずと情景が浮かんだり、人物の気持ちが分かるような。要するに「え、何?」と読者を立ち止まらせたり、読み返さないと理解ができない文章じゃなければいいのです。

ショートショートは落とし話でもOK?

そうした最低限の通用する文章であったり、物語をおもしろく運ぶテクニックを初心者は身につけてほしい。

で、そのためにいきなり長編を書くよりも、まずは短編、ショートショートを、習作としてたくさん書いた方が訓練になるわけです。

シナリオ・センターで皆さんが20枚シナリオを書くことで、発想の訓練をしつつ、テクニックを磨き、キャラクターや物語の構造の理解が進むように。何よりたくさん書くことで、書き癖をつけるのです。

短編は通常、400字詰めで20枚以上、80枚くらいまで。ショートショートはわずか1枚くらいから20枚弱くらい。掌編小説もこちらです。

ただ、小説のショートショートは、シナリオ・センターで皆さんが書く20枚シナリオとは若干、主旨が違うかもしれません。

例えば現在ですと、『公募ガイド』誌さんで、阿刀田高さんが最終選考をする「TO-BE小説公募」という連載があります。毎月出された課題で読者が400字5枚以内の小説を応募する。枚数としてはまさにペラ(200字詰め)の20枚に相当します。皆さんもぜひ力試しで応募してみて下さい。

話を戻すと、ゼミや通信の課題でよく講師が言うのは「20枚シナリオで、オチがついてまとめるショートショートを書かないで」でしょうか。ゼミとかで、こうしたオチがぴしゃりと決まってまとまるショートショート的シナリオは、他受講生の受けもよく、作者も快感だったりします。

ただ、そうした小さくまとまる作品ばかり書いていると、長編が書けなくなったりしますし、どうしてもストーリー重視になりがちです。20枚シナリオ訓練の本来の目的は、描写力をつける、つまりシーンやキャラクターをどう魅力的に描けるか? なので、小話的なものばかり書いていると、その目的から逸脱してしまう恐れがあるわけです。

ですが、小説のショートショートは、ある意味オチが勝負の場合もあります。「TO-BE小説公募」で、阿刀田さんが最優秀賞に選ぶ作品を読むと、このオチが最後の1行とかで決まって「なるほど!」「おお、そうきたか!」と感心させられるものと、読み終わってしみじみとした余韻なり感動を与えて終わる作品に大別できるように思います。

むろん、どちらであっても作品の完成度の高さは求められるのですが。ともあれショートショートは、このどちらを目指してもいいのです。

出典:柏田道夫 著『シナリオ技術(スキル)で小説を書こう!』(月刊シナリオ教室2017年11月号)より
次回は1月4日に更新予定です

※シナリオ・センターの書籍についてはこちらからご覧ください。

※要ブックマーク!これまでの“おさらい”を
小説家・脚本家 柏田道夫の「シナリオ技法で小説を書こう」ブログ記事一覧はこちらからご覧ください。比喩表現のほか、小説の人称や視点や描写などについても学んでいきましょう。

“だれでも最初は基礎講座から”~基礎講座コースについて~

シナリオ・センターの基礎講座では、魅力的なドラマを作るための技術を学べます。

映像シナリオの技術は、テレビドラマや映画だけでなく小説など、人間を描くすべての「創作」に応用することができます。

まずはこちらの基礎講座で、書くための“土台”を作りましょう。

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